第50話 門の先に広がる平原
サキたちはマンホールから脱出した。
マンホールの先に広がっている光景は、巨大な門だ。王都に入った際に通った南門と似通った形だが、周りに広がる建物と若干の模様の違いがあるため、そこが別の門であると言うことが分かっていた。
「ここは東西南北の何処なんだろう?」
「何処か分からなくても、一回外に出てみましょうよ」
「それもそうだね。一回外に出て、どんなところか確かめてみようか」
サキたちは門を潜り、外に出た。
そこには平原が広がっており、見たことのないモンスターが多く生息していた。
「見たことないモンスターばかり……楽しそう!!」
「ま、待ってくださいよ!」
「きゅう!」
サキは興奮して、平原へと駆け出した。
そんな彼女を追うようにアリウムとカグヤも走り出した。
一番近くに居たモンスターは、ソードタイガー。
現代では絶滅しているサーベルタイガーの短刀のような牙が、剣そのものになっている虎型のモンスターだ。
「どれほどの剣術を持っているのか、確かめさせて! “春風流・一閃”!!」
サキの刀とソードタイガーの牙がぶつかり合った。
火花を散らしながらぶつけ合う二人。その一撃で、両者ともに相手の技量を認め合い、弾かれるように距離を取った。
再び駆け出すサキとソードタイガー。
二度目の肉薄、しかし両者の武器がぶつかり合うことはなかった。ソードタイガーが器用に剣を横薙ぎさせた瞬間、彼女は舞を踊るように剣をギリギリで避けた。
剣を振り抜いたことで、首が無防備になっているところに、刀を振り下ろした。しかし刃がソードタイガーの首に触れることはなく、空を切ってしまった。
「反応速度が速いね」
サキは笑みをこぼしながら言った。
これまで以上の速度で駆け出すと、剣と刃を合わせることなく、足を狙った。
その攻撃を察したソードタイガーは飛び退く。しかしそれはサキの罠だ。
「ごめんね、刀だけで勝負したかったけど、あまり時間を掛けたくないんだ。“ホーリー”」
刀を持っていない左手をソードタイガーの方へと向ける。
断罪の光がソードタイガーの額を貫いた。その勢いにソードタイガーの巨体は吹き飛ばされる。地面に転がりながら、ポリゴンへと変わっていった。
「ふぅ、勝てたよ」
「走るの速いですよ」
「きゅう」
足の速いカグヤは、すぐに駆け出したサキに追いついて、戦闘を観戦していたが、そこまで足が速くないアリウムは、ソードタイガーとの戦闘が終わってやっと追いついた。
「今回は私一人で戦闘を楽しんじゃったし、次の戦闘は二人に任せるよ」
「……はい、任せてください」
「きゅう」
アリウムが言いたかったことは、そういうことではなかったのだが、諦めて受け入れていた。
「次のモンスターは……サンダーディアだって」
サンダーディア。
巨大なツノを生やしている大きな鹿。そのツノは帯電しており、雷魔法を乱発できる特殊な技能を持っている。
サキは事前に言っていた通り、アリウムとカグヤに戦闘を任せるつもりだ。その証拠として、刀を納刀したまま、草の絨毯の上で正座していた。
「頑張って」
「頑張ろう、カグヤ」
「きゅう」
アリウムとカグヤは戦闘の構えを取る。
2人の殺気を感じ取ったサンダーディアも、ツノをバチバチと鳴らしながら殺気を漏らしている。
最初に動き出したのは、サンダーディアだ。
ツノをバチバチと鳴らしながらの突進、その先に居るのはカグヤだ。
サンダーディアは弱そうなカグヤを狙い、突進を仕掛けた。カグヤの最高速度にも匹敵する突進は、一瞬にして数十mの距離を詰めるに至った。
「きゅう――」
カグヤはツノが触れるギリギリで避けて、反撃をぶつけようと思っていた。しかしサンダーディアの帯電しているツノから発せられた電流によって、身体が痺れてしまい身体を動かせずに、ツノで吹き飛ばされてしまった。
その一撃はカグヤの体力を削り切り、デスしてしまった。
「カグ――」
隣にいたアリウムが叫ぶよりも速く、サンダーディアの頭が斬り落とされた。
「“春風流・一閃”」
首を落としたサキは、一見無表情のように見えるが、内包された怒りが滲み出て、額がひくついていた。
「ごめん、私の判断ミスだったよ」
「いえ、私たちが反応できなかったのが悪いんですよ!!」
サキが自分のミスでカグヤを死なせてしまったと悲しんでいることを、アリウムは励まそうとしたが、彼女のテンションが戻ることはなかった。
主力であるサキのテンションが、戦闘を継続できるものではなくなったため、王都へと帰還することになった。
――インベントリ――
ソードタイガーの奥歯 レア度4 品質E
ソードタイガーの普通の奥歯
サンダーディアの表皮 レア度3 品質E
電気に対して耐性があるサンダーディアの皮
――インベントリ――
――あとがき――
tips
・特殊な技能
スキルには記載されていないが、生物としての特性で、スキルのような効果を発揮する力のこと。
例:サンダーディア→ツノに帯電されている電気が尽きるまでの間、雷魔法の行使にクールタイムを必要としない
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