魔力ゼロの俺は大妖怪九尾の狐(幼女)とダンジョンに挑む
あんてんしぃ
魔力ゼロ
「――――至明! 一匹そっちに行ったぞ」
ダンジョン内で、パーティリーダーであるレイドの声が響いた。
「っ、ああ、わかってる」
レイドの言葉の通り、俺の前に一匹の獣が立ちはだかった。
額に角を生やした犬型の魔物【
涎を垂らし血走った目で、角の焦点をこちらに合わせ一直線に向かってくる。
俺は持っていた剣に魔力を込めるイメージをして、
「っらぁぁぁ!」
こちらに突っ込んでくる
角と剣がぶつかり、キィンと嫌な音が響いたのち、
「――ぐはッ」
俺は力負けして壁に叩きつけられた。
それはもう見事に、めり込んでるんじゃないかと思うくらいの勢いで壁に背中を打ちつけた。
「ちっ、相変わらずつかえねぇなっ! リム、頼むぜ」
「《
静かな、無機質ともいえる声と共に、突如何もない空間に無数の氷の塊が出現し、
パーティメンバーであるリムの放った魔法だ。
「まだ一匹残ってる」
「私に任せろっ」
リムの忠告に反応したのは同じくパーティメンバーで、剣士のルゥナだ。
彼女は目にも止まらぬ剣撃で
「よし、これでここらの魔物は一通り片付いたな。いい動きしてたぜリム、ルゥナ」
レイドは魔物を倒した二人に労いの言葉をかけ、爽やかに微笑んだ。
整った顔で見せる無邪気な笑顔は大変女性受けがいい。
「それに引き換えなんだ至明、あの無様さは?
ルゥナやリムに向けた笑顔とは一転して、レイドは呆れたように俺を見る。
「落ち着けレイド。至明が弱いのなんて最初からわかっていた事だろう。それに中等部の者でも勝てる魔物だろうと、魔力がゼロの至明には荷が重い」
俺とレイドの間に入るルゥナ。
これは俺を庇っている訳ではなく、シンプルに俺に割く時間が無駄なのだ。
この興味のなさそうな顔を見ればわかる。
俺はこいつと目があった試しがない。
きっとこいつにとって、俺は道端に転がる石ころのようなものなんだろう。
「さっきも剣に魔力を込めようとしていましたが、無駄な事はやめた方がいいと思います。あなたにはそもそも魔力が備わっていないのですから無意味な行為と言えるでしょう」
リムが冷たく言い放つ。
こいつの場合は馬鹿にするというよりも、ありのまま思っていることを口にしている感じだ。
しかし、言われていることはどれも事実ではあるのだがどうにも言われっぱなしというのは我慢できない。
「あーもうっ! 魔力がゼロってことくらい、俺が一番わかってるんだよ! でも仕方ねーだろ、生まれつき魔力がねーんだからよ! どーしろってんだよ? ああ?!」
俺はこいつらの言いぐさと自分の弱さに腹が立って、気づけばダンジョン内で叫んでいた。
「おいおい、逆ギレかよ? ったくよぉ、ナターシャに貸しを作れるかと思ってパーティに入れてやったが、まるで使い物にならねーなぁっ」
「まったくだ。彼女はなぜ至明を気にかけるのか」
「魔力がないのなら、ダンジョンには来るべきではないと思います」
俺の怒声とは反対に、他のパーティメンバーは冷たい目を向けながら、静かな声で告げる。
それが更に俺のイライラを助長させる。
そして、次にレイドが口にした言葉は俺の予想通りのものだった。
「――――至明、お前はやっぱこのパーティにはいらねぇよ。役に立たないどころか、これじゃ俺達のパーティが上へ行くのを邪魔する足枷だ」
散々な言われようの末にパーティをクビになる。
もう何度目だろうか。
だが俺はこれ以上何も言い返すことはしなかった。
言い方はムカつくが、こいつらの言うことは間違っていないからだ。
この世界は魔力があるのが当たり前という前提で成り立っている。
