第52話 第1回イベント開幕

 そして第1回イベントの開催を迎えた。

 参加、観戦を選んだプレイヤーたちが続々と転移してきて、NPCの案内に従い、コロッセオ内の客席に座っていく。

 巨大なコロッセオはプレイヤーで満員になっており、NLO人気のすさまじさを現していた。


「すごい人だなぁ」


 一緒にゲームをやる予定の咲良がゲームを始められるようになったが、既に観戦の方も参加を締め切られていたため、サキは1人で観客席に座っていた。

 コロッセオの舞台上空には巨大なモニターがあり、そこには舞台中央に立つ司会を拡大して映していた。


「やぁ! プレイヤーの皆さんこんにちは! 私は今大会の実況、運営を務めさせていただきます、シュカイです!! どうぞよろしくお願いします!!」


 舞台中央でマイクを使って話すシュカイ。

 美しい容姿、人を惹き付けるようなテンションの高さ、そして猫耳。彼女の登壇で会場のボルテージが一段階上がったように思えた。


「まずはルールを説明していくよ!! 


ひとーつ、ポーションなどのバフアイテムの持ち込みは禁止だよ。でも毒などのデバフアイテムは持ち込みOK。ちなみに戦闘中にバフアイテムの作成は禁止してないよ。


ひとーつ、従魔の参加はNG。


ひとーつ、ここではプレイヤーキルをしてもOK。一応このゲームはにPKは許してないんだけど、まあもしものためにPK用の称号だったりを用意しているんだ。でもイベント内でのPKでは絶対にゲットできないようになっているから、そこは覚えておいて。


ここまでは大会前に告知していたルールなんだけど、ここからは追加ルールだから、しっかり聞いておいてね。


ひとーつ、予選は100人でのバトルロイヤル! 一応バトルロイヤルをやるってことは告知していたけど、100人でやるってのは知らなかったよね。


ひとーつ、予選で突破できるのは、1グループにつき4人。予選は8回行うから、本選に出場できるのは合計32人だよ。


 ルール説明はこれでおしまい! この大会で優秀な成績を収めたプレイヤーと最優秀プレイヤーは、NLO公式Twoitterトゥーイッターで表彰されるから、顔が表に出てほしくない人は、今のうちに辞退しておいてね」


 Twoitterとは国内最大のSNSアプリであり、NLOが大きくバズった要因でもある。


「みんなに勝って欲しいけどぉ、最終的な勝者は一人しかいないからぁ……勝った人にはご褒美をあげちゃうから、頑張ってね。初戦は――」


「「「ウオォォォォ!!!!」」」


 シュカイが説明を続けていたが、ご褒美という言葉と彼女のウインクに対して、野太い歓声を張り上げたため、最後の説明が掻き消されてしまい、再び説明する羽目になったが、同情する者は誰一人としていなかった。


(うわぁ、男って単純なんだなぁ。ご褒美って上位三名に上げる奴のことでしょ)


 ――咲良side


(やっと設定が終わって、NLOの世界に入れたよ。それにしても大人気ゲームのNLOでも、イベント中だからか全然人がいないよ。)


 NLOの最初の街ファスターでスポーンした咲良――この世界ではリーブ。彼女は辺りを見回して、人のいなさに若干の寂しさを感じていた。


(でも人がいない今のうちに、レベル上げやクエストをクリアしておかないと、異次元のスタートダッシュを決めた美咲に追いつけなくなっちゃうから、頑張らないと)


 リーブはレベル上げのために、武器屋を訪れていた。


「すいません」


「おっ、珍しいね。王都への道が開通した記念で、コロッセオで大会が行われているから、異人はそっちに行っているのに」


「はい、今さっきこの世界に来たばかりなので」


「そうなのかい? それでどんな武器が欲しいんだい?」


「蛇腹刀ってありますか?」


「あるけど、お嬢ちゃんは蛇腹刀なんて特殊な武器を使いこなせるのかい?」


 蛇腹刀。

 蛇のようにうねらせることができる刀だ。自由な攻撃手段を可能とする代わりに、使いこなすのが難しい武器だ。


「えぇ、結構使ってきているので」


「ならいいんだが。1000ラオだよ」


「はい」


「まいどあり!」


(ふぅ、今頃美咲は何をやっているかなぁ?)


 武器屋を後にしたリーブは、王都に居るサキに思いを馳せていた。


 ――サキside


 コロッセオでは、既に予選が始まっていた。

 舞台には大量のプレイヤーが武器を持って、本選を目指して火花を散らしていた。


(へぇ、強い人が多いんだなぁ……でも全然名前が分からないや。あっ、あの人はどこかで見たことがあるけど、名前が出てこないなぁ」


「おっ、嬢ちゃんは、あの剣豪カイを知っているのか?」


「知っているわけじゃなくて――」


 サキは横の人に話しかけられたので、そっちに顔を向けると、見覚えのある強面スキンヘッドの男が座っていた。


「ああ! 貴方は!」


「久しぶりだな、サキ」


「このゲームを始めたばかりの私に親切に接してくれた……なんて名前でしたっけ?」


 その男は、サキがゲームを始めたばかりで、何も分からなかったころ、システムについて色々教えてくれた親切な人だ。


「――俺はヤーさんだ」


「あ―そうでした、すいません」


「はぁ、それでカイさんのことは知らないのか?」


「はい、顔は見たことあるけど、何も知らない人です」


「確かにカイさんは、ネット上での露出が多いから、顔だけ知っててもおかしくないな。知らないのなら、教えてやろう。カイさんはゲーム開始時から最前線を進んでいて、あと少しで王都に到着できるというところで、サキってプレイヤーに……サキ?」


「あっ、次は私の番みたいなので行ってきます!」


――あとがき――

咲良もゲームを始めました。

プレイヤーネームは“リーブ”と名乗っています。


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