第12話:奇跡のアンコール、伝説の再燃

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@RefrainBeat_KANA 2025/07/12 19:00:00 JST

#合同ライブ本番 #全力出すぞ #サプライズ楽しみ

今日の合同ライブ、

みんなで最高の音を届けようね!

クリムゾン・シールドさんも、

そして噂のサプライズゲストも楽しみ!


@CrimsonShield_Official 2025/07/12 19:30:00 JST

#合同ライブ #全力パフォーマンス #音楽の夜

リズムガーデン・ナイト。

本日は全力でパフォーマンスを披露する。

共演者たちとの音楽の響きを楽しみつつ、

最高のライブにする。


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「お姉ちゃん、遊びに来たよー!」


賑やかな子供の声。

和歌はリズムガーデンのドアを開けた。

抱っこ紐には赤ちゃん。

手を引く小さな男の子は、

怜に向かい笑っている。


「和歌…それに、コウとユウ」


怜は受付カウンターから顔を上げた。

普段は感情を表さない彼女だが、

妹と子供たちの姿には、

かすかに頬が緩む。


和歌は、慣れ親しんだ

リズムガーデンへと足を踏み入れた。

その瞬間、ふと、

脳裏に古い響きがよぎる。

『リズム堂』。

ああ、今は

『リズムガーデン』なんだっけ…と、

和歌は改めて思い出した。

時の流れをかすかに感じながら、

和歌は怜の顔を見た。


「今日、ライブでしょ?頑張ってね!」


和歌は男の子の頭を撫でた。


「コウもユウも、

お姉ちゃんに会えるの、楽しみにしてたんだよ」


子供たちは

元気いっぱいに「おー!」と声を上げた。


「…そうか」


怜は簡潔な返事をしたが、

その眼差しは優しかった。

ライブ前の忙しい時間にも関わらず、

妹と甥っ子たちの訪問は、

彼女にとってささやかな癒しとなっていた。


「少しだけなら大丈夫だ。

そこのソファにでも座っていろ」


怜はそう言うと、

再びライブの準備へと意識を向けた。

和歌は子供たちを連れてソファに座り、

姉の忙しそうな様子を微笑ましく見守っていた。


あれから2日。

リズムガーデンで開催される合同ライブイベント

『リズムガーデン・ナイト』の本番当日だ。

会場は、開演前から熱気に包まれている。


【リフレイン・ビートの成長、きらめく音】


ステージ袖で、

リフレイン・ビートのメンバーは

最終確認をしていた。

緊張と興奮が入り混じった顔。


「みんな、落ち着いてね。

いつもの練習通りに」

奏が笑顔で声をかける。

「うん! 絶対、最高のライブにするからね!」

響が力強く頷く。

結月も、深く深呼吸をする。

「精一杯努めさせて頂きますわ」と、

梓咲も「集中する」と、

それぞれの言葉で覚悟を決めていた。


いよいよ、リフレイン・ビートの出番だ。

まばゆい照明がステージを照らす。

4人は、大きな拍手と歓声に迎えられ、

ステージへと駆け上がった。


一音、一音、魂を込めて演奏する。

リード曲『きらめきノート』が始まると、

観客も手拍子で応え、

会場全体が一体となっていく。

歌詞を間違えそうになる奏だったが、

響の力強い目力と、

結月のさりげないフォロー、

梓咲のクールなアイコンタクトで乗り切った。

以前の彼女たちでは考えられないほど、

堂々としたパフォーマンスだった。


一曲、また一曲と、

彼女たちの成長が音となって会場に響き渡る。

観客の笑顔、鳴り止まない拍手。

リフレイン・ビートは、

自分たちの音楽が、

確かに届いていることを感じていた。


続いてステージに上がったのは、

プロを目指すクリムゾン・シールドだ。

登場するだけで会場の空気が変わる。

代表曲『Silent Roar』の力強い演奏と、

神崎晶のカリスマ的なボーカルが、

会場の熱気を最高潮に達させた。

プロの迫力に、

リフレイン・ビートの面々も、

ステージ袖から息をのんで見守っていた。


【伝説の予感、サプライズの登場】


クリムゾン・シールドの熱演が終わり、

会場には興奮冷めやらぬ拍手が響き渡る。

そして、司会者がマイクを握り、

高らかに告げた。

「さあ、お待たせいたしました!

スペシャルゲストの登場です!

伝説のバンド……ブレイズ!」


その言葉に、会場がどよめいた。

まさか、あのブレイズが、ここで!?

