第9話 『皆で友人の凄さに驚きます』

 日が昇った。

 玄関を開ける。


 「ソフィアさん? 体調は・・・ぬおっ!?」


 俺は中に入って驚く。


 ちゃぶ台を囲んで眠る女子3人。

 イグニスさんは騎士の装備を脱ぎ捨てて、仰向けて腹を出しながらよだれを滴し爆睡。

 ウズメさんは、ちゃぶ台に突っ伏して寝ているソフィアさんの隣で猫のように丸くなって眠っていた。


 イグニスさんの姿に目のやり場に困る。


 「んむぅ・・・」


 ソフィアさんが目を覚まして体を起こして目を擦る。


 「んぅー・・・くぁっ」


 そのまま伸びをしてあくびをする。

 ローブはダメになってしまったため、今は、白いワイシャツ姿だ。

 寝苦しかったのかボタンが普段より外れていた。

 そこから覗く素肌にドキッとする。


 「・・・あれ。 ハニオカさん?」


 自分の姿に気づいていないソフィアさんが寝ぼけ眼で俺をとらえる。

 ぽやぽやとした寝起きのソフィアさんが可愛らしいが、このままここに居るのはまずいな。


 「あー、いや。 体調はどうかと思ったんだが起こしてしまったな。 もう少し休んでて良いぞ」


 俺が言うとソフィアさんが首を振る。


 「いえ、お金を返すと決めましたから、SHQ中級ポーションの製作に取りかかります」


 言いながら立ち上がる。

 と。


 「ぬおいっ!?」


 俺は顔を背ける。

 下は、何も着ていなかった。

 ワイシャツの裾の隙間からちら見えする太もも。

 下着はギリギリ見えなかったが、あれを安易に見るのはまずい!

 おっさんは即痴漢で牢獄行きだ。


 「え? ・・・あっ!」


 俺の反応に自分の装いき気づいたのだろう、ばばっと右手で下半身を、左手で上半身を守る。


 「ご、ごめんなさい。 寝るのにシワになっちゃうと思って・・・。 お見苦しいものを」


 「いや! 前にも言ったがソフィアさんは魅力的だから! だから、そう言うのは本当に良くないと思う!」


 「・・・え? あ、そ、そうでしたね。 えと、じゃあ、み、見ます?」


 見・ま・す!?


 寝起きで頭が働いてないのか!?

 俺じゃなかったら大変なことになってるぞ!?


 「いやいやいやいや! なんでそうなる!? 早く下を履いてくれ!」


 「あははっ! ソフィア、落ち着いて! 暴走してるから!」


 「な! う、ウズメ! 起きてたのですか!?」

 