遠い昔、俺達が暮らしているこの世界が、原因は不明だが異世界と繋がってしまったのが発端らしい。
異世界側の生物達は皆例外なく、魔力という不思議な力を宿していた。
最初は異世界の住人と争いが起こったものの、最終的に俺達のご先祖様方は共存の道を選んだのだとか。
その後、長い長い時を重ね、様々な血が混ざり合い、今では魔力を持たない者なんてほとんどいない世の中になった。
魔力がなければ魔物だってまともに相手できない。
魔力がなければ将来の稼ぎだって厳しいものになるだろう。
とにかく、この世界は魔力がなければとても生きにくい世の中なのだ。
けれどそんな魔力がものをいう世の中で、それでも俺は不思議と魔力を欲しいと思ったことがない。
もちろん今回のように馬鹿にされればムカつくし、悔しくもあるのだが、それでも魔力を欲しいとは思わないのだ。
――――まるで俺の中に存在する何かが、魔力を拒んでいる気さえした。
◆◇
「はぁ〜、しんど……」
「なになに、またパーティメンバーと揉めたの?」
ダンジョンから戻ってきて教室の机に突っ伏す俺に、同じくダンジョンから帰ってきたリーナが声を掛けてきた。
「揉めたっつーか、一方的に呆れられてクビになったって感じだ。ま、あいつらの気持ちもわかるがな」
「え〜、気持ちわかっちゃうんだ。至明やっさしぃ!」
そう、気持ちはわかる。
俺の通うこの魔専攻学院は、6歳から18歳までの生徒が魔力の扱い方や魔物との戦闘方法などを学ぶために通う場所だ。
そして、ここでの成績は将来に大きく響く。
中でも特に避けて通ることができないのがダンジョン探索である。
このダンジョン探索というのは複数人でパーティを組んでダンジョンを攻略するという授業の一環で、成績に大きな影響を与える。
むしろ学がなくてもここの成績さえ良ければ何とかなることもある。
だから当然、皆強い者とパーティを組みたがる。
魔力ゼロの俺を入れるのはデメリットでしかないというわけだ。
「茶化すなよ、リーナ。俺だって自分のことはよくわかってるつもりさ。あいつらが俺をパーティに入れたのだってナターシャの機嫌をとる為だ。じゃなきゃ誰が魔力ゼロの俺なんかパーティに入れるかよ」
「あはは、まぁそうだよね。でもそれも含めて至明の力なんじゃないかな? ナターシャに好かれるのって凄いことだと思うよ?」
こいつはずいぶんとまぁ適当なことを言ってくれる。
ナターシャが俺を好きなわけがない。そんなのは普段の俺への接し方でわかる。
「いいか、リーナ。あいつが俺を好いているなんてことはありえない。あいつが俺を気に掛けるのは幼馴染みのよしみ、いや憐れみだよ」
俺とリーナ、ナターシャの三人は幼馴染みで、物心ついた時にはいつも近くにいて、一緒にいるのが当たり前の存在だった。
「え〜、私はそんなことないと思うけどなぁ」
「じゃあリーナからも言っといてくれよ、もう少し俺に優しくしろって」
「え〜、やだよぉ。前にナターシャにそのこと言ったら怒られちゃったんだから」
「言ってはくれたのかよ! お前何だかんだ優しいよな」
「でっしょぉ? 感謝してよね至明」
そう言って、リーナは俺の机に突っ伏してこっちを見てくる。
俺も机に突っ伏していたので、当然向かい合うような形になる。
「はいはい、ありがとよ。お前のそういうところ好きだぜ」
「な、え、あ、え? 好き!? それって告白?」
リーナは机からバッと顔を上げて、何故か顔を赤くしてしどろもどろになる。
普段から俺をからかってくるクセにこういうところは可愛らしいと思う。
「告白なわけないだろ、過剰反応しすぎだ」
まぁ可愛らしいといっても、リーナは性別不詳の夢魔なんだけどな。
外見は美少女にも見えるし美少年にも見える。
いわゆる中性的な見た目をしている。
