我ら混沌の錬金術研究部~うぃあーざかおすてぃっくあるけみーくらぶ~

如月八緒

第1話 我ら混沌の錬金術研究部!

《ナレーション》 「この物語はフィクションです。常識全部気にしたら負けだよ?」


 ここは謎の異界に存在する場所、ヴァルテラ魔術学院。その一室——錬金術部。

 この場所では、日々、倫理観がおおいに欠如した『面白アイテム』や『謎生命体』が量産されている。



「部長!今日はいったい何をしでかすんですか!?」


 僕の名前はナゲキ・ルイ、この錬金術部で副部長を務めている、極めて普通の学生だ。いや、普通のはずだ。


「よくぞ聞いてくれたルイくん!今日、我らが錬金術部、挑むのは……これだ!」


 デデンッ!

 勢いよくホワイトボードに書き出された文字、『惚れ薬』。


「部長!倫理的にアウトです!この前も校長先生の頭に草生やして説教食らってたでしょう!」


 そう、この錬金術研究部は学園内でも有名な、問題児集団だ。


 手当たり次第なマッドな女部長、部長の真戸マド一番星ヒトセ

 薬品系担当、クスノミヤ・キョウコ。

 キノコジャンキーのキノ・アイコ。


 ろくでもないメンツが揃いに揃った部活、それが我ら錬金術部。

 つい先日も、校長先生に“生え薬”を渡して、見事にフサフサにしていた。


 ――校長先生の頭事情は、学園内の誰もが知るところである。


 


 その日、部室でのやり取りはこんな感じだった。


 部長『校長先生って私の目みたいに輝いてるよねぇ、眩しい!』

 クスノミヤ先輩『さすがこの学校のトップ・オブ・トップ、輝きからして違う』

 キノ先輩『だねwww』

 部長『そうだ!草でも生やしてあげようじゃあないか』


 かくして、校長先生には“生え薬”が贈呈された。


 結果――校長先生の頭に、金色のフサフサが生えた。

 その後、部長たちは教頭先生に呼び出され、盛大に説教を食らったという。


「そうは言うがルイくん、校長先生は喜んでたぞ?」


 実際、校長先生は金色のフサフサをフサフサしながら、風になびかせていた。

 教頭の手前、表情は渋かったが……明らかに喜んでいた。

 解せぬ。いや、嘆かわしい。


 


 あの日、職員室での一幕を思い出す。


 教頭『君たちは何をしたか分かっているのか!』

 マド部長『いやぁ、間違ってないでしょ?私は“生え薬”を渡して、ちゃんと説明しましたよ』

 キノ先輩『そうですぅ。体に害はなくてぇ、頭がフサフサになりますって説明して渡しましたぁ。何が悪いんですかぁ?横暴ですので慰謝料として部費増額してください』

 クスノミヤ先輩『そうだそうだー』


 最終的に、僕が教頭先生と校長先生に土下座しながらペコペコ謝罪する羽目になった。

 本当に、嘆かわしい。

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