 「えぇい、うるさい! って、なんだこの状況は!! さては貴様私のソフィアに! 裁判長! 処刑で良いな!?」


 「ちょ! イグニスも落ち着きなって! なんにもないから!」


 後ろで女子3人がバタバタとして居た。

 一晩で随分と仲良くなったらしい。


 しかし、このままここに居ればさらにドタバタしてしまいそうだ。


 「お、俺は外に居るから落ち着いたら教えてくれ!」


 俺は慌てて外に出た。


 ◯


 「お騒がせしました」


 家から女3人が出てきた。

 イグニスさんはいつもの騎士装備。

 まだ眠たいのか、若干ぬぼーとしている。

 ウズメさんは巫女服。

 寝起きのイグニスさんとはうってかわり、ピシッとした立ち姿だ。

 ソフィアさんは、いつものとんがり帽子を被り、ノースリーブの白ワイシャツのボタンを第2ボタンまでしっかり閉めて、下もちゃんと黒いスカートを着ていた。

 ローブがないと彼女の細い体が目立ち、吹けば折れてしまいそうで若干心配になる。

 黒いローファーを履いて黒いニーハイに包まれた彼女の足は細くて少し触っただけで折れてしまいそうだ。

 しかし、ローブに隠れていた絶対領域にはどうにも目が吸い込まれそうになってしまう。

 見すぎは良くない。

 気持ち悪いからだ。

 俺は意識してソフィアさんの目を見ようとする。

 目を合わせていれば下は見なくてすむからな。

 しかし、ソフィアさんは寝起きのやり取りを思い出しているのか、恥ずかしがっていて、俺と目を合わせてくれなかった。


 さて、そんな俺は、ごつい騎士と無口な男性騎士アングリフさんの2人と共に、俺が新しく作ったろ過装置をソフィアさんの家のとなりに作った工場へ運んでいたところだった。


 「おはようございます班長!」


 ごつい騎士がイグニスさんに挨拶する。


 「あぁ、おはよう。 フィールとアウトはまだ戻ってないのか?」


 「あぁ、さっき定期報告に一瞬だけ戻ってきた。 後で報告する」


 「そうか。 わかった。 後でよろしく頼む」


 「おう!」


 「それで? なにをしてるの?」


 ウズメに問われる。

 俺は、ろ過装置を持って工場へ向かう。


 「ん? いや、『調合室』の中も全部無くなっちまっただろ? だから、良い機会だし新しい『調合室』を作ろうと思ったんだ」


 俺の言葉に互いの顔を見合って首をかしげた後、後ろをついてきた女子3人。

 と、家の隣をみた瞬間、ソフィアさんが驚いた顔をして叫んだ。


 「な、なんですかこれ!?」


 ソフィアさんが見つめる先には、立派な建物が出来ていたのだから、驚くのも無理はないだろう。

 昨日までは無かった建物だ。

 

 「あ、勝手に作ってしまったんだが、問題なかったか?」


 「いや、問題とかそう言う事言ってられますか!」


 俺のとなりに来てズイッと顔を近づけてくるソフィアさん。

 怒った顔だ。

 

 「えっと、ごめん。 ソフィアさん、『調合室』が必要かなと思って作ったんだが・・・迷惑だったよな。 すぐ取り壊す」


 俺は、工場に手を伸ばして壊そうとする。

 せっかく作ったが、迷惑なら壊さねばな。


 「いやいやいや! ちょっと待ってください! 驚いてるだけで迷惑なんて思ってないです! え? これ、『調合室』なんですか?」


 俺の手に抱きいて、無理やり降ろそうとしてくるスフィアさん。

 ぐぐっと手が下に向かう。

 ソフィアさん、意外に力があるよな?

 まぁ、今は良いか。


 「あぁ、ソフィアさんのために作った『調合室』だ」


 「私の・・・ため」


 顔を赤くして俯くソフィアさん。


 「やるじゃない。 私も手伝うわ」


 イグニスさんが俺の背中を叩いて工場に向かって行った。

 あれ? 砂の守りが発動しなかったぞ?