口調はどっちかというと女よりではあるが。
夢魔という種族は思春期辺りで性別が男か女か決まるという、なんとも珍しい特性を持っている。
リーナはまだどっちか決まっていないが、どっちになろうとも俺にとってリーナが大事な幼馴染みということに変わりはない。
「な、なんだよぅ、ビックリしたじゃん」
頬を膨らまし、唇を尖らしてぶーたれるリーナ。
「まぁそう膨れるなよ。で、俺がパーティをクビになったのはいいとして、お前はどうだったんだ? 今日は『嘆きの洞窟』に行ったんだろ?」
――『嘆きの洞窟』。
数あるダンジョンの中でも割と難易度が高めの場所だ。
「ふふ、私の今日の成果はこれだよ」
リーナは待ってましたとばかりに、自慢気に鞄から石を一つ取り出して机に置いた。
「おお、マジかよ、これって竜種の魔石じゃねーか。やっぱスゲェなお前」
魔石は俺達の生活に欠かすことのできないエネルギー源の一つで、主に魔物の体内にあるものだ。
これは魔物にとっても生命線で、これを抜き取られた魔物はすぐに死んでしまう。
だから魔石はその魔物を倒したという証にもなる。
「いや〜、ほら私ってこう見えて結構強いからさ! パーティでも頼りにされてるんだよ?」
「お前が強いのは知ってるよ、ガキの頃からの付き合いなんだぜ」
そう、リーナは強くてとても優秀だ。
魔専攻学院で中等部に上がると同時に『眠り姫』という上級パーティにスカウトされ、高等部になった今もそこで数々の活躍をしている。
「そう考えると私達の付き合いも長いよねぇ。で、そんな幼馴染みの至明に可愛い私からのお誘いです! あのさ、もしよかったらだけど、私のパーティにこない?」
リーナは可愛こぶって、顔の横で人差し指を立てる。
ていうか自分で可愛いって言うか。
いや、可愛くはあるんだけどさ。
「冗談はやめてくれよ。俺がお前のことをよく知ってるように、お前だって俺のことは知ってるだろ」
せっかくの誘いではあるが、答えは決まっている。
いくらリーナがパーティで活躍して成果を上げているといっても、魔力ゼロで足手まといでしかない俺なんかのパーティ入りを周りは納得しないだろうし、仮に入ったとしてもリーナに迷惑をかけてしまうのは目に見えている。
「でもさ、私の紹介なら皆だって反対しないと思うし、だからさ!」
リーナは優しいやつだ。
おちゃらけて俺をからかってくるけど、こうやって心配もしてくれる。
「……気持ちだけもらっとくよ、ありがとな」
俺は少し考えるフリをしてからリーナの誘いを断った。
本当は考えるまでもなく答えは決まっていたが、せっかく誘ってくれたリーナの気持ちを考えて。
「そっか、でも困ったことがあったらいつでも相談してね! 私と至明の仲なんだしさ」
「おう、その時は頼むぜ!」
そう言って俺が拳を突き出すと、
「えへへ、任せてよ」
リーナもそれに応えるように拳を突き出す。
この拳同士をコツンとさせるのは俺達が昔からよくやっている挨拶みたいなものだ。
「――――何よ至明。二人きりで楽しそうにして」
と、ここで。
いきなり教室のドアが開いたかと思えば、なんだか不機嫌そうな女がこっちを見て立っていた。
「あ、ナターシャ! 無事に帰ってきたんだね、お疲れ様」
リーナは親しげに手を振る。
彼女はナターシャ。
赤毛の長髪を後ろで結って、背中に長剣を携えた、俺の幼馴染みだ。
気の強そうな目つきをしているが、性格もその目つきに負けず劣らず勝ち気で、誰に対しても物怖じしない。
「ええ、あなたもお疲れ様、リーナ。……至明、あなたからは何かないの?」
リーナに返事を返したあとでナターシャは俺を見る。
ていうか睨んでる。
「へ? 何かって?」
「……」
