白咲 白空(4)

「葉言、愛してる。」

あれは本心なのか、噓なのか。そんなのはどうだっていい。ただ、心を満たせたら。




私と葉言は中身のない愛を言い合った。

「愛してる。」


「愛してる。」


「愛してる。」


―――――そして、壊れていった。

「葉言、私のこと、愛してる?」

「…愛してるよ。世界一。」

互いに依存し合った。

「葉言、愛してる。」

互いに傷つけあった。

「白空。白空なら受け止めてくれるよね?」

そして。もっとも私が恐れていたこと。

「白空、大好きだよ。」

葉言は私の服を無理やり脱がせた。

「!?葉言…っ!?やめ、」

「いいでしょう?だって、「愛してる」んでしょ?ねぇ!!!!!!!!」

私は怖くなった。

目の前が真っ暗になる。

あの時の記憶が蘇る。


『誰にも言うなよ?言ったらどうなるか、分かるよな?』

『ごめんね、白空。お母さんの代わりに、お父さんの玩具になって…。』



「いやあぁぁぁ!!!!!!!」

私は葉言の家を飛び出した。


またっ!またあんなことされたらっ!私…!!!!

頭はあの日のことでいっぱいだった。

だから、今いる場所がどこなのかも分かっていなかった。そして、隣から迫りくる電車にも気づいていなかった。

「…え?」

目をつぶった私は強い衝撃とともに目を開く。

目の前にはバラバラになった葉言の死体があった。

葉言は私を押して、代わりに轢かれていた。

「は…こと?…」

私は血まみれの葉言の遺体を抱きかかえた。

「ごめんなさい…葉言。」

不思議と涙は出なかった。…いや、

出ないのは必然だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る