第49話 適性試験 レベル3&4
「レベル2を難なくクリアされるとは恐れ入りました。御三方は、「大天使級」の「神気」までは会得可能です。力の程度としては、「天使級」の上位互換とお考えください。大天使一体は、天使100体の戦力に匹敵します。とは言え、単純に100倍強いというよりは、「天使級」で備わる個の強さを、集団相手に使えると表現すれば分かりやすいでしょうか。」
ラファウさんが補足説明してくれる。
・・・それはそれで凄くない?
インフレ気味になってないかな。
まぁ良いか。強くなれんのは問題無いし。
さらにラファウは続ける。
「どうやら御三方はこのままレベルを上げても問題無さそうですね。頼もしい限りです。
ではまいります。ここからはレベル3です。」
ラファウの一声でまたしても俺たちの周囲の景色が一気に変化する。
先ほどまで見ていた惑星系の景色に戻ってきた。次のレベルへの基準ということだろう。
「今見えているのは、レベル2で皆さまにご覧いただいた景色です。ここが基準になります。
この後は先程までと似ています。
今回もしっかりと情報を受け止めてください。
では、行きますよ?」
ラファウが告げると再び景色が一気に変わる!
ラファウから再び声がかかる。
「今見えているものを理解し、そのエネルギーの規模を掌握できるイメージを持つこと。
レベル3で試される内容はレベル2と変わりません。
ただし、ここまで来られている皆さんに説明は不要かもしれませんが、文字通りレベルが違います。」
先ほどの余裕は敬服に値しますが、ゆめゆめ油断なさらぬよう。」
・・・警告めいた一言を言われるだけのことはある。
目の前に広がるのは、手を伸ばせば掴めそうな輝く星々。
だが、もちろんこれは一つ一つが惑星系の中心で輝いていた、巨大なエネルギーを持つ「恒星」と同等、いや、ほとんどはそれ以上のエネルギーを持つ星々だ。
それらが集まっている様に見えるこの状態、これは「星団」だ。故に包括する空間の規模も当然レベルが違う。
二人の様子は・・・落ち着いている。
真剣だ。まるで自分たちの予測と現実の乖離を見つけてはその場で理解して修正作業をする研究者の様に、あるいはより確かな知識に得て飛躍的に知の次元を昇華させようとする学生の様に。
ここら辺が限界だろうなんて、心のどこかで思っていた自分を恥じた。
凄いな。
本当に。
未開の地を進む開拓者の偉大さそのもの。
「・・・本当に驚いています。
どなたか一人でも、この領域に届き得る資質があれば良いくらいにしか思っていませんでした。
むしろ私が皆さまをもっと理解したいと、改めて思い始めています。」
ラファウが心からの感嘆を口にする。
続けて、
「レベル3、無事クリアです。
御三方、続けてレベル4の適性試験、進めてもよろしいでしょうか?」
試験の継続とレベルアップの可否を確認してくる。
「是非もない。自分の限界と向き合うまでよ。」
グルヴェイグ大師匠が答える。
「とことん師匠に付き合うわ。」
母さんが答える。
「てな訳で続きを頼む。」
最後に俺が答える。
「承知しました。
なお、先ほどクリアされたレベル3は、「権天使級」の「神気」が扱える資質を示します。権天使1体は、大天使50体の戦闘能力を有します。」
いや、それかなり強くね?
天使、大天使の良いとこどりっつーか、まとめて相手できちゃうレベルってことだよね?
「では、行きますよ?」
ラファウが告げる一言。起こる景色の変化。
次に俺たちが目にしたのは、数え切れぬほどの「星団」を含めた星々が、渦状に、かつ、レンズ状に集まった「銀河」を俯瞰する光景だった。
前世においても、当然目にしたことなどないが、ここまでで一番目が釘付けになった。
何という美しさ。
先ほどまでと違って、暫し陶然としてしまった。
大師匠と母さんは涙すら流している。
「御三方とも、この圧倒的な存在感に飲み込まれずに自我を保つとは恐れ入りました。私が都度警告させていただいていたのも、精神的に保護をかけて強制的に眠らせるのも、人種と比べれば形容し難いこの存在の大きさを前にした時に、意識ごと飲み込まれてしまわぬためです。
本当にそうなれば、個人としての自我は失われます。肉体的には永らえますが、二度と意思表示することはありません。魂が先に「一なる場所」に戻ってしまう状態ですから。
意識が保てている時点で奇跡的とすら言えます。
最上位の「神気」を扱える者であるからこそ、御三方が成し遂げていることの偉大さに、私は最大限の敬意を表します。」
そこまで言い終わると、また景色が変わって街の風景の中に戻っていた。
「レベル4のクリア、おめでとう御座います。これにより、御三方は「力天使級」の「神気」が扱える資質をお示しになりました。力天使1体は、権天使50体の戦闘能力を有します。」
・・・もうどのくらい強いのかがピンと来なくなってきた。
そもそも天使級ですら「仙人種」を凌ぐのだ。比較対象が無さ過ぎて困るな。
「・・・トール様。
既に修得を前提としているあたりが頼もしい限りですが、「神気」のレベルアップによる戦闘能力は、「魔物の王」以下「星」の住人に向ける必要がありませんから、手応えの無さは気になさらず、今はご自身の能力向上のための試験にのみ集中なさってください。」
ラファウさん相変わらず見抜いてくるねー。
「分かっちゃいるけどなんたやらだよ。
ご心配いただきありがとう。
ただ、自分の立ち位置は正確に知りたいなと思ってね。仲間を守るためでもあるし。」
返す俺。
「「神気」修徳の後、存分にお相手いたします。正直、ここから上の階級はその力を持つ存在の数自体がグッと減ります。もちろん、その分扱う難易度も上がります。
ですから、今一度集中される事をお勧めします。」
それでも慎重になれと忠告をくれるラファウ。有り難い。
「分かった。ご忠告痛みいる。」
「良いかの。」
グルヴェイグ大師匠が会話に入ってきた。
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