隣の席の(自称)金髪小悪魔系美少女は、俺にだけデレるらしい。

田村氏

序章

金髪の女の子は、今日も家凸するらしい。

 俺、四宮虎太郎しのみやこたろうが日課の推し事をしていると、ピーンポーンと家のチャイムが鳴った。俺は嫌な予感がしたのですかさず、


「おーい朝陽あさひー、出てきてくれー」

 

 と妹に頼んだが、返事は


「いいよ〜、でも後でアイス奢ってね? あ、もちろんダッツで!」


 と言う声とやけに早い足音。あいにくながらアイスに使う金は持ち合わせていない。ならば今から全力ダッシュで妹より先に玄関へ行くべきかなどと考えていると、爆音で俺の部屋のドアが開き、


「やっほーこたろー!」


 と朝から元気に俺のベッドにinした。いや、は?

 勝手に俺のベッドに入り込み何やら毛布を嗅いでいる様子。


「いやー、これは匂いフェチになるわ……」


 いや、おい。いきなり何してくれとんねん。


「いっつも言ってるよなぁ⁉︎ 勝手に人の部屋に入るなってさぁ‼︎ しかもこたろーじゃなくて先輩って呼べって言ってるだろぉ⁉︎」

 

 と俺の叫びを聞いている間にも、


「なんでー? えっちな本でも置いてあるのー?」


 とか、


「相変わらず私の事好きなんだねー? 別に逃げないんだから、もうちょいゆっくり喋ったら? 陰キャ出てるってw」

 

 などと言うこいつに話が通じるわけがなかったので、とりあえず要件を聞く事にした。


「で? お前はなんの用があって俺の部屋に来た?」


「え? デートしに来たんだよ?」

 

 とほざいているが、結局断れないことは自分が1番知っているので、俺は出かける用意をしようと腰を上げると、


「え? だからお家デートだよ?」


 俺の中で思考が加速ブーストした。


 え? おうちでーと? あの? ようきゃみたいなひとたちがやる? え?

 

 たいして加速ブーストしていなかった。 

 そうして思考停止していると、胸から下にかけて何かやわらかい、温かい感触。後いい匂い。


 こ れ は

 

「ちょ、おま、えっ、急に抱きつくなってぇぇ!」

 

 本日2回目の発狂である。だけど仕方ないと思う

 んだ。だって陰キャだもん。抱きつかれるのなんて妹くらいからしかなかったもん。


「え? こたろー、顔真っ赤にして、、こたろーがデレたー!」


「いぃやぁデレてねーし⁉︎ デレる要素全くなかったしぃ‼︎」

 

 全力で弁解する俺。けど仕方ないって。健全な男子高校生なら可愛い女子から抱きつかれたら何かしらの反応はあるんだって。


「いやぁこたろー君は今日も可愛いですなぁ……よーし満たされた! 今日はお暇させていただく!」

 

 そう言って足早に俺の部屋から出ていくあいつは、やけに顔が赤かったような気がした。

 

 そして、今度は入れ替わるように朝陽が入ってきた。


「どったんお兄ちゃん、そんな暴れんなよ—って」

 ①さっきあいつが乗って暴れて崩れたベッド

 ②俺の着替えかけの状態

 ③あいつが顔を赤らめて出ていった

 この3つを総合して出した妹の結論は………


「私のおにぃちゃんが寝取られたぁぁ‼︎」

 と泣いたふりをしながら部屋を駆け足で出ていく。いつもの日常だな。

 そうだ。今顔を赤らめて出ていった自称小悪魔系女子が、ただのツンデレだった頃の話をしよう。

 

 ——————————————————————


 なんかエタりそうだったので1話から構成を考え直すことにしました。


 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る