実話怪談「お盆じゃないけど怖いお話」

櫻井彰斗(菱沼あゆ・あゆみん)

第1話 おじいちゃん その壱

 

 私、小さい頃は、霊感強かったらしいんですが、今はからきしで。


 人にそこに居ると言われても見えないような状態です。


 こんな私が久しぶりに霊現象らしきものに出会ったのは、母方の祖父が亡くなったときのことでした。


 お葬式が終わって、台所で従妹と洗い物をしていたら、いきなり、後ろから服を引っ張られたんです。


 振り返ってみましたが、誰も居ません。


 隣の従妹を見て、

「今、引っ張った?」

と訊くと、


「ううん」

と。


 そりゃそうですよね。

 彼女の手は、洗剤がついて私と一緒に泡だらけになってましたから。


「わかった。アッコね」


 もう一人の従妹のイタズラだと思って彼女を呼ぶと、遥か遠い部屋から、


「呼んだ~?」

と言いながら、アッコが出てきました。


「じゃあ、今の……?」


 私と従妹は見つめ合ったあとで、


「う~ん。

 ……おじいちゃんだろ」


 親戚一同、物事を深く考えないたちなので。


 誰も居ない部屋で服がはためいていたり、白い煙が縁側をうろうろしていたりしても、みんな。


「おじいちゃんかな、はははは」

で済ませていたら、


 ついに従弟の一人が切れて、


「お前らなんでもかんでも、おじいちゃんかな、で済ますんじゃねえっ!」

と怒り出しました。


 でもほら。

 おじいちゃんだしねえ。


 はははは(^^;






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