君との120日

@sum_mer

第1話 4月・高校入学

これは少し甘くて少し苦い、恋のお話。




私は、知り合いの少ない高校に進学した。

高校で新しい友達を作って、人脈を広げて、いろんなことに挑戦するという希望を持ってここに決めた。もちろん、恋愛だって全力で。


コミュ力は我ながら高い方で、すぐにクラスに馴染んだ。ただ、私は男の子がどうしても苦手だ。小学校のとき、男の子と口論になり、頭を蹴られたことがある。その時から私は無意識に男の子との接触を避けるようになった。気がついたら中学ではほとんど男の子と関わってこなかった。優しい王子様のような男の子なんているわけない。そう自分に言い聞かせていた。海くんに出会うまでは。


うちの学校は入学して早々、健康診断を受ける。校内を1日かけて、内科、眼科、歯科、耳鼻科、、、と全てまわる。仲良くなった友達と話しながら並んでいた。途中、スマホの充電が切れそうになったので、教室にモバ充を取りに戻ったら、教室には最短ルートで回り終わったであろう男子が座ってスマホを見ていた。私は無意識に隠れてしまった。高校では男の子の友達を作ると決めたのに。しっかりしろ、と自分に言い聞かせ、暗記した座席表を思い出しながら「あの、森くん、、?」と声をかけてみた。すると「いや。森の席すわってるだけ。」とその子は少し照れくさそうに笑うので、どうしていいかわからず少し混乱してしまった。「俺、早瀬海。君は?」と尋ねる海くんに私も早口で自己紹介をしてよろしく、と付け加え、恥ずかしさから駆け出すように教室を出てしまった。私の心臓が少しだけ高鳴っているのは、急いで外へ出たからだろうか。これが初めて海くんに出会った日だった。


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