ナターシャは結った赤毛をフリフリと揺らしながら、無言のままこっちに歩いてくる。
「ナターシャは多分、至明にも何か声を掛けて欲しかったんだと思うよ」
その間、リーナがこそっと耳打ちしてきた。
あー、そういうことか。
「お、お疲れ? ナターシャ」
と、俺もリーナと似たような言葉をかけるも、時すでに遅し。
「ふん、リーナとのお喋りに夢中で私のことなんて眼中になかったんでしょ」
「そんなことねぇって」
「ふん、どーだか」
ナターシャは不機嫌そうにそっぽを向いてしまった。
「あ、そういえば今日はどーだったんだ、ナターシャ。 『裁きの霊洞』に行ったんだっけか?」
こういう時は話を別の方向に持って行くに限る。
「……よく知ってたわね。私が今日行ったダンジョンのことなんて」
「当たり前だろ、お前がどこのダンジョンに潜るかくらい知ってるさ」
「そう、なんだ」
ここで、少しナターシャの不機嫌さが和らいだ気がした。
「で、どうだったんだ? 怪我とかしてないか?」
「怪我なんかしてないわ。いつも通りの退屈な探索よ」
――『裁きの霊洞』は『嘆きの洞窟』と並ぶ難易度高めのダンジョンで、ナターシャが入ってる上級パーティの『撃滅の剣』は難易度の高いダンジョンばかり潜る、今もっとも勢いのあるパーティの一つだ。
俺がナターシャの行ったダンジョンを知ってたのも、『撃滅の剣』が有名だからだ。
意識してなくてもこのパーティの動向は耳に入ってくる。
そして、そんな上級パーティにいてなお、ナターシャの活躍は群を抜いている。
ダンジョンに潜って退屈なんて言葉が出てくるほどに。
「退屈ねぇ……俺も難易度の高いダンジョンに潜ってそんな風に言ってみてーよ」
ダンジョンでは命を落とすリスクも当然ある。
俺達の通う魔専攻学院でも死者は毎日のように出ている。
「ふん、だったら私のパーティに来ればいいじゃない。またクビになったんでしょ? 私が口利きしてあげるわよ」
ナターシャも知ってたのか。
大方、レイドの奴が触れ回っているのだろう。
「ありがたい話だけどやめとくよ。お前のパーティに入ったら速攻死ぬ未来しか見えないしな」
自分の身の丈にあったダンジョンに潜る。
それが生きて学院を卒業するコツだと、教科書にも書いてある。
問題はどのダンジョンも俺の身の丈には余るということだ。
「そう。気が変わったら言って」
「ああ、ありがとな」
「そうだ! 今日は久しぶりに三人で帰らない? 昔みたいにさ」
リーナが思い出したみたいに声をあげた。
昔はよく三人で帰ってたっけか。
中等部に上がってダンジョン探索が始まってからは、段々とタイミングが合わなくなってそれも減ってきたが。
「……私はこれからパーティのミーティングがある」
暗い顔のナターシャ。
そんなにミーティングが億劫なのだろうか。
「え〜、それは残念。じゃあ至明、今日は二人で帰ろっか」
そう言ってリーナは腕を組んでくる。
幼馴染みとはいえたまに距離感が近すぎて困る。
「リーナ、私がいないからって至明に変なことしないでね」
「ふふ、それはどうかな〜」
リーナは何故か挑戦的な目でナターシャを見る。
「ちょ、痛、痛たたたっ、やめてよナターシャ! 脳みそ出ちゃうって!」
それにナターシャは力を持って応える。
リーナのおでこら辺を鷲掴みにして。
いわゆるアイアンクローというやつだ。
「あのーすみません、ちょっといいですか?」
また教室のドアが開いたかと思えば、今度は見知らぬ少女が立っていた。
「あっ、フィーナ、どうしたの?」
どうやらリーナの知り合いのようだ。
リーナはアイアンクローによる痛みで顔を歪めながらドアの方を見る。
「あの、パーティでミーティングがあるから呼んでこいって言われて。じゃあ私は行くから」