 「ソフィア! 良かったね!」


 ウズメさんがソフィアさんの背中を撫でたあと、イグニスさんを追いかけていった。


 「やっぱり夢なんじゃ・・・?」


 ソフィアさんがそんなことを呟く。


 「あの工場、作るのにそこそこ体力使ったんだ」


 「え?」


 「だから、夢にされたら少し悲しい」


 「あ、ふふっ。 そうですね。 ここは現実。 夢や幻なんかじゃない。 そうですね!」


 言いながら良い笑顔で俺の手を握ってきた。


 「え?」


 俺は驚くが、ソフィアさんが悪戯っぽい笑みを浮かべて俺を見つめていた。


 「ふふっ。 しっかり捕まえてないと、すぐ離れようとしますからね」


 う。

 やっぱりあの日、一緒に家に入らなかったこと怒ってるよなぁ・・・。


 「痛いところをつく。 あの日はひとりにしてごめん」


 ソフィアさんは悪戯っぽい笑みのまま俺を見つめる。


 「そうですね! 反省してください。 ・・・私も、もうあなたの手を拒否したり、離したりはしませんから」


 最後はどこか、決意のようなものを含んでいた。


 「それって、おっと!?」


 俺はあの日の事かと確認しようとするが、突然手を引っ張られてしまい、話が終わってしまった。

  あの日のことは俺が不甲斐なかったのだからソフィアさんが気にすることはないのだが。


 「さぁ、あの中を紹介してください!」


 「いや、紹介も何も、ほとんど何も出来てないんだが」


 「え? そうなんですか?」


 「そりゃあ、ソフィアさんの『調合室』だ。 ソフィアさんがやりやすいように作らないとだろ」


 「あぁ、なるほど。 ふふっ。 それじゃあ、出来上がった『調合室』で最初に作るのはマジックポーションにします」


 「なんで?」


 「だって、きっと、とても疲れると思いますから」


 「あ、こき使う気だな?」


 「遠慮、しなくても良いんですよね?」


 「それは、そうだが・・・お手柔らかに頼むよ」


 「ふふっ! はい!」


 こうして、ソフィアさんの『調合室』製作に取りかかった。


 ◯


 「完成だ!」


 夕方。

 ソフィアさんの要望を聞きながら、俺とイグニスさん、ウズメさんに副班長とアングリフさんで機材や家具を作ったり移動させたりして、なんとか完成させることが出来た。


 最後、入り口に看板をつけることにした。

 ソフィアさんは、いらないと言い張ったが、俺は形から入る派だと言うことを強く主張し、看板はつけるべきだと言い張った。

 頑固者同士平行線となってしまったため、その場に居た者で多数決をとり、看板をつけることになった。


 看板をつけることになった途端、ソフィアさんも諦めがついたようで乗り気になり、名前を一緒に考えてくれた。


 俺の中では『ソフィアのアトリエ』一択だったが、ここは、ソフィアさんの『調合室』だ。

 ソフィアさんが考えた物が良い。

 それに、やはり、パクりはいけない。


 そして、看板にはソフィアさんの希望通りの名が刻まれた。


 『スタジオ・ソフィア』


 これはこれで、パクりになるんじゃないだろうか?


 「・・・看板がつくと良いものですね」


 嬉しそうに入り口の上についた看板を見上げて微笑むソフィアさん。

 

 「だろ? しっかしなんであの名前なんだ?」


 俺はなんとなしに聞いてみた。

 するとソフィアさんは、嬉しそうなままに教えてくれた。


 「師匠のお店が『スタジオ・ジェイド』だったからです。 師匠は、私の憧れで目指す姿です。 私は師匠に教えて貰った技術で色々な人を助けたいですから。 それに」


 視線を看板から俺に移す。


 

 「私も、形から入るのは嫌いではないので」



 自身の綺麗な三つ編みを触り、照れ臭そうに頬をかくソフィアさん。

 なんだ?


 「そうなのか?」


 「ふふっ。 そうですよ」


 なんて笑いながら『スタジオ・ソフィア』の中に入っていくソフィアさん。

 俺もそれに続く。


 中にはイグニスさんとウズメさん、副班長と男性騎士が話をして居た。

 俺たちに気づく。


 「看板は無事につけられたの?」


 イグニスさんがソフィアさんに聞く。


 「はい! おかげさまで!」


 「良かった。 それじゃあ、作っていくんだよね?」


 ウズメさんに問われて強くうなずく。


 「はい。 まずは、ハニオカさんの為にマジックポーションを作ります!」


 「ふふっ! いいね! 見学しても良い?」


 「良いですけど、つまらないですよ?」


 「いいのいいの! 見せて見せて~!」


 「はぁ、では。 準備するので少々お待ちください」


 そうしてソフィアさんが、工房の中心に作られた、ソフィアさんが一番作りやすい位置に天板を置いたテーブルの上を整理し始めた。


 ◯


 「では、始めます」


 俺も、ソフィアさんがポーションを作るのをちゃんと見るのは始めてだ。


 工房の中心にはテーブルがあり、テーブルの右横にはソフィアさん希望の大きな壺状の鍋とそれを暖めるに足る大きな竈。


 工場の右壁にはろ過装置を3台備え付けて、常にHQの綺麗な水を作り続けている。

 水は、近くの川から引っ張ってきている。

 ソフィアさんが釣りをしていたのを思い出して探してみたら、案外近くにあったため助かった。

 よくよく調べてみると、ソフィアさんの家は近くの川から水を引っ張っていたらしく、水路までも見つけることが出来た。

 俺は、その水路に新しい道を作る形で工房へと水を引いた。

 工房内では、ろ過装置から鍋までの水路も作った為、一々ろ過装置から水を持ってくる必要もない。

 簡単な蛇口を土で作り、鍋のすぐ横に設置した。

 鍋の下には蓋をつけて、作り終えて残った水や鍋を洗ったときに使った水をそのままろか装置に戻すように水路を引いた。 ろか装置に戻った汚水は何度かろ過されてやがては綺麗な水に戻る。

 ソフィアさんが重たいものを運ぶのは大変だろうし出来るだけ出費を押さえられるように思って作ったが、これが大変喜ばれた。


 反対の左側の壁には、薬草を種別に保管できる棚と俺が作った約500個のポーションを入れる瓶の形をした土の入れ物を保管する戸棚を作った。

 薬草の棚には今はまだ、下級薬草と中級薬草がNとHQの2種類ずつしかないが、これから種類や他の素材が増えるようなら棚も増やしていくつもりだ。

 もちろん、ソフィアさんが取り出しやすい低い位置に素材の棚は作ってある。

 枚数も10枚事で仕切りをつけて数を把握しやすくしてある。

 土の入れ物も土の戸棚の中、低い位置で並べられている。 基本的には使ったら入れ物は返してもらうつもりだが、まