ブラック企業で激務に追われていたOLが、異世界に転生した。没落子爵家の令嬢リリス・ラヴェンダーとなった彼女は、大好きだった卵料理を食べるため、節約料理と生活スキルで家計を立て直しに奮闘し始める。
女の子たちと協力してお金を稼ぎ、家族と一緒に美味しい料理を食べる光景がほのぼのとして和みます。
貴族でも貧しいラヴェンダー家にあるのは、塩や酢、小麦粉、干しキノコ、あとは庭に生えたハーブくらい。そんな限られた材料からリリスはお菓子やハーブ石けん、野菜の漬物などを手作りし、市場で販売して家計を支えていく。すべては愛する家族の笑顔のために。リリスのひたむきな想いに魅せられます。
市場での商いを通じて、農家や商家出身の女の子たちと出会い、"百合草の誓い"というサークルを結成。若い女の子たちが集まって、お菓子作りやクラフトを楽しむ様子が可愛らしくて読んでいて楽しくなります。
当初は自分たちのために始めた商売が、やがて市場を訪れる人々の暮らしにも小さな変化をもたらしていく――。節約料理で世界をちょっとだけ豊かにする、優しくて美味しい異世界ファンタジーです。
(「物価の救世主」4選/文=愛咲優詩)