それだけ言い残して、フィーナはそそくさと行ってしまった。
「ふ、どうやらあなたも至明と帰ることが出来なくなったようね」
「うぅ、こればっかりは仕方ないか。っていうかいい加減離してよ! ナターシャの馬鹿力! ゴリラ!」
「どうやら頭蓋骨を粉砕されたいみたいね」
「そういうことなら俺は先に帰るぜ。二人共ミーティング頑張れよ」
言い争う二人を横目に、俺は教室をあとにする。
去り際にリーナが助けを求めていたが、無視する。
なんとかなるだろ。
それに、正直今日は一人で帰りたい気分だったから、少しほっとしてる。
◆◇
「はぁ〜、クビ、ねぇ」
俺は一人、家までの帰路でボヤく。
パーティをクビになるのは何度も経験しているが、この惨めさには未だになれない。
しかも今日はナターシャやリーナにも気を遣わせてしまった。
あいつらは幼馴染みだというだけの俺にいつも手を差し伸べてくれるが、その度に余計惨めな気持ちになる。
「ったく、魔力ゼロでどーしろってんだ、よっ!」
道端の石をイライラをぶつけるように思い切り蹴った。
ちょうど、その時だった。
「あ? 何だこの感じ……」
例えようのない、今まで経験したこともないような不思議な感覚に襲われた。
「――あっちか?」
そう遠くない距離に何かを感じる。
何が何だかまるでわからないが、そこに行けば何かがあるのがわかるという、確信のようなものがある。
そして、俺は絶対にそこに行かなければならないような、初めて覚える感覚なのにどこか懐かしいような。
家とはまったく方向が違うというのに、俺は無意識のうちにそこに向かって走り出していた。
「クソ、なんだってんだよ」
何故だかわからないが、全力で走り続けた。
何かに追われてるかのように走った。
息が切れて、心臓が破裂しそうなほどにドクドクと鳴っているが、とにかく走った。
早く行かなければ間に合わなくなるような、取り返しがつかなくなるような、そんな気がしたから。
「――ここかっ」
狭い迷路のように入り組んだ路地を迷わずに進む。
通ったことのない道だが関係ない。
俺は自分の中にある不思議な感覚を頼りにして、そこへたどり着いた。
「…………なんだよ、これ」
まず驚愕した。
そこにいたのは血塗れで壁にもたれ掛かるように座る女の子だった。
女の子? いや、幼女といっても差し支えないぐらいの子だ。
獣人なのか、頭には猫のような耳があって力なく垂れている。
あまりに衝撃的な場面だが、この場にはもう一人、外套に身を包んだ大柄な男がいた。
そいつは剣を手にしていて、刃には血が滴っている。
誰にだってわかる。
この状況を作り出した元凶が誰なのか。
「……まさか、きてくれたのかえ、晴明」
幼女が俺を見て、震える声で口を開いた。
晴明、誰かの名前だろうか?
だとしたら俺とそいつを間違えているのだろうか?
幼女は泣いていた。
間違いなく、俺を見てから涙を流した。
そして、俺の頬にも冷たい感覚が伝う。
何故だかわからないが、俺も涙を流していた。
この胸を締め付けるような感覚はなんなのだろうか、涙が止め処なく溢れてくる。
「見られたか」
俺はこれからどうするべきなのか、脳みそをフル回転させていると大男が口を開いた。
声はやけに野太い。
「死体が一つ増える」
物騒な言葉とともに男が剣を振り上げる。
空気が冷たくなったような感覚を覚えた。
息が上手く吸えない。
ここまで走ってきて汗だくだったのに、一瞬にして寒気が襲ってくる。
「《
そう言って、男は躊躇うことなく剣を幼女に向けて振り下ろした。
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