第10話結婚せずにキャリアを選んでいたら…

「専業主婦は羨ましい」

そう言われる…

しかし意外と忙しい…

でも退屈感はとても強い。


先日高校のころの同窓会に顔をだした。

結婚した子

独身の子

結婚したけど離婚した子

結婚のなかでも共働きの子、専業主婦の子

いろいろだった。


高校時代にライバルだった子もいた。

とてもキレイになっていた。

聞いたら美容整形外科医をしているそうだ。

結婚はしたけど、すぐに離婚したそう。

どうも旦那が働く女性に理解がなく

すぐに縁を切ったらしい。


その子は

「女も働かないと」

言っていた。


ふだん

漠然と幸せだなと思っていても

別の世界線を生きている同級生としゃべると

価値観に疑いがでる。


私は結婚して幸せだったのか。

いや――

幸せだ。

そう言い聞かせようとする。


なんかこんな事を考えている自分も嫌だ。


うん…

なんか喉が痛いな。

のどスプレーあったかな?

あれ切らしてる。

のど飴…もない。


そういえば

どこかにトローチがあったような


あっ旦那のベットの脇に落ちてた。


とりあえず、これを貰って

あとで買いに行こう。


トローチをなめる。


あれ…

なんだか眠たくなってきた

――――――


あれここはどこ?

どこかの会社?

弁護士事務所…


高級そうなスーツを来た女性が頭をかきながらこちらに来る。


やばい怒られる。


「あっすみません、ちょっと迷ってしまって」


あれ反応がない。


女性はペンを落とす。


「あの…。落しましたよ」

ペンを拾おうとすると、

ペンに触れることができない。


さっきの女性がペンを取る。

その瞬間

なにかおかしなことが起こった。


彼女の記憶が流れ込んでくる。

ふと彼女の胸元に目が行く。

名札があった。

あれ私の旧姓と同じ。


あれ…

この感じ。

これ私なの…。


そうこうしているうちに

彼女の記憶がどんどん入ってくる。


なにこれ気持ち悪い。


―――――――――――

私には好きな人がいた。

仲もよかった。

でも告白する勇気がなく――

好意を表現するでもなく――

夢とキャリアを選んだ。


私は

それがカッコいいと思っていた。


毎日毎日

残業…

権利を守る仕事は

幻想にも思えた。


私達は

正義をしているのか?

いや…

依頼人の権利?利益?確保か…


私達の仕事は

いたって地味だった。


毎日何百という書類に目を通し

不備がないかチェックする。


そして細かい不備に焦点をあて

徹底的にたたく。


そのくり返しだった。


深夜12時すぎに帰宅。

だだっ広い部屋には

誰もいない。


高級そうな家具はあるが

ほとんど使われていない。


部屋の隅には開きもしていない通販サイトの

段ボールが積み上げられ

壁の本棚には

専門書とコピー用紙が積まれていた。


机の近くには

好きだった男性と一緒に取った写真がホコリを

かぶっていた。


隅っこには小さくハートの絵が描かれてあって。

これはたしか…

片思いを両想いにするおまじないだった。


私はコンビニで買った

ノンアルコールビールをあけた。


――プシュ


人気のない部屋に

缶をあける音だけが響いた。


私はコンビニの袋から冷たいチャーハンをとりだす。

コンビニで

「温めますか」

と訊ねられ断わっていたのが印象的だった。


家で温めるのかなと思いきや

そのまま私は食べだした。


5分足らずで完食し、スーツを脱ぎバスルームに向かう。



キャリアの代表とも言える

女性弁護士―――

胸のバッチは輝いているが。


その私生活は寂しいものだった。


私はその姿をみて…



―――――


「だいじょうぶ」

誰かの声がする。


これは…あれは夢だったの。


「どうしたの?うなされてたけど」


「あっ…えっと。

喉が痛くて…

のどスプレーを探したらなくって、ちょうどあなたのトローチがあったから舐めてたら

眠たくなった…そうしたら嫌な夢みちゃって。

あっトローチごめん」


「いいよ。どんな夢見たの」


「私が弁護士やってて。出世はしたけど、寂しい生活送ってるという夢」


「それでどうだった」


「どうだったも…帰ってこれてよかったって思った。あなたがいない生活とか…すごいさびしかったもん」


「ふふ」


そういい彼は私をグッと抱きしめてくれた。

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