怜は、カフェスペースの奥で

コーヒーを飲んでいたが、

その言葉に驚いて固まった。

手元のカップを危うく落としそうになる。


ステージには、見慣れた顔が現れた。

ブレイズの元ボーカル・東堂詠。

ベースの汐見隼。

そして、怜と再会したばかりの

マーク・ジョンソン。

彼らがステージに上がり、

ドラムセットの方を見て、

怜に手招きする。


「行くぞ」東堂詠が怜に向かって叫ぶ。

「また一緒にやろうぜ!」

マーク・ジョンソンも笑顔で誘う。

汐見隼は、無言で怜に視線を送っていた。


怜は一瞬躊躇した。

しかし、旧友たちの熱い視線に、

彼女の心の奥底に眠っていた何かが、

再び燃え上がろうとしていた。

「……やむを得ないか」

小さく呟くと、怜は椅子から立ち上がった。

そして、ステージ袖の楽屋へと向かう。

楽屋のドアが、カチャリと音を立てて閉まった。


数秒の後、ドアが再び開く。

まばゆいスポットライトが、

ステージへと続く道を照らす。

そこへ、ゆったりとした足取りで、

一人の人物が歩みを進める。

長く艶やかなロングヘアが

光を反射し、

その影がステージに長く伸びる。

そこにいたのは、まさしく伝説のドラマー「RAY」。

会場の期待と熱狂が、

その背中を押す。


【音の爆発、予期せぬ素顔】


ドラムセットに着いた怜が、スティックを掲げる。

一打。会場が揺れ、

ブレイズの代表曲

『Burning Soul』のイントロが響き渡る。

圧倒的なドラムのグルーヴと、

放つ存在感は、カツラでは隠しきれない。

客席からは「すげぇ!」「この音、ヤバい!」と

感嘆の声が上がる。

ステージ袖のリフレイン・ビートのメンバーも、

その音に鳥肌が立っていた。

まさしく、伝説の音。

会場全体が、ブレイズの圧倒的なパフォーマンスに

酔いしれていく。


そして、激しい演奏の最中、

ヘッドバンギングの勢いで、カツラがズレ落ちた。

客席に投げ出されたカツラの奥から、

ショートヘアの怜の素顔が露わになる。

会場のざわめきが、確信へと変わる。

「まじか…!」「やっぱり本人だ!」「あのオーナーが!?」


怜は、かつての仲間たちと目を合わせ、

最高の笑顔でドラムを叩き続けた。

その圧倒的なグルーヴに、観客は熱狂する。

それは、伝説の再燃であり、

怜自身の音楽への覚醒の瞬間だった。

リズムガーデン・ナイトは、

奇跡のアンコールとなった。


【姉の再燃、和歌の涙】


客席の最前列でライブを見ていた和歌は、

ステージで力強くドラムを叩く姉の姿に、

目に涙を浮かべた。

彼女は、姉の怜が

ドラムを叩く姿を見て、応援してきた。

目の前で、再び姉がブレイズのドラマーとして、

最高の笑顔で演奏している姿に、

和歌は心から感動し、

静かに呟いた。

「お姉ちゃん…!あの音…!

戻ってきてくれて、ありがとう…」

その表情は、

姉の再燃を心から喜ぶ、

温かいものだった。


【終演後の視線、未来へのビート】


ライブが終わり、

喝采と興奮に包まれる会場。

ステージ上の怜は、

観客席の最前列でまだ泣き笑いしている

和歌の姿を捉える。

怜は、普段のクールな表情を少し崩し、

微かに照れくさそうに、

そして優しく和歌に目線を送った。

その視線は、

言葉以上の感謝と、

未来への希望を伝えるかのようだった。

怜の心には、

止まっていたビートが、

力強く、そして永続的に

刻まれ始めていた。


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@RefrainBeat_KANA 2025/07/12 22:00:00 JST

#合同ライブ大成功 #ブレイズ復活 #感動ありがとう

今日のライブ、最高でした…!

リフレイン・ビートも全力出し切れたし、

クリムゾン・シールドさんもやっぱりすごかった!

そして、まさかあのブレイズが…!

怜さんと、あの外国人さん、

そして東堂さんと汐見さん…!

本当に夢みたい!一生忘れない!


@CrimsonShield_Akira 2025/07/12 22:30:00 JST

#伝説の夜 #ブレイズ #衝撃

リズムガーデン・ナイト、忘れられない夜になった。

ブレイズの復活。そして、神楽坂怜氏のドラム。

あれが本物。私たちも、もっと高みへ。


@Mark_J_Guitar 2025/07/12 23:00:00 JST

#Ray #Blaze #Reunion

Tonight was epic! My old band 'Blaze' reunion with Ray on drums.

She still got it! What a night!

(今夜は最高だった!怜のドラムで昔のバンド『ブレイズ』が再結成。

彼女はまだ健在だ!なんて夜だ!)


@RhythmGarden_Ray 2025/07/13 00:00:00 JST

#衝動 #覚醒 #まだ先へ

音。やはり、私は音と共にいるべきだ。


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【次回予告】

響:「ねぇ怜さん、ブレイズのライブ、本当にすごかったね!」

奏:「もう一度、怜さんのドラム、聴きたいな…!」

怜:「……(遠い目)」

梓咲:「どうせまた、ろくな作戦じゃないだろうな」


次話 第13話 余韻と、揺れるリズム

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