第6話 訓練

「その前に……」

(なんだか恥ずかしいけど……)

「ハサミ、ある?」


「あるわよ」

彼女は文房具の筒からハサミを取り出した。


チョキン!

長かった髪をバッサリ切る。


「何してんの!? その長髪、すごく似合ってたのに……」

「重くて仕方なかったんだ。これでスッキリ」

「……まあ、ショートも可愛いわ。美人は何やっても似合うのね」

「そう?」

(もう「可愛い」と言われても気にならない……)


(謎の実験開始)

「じゃあ、実験開始!」

「え……実験?」

「ああ、口癖なの」


「まずはこの機械を全力で殴って」

巨大な装置を見て躊躇う私。


ドカ――ン!

拳が紫に光り、装置は粉砕。コア部分は100m先の壁を貫通した。


「……もう一度変身して」

スキャナーで戦闘服を解析する智子。


「なんだよ……計算が必要だって?」

「通常1秒もかからない素材解析が……」


酔っ払った技術官・佐藤巧が説明する。

「データベースには人類が作り得る全素材が登録されている……だが理論上の未確認素材は含まれていない」


「失恋中よ。話しかけてみたら?」智子が囁く。

「い、いいです!」

(からかってるんだろうな……)


「本題に戻りましょう……」

「そうね! もしこれが人類未踏の素材なら……さらに分析が必要だわ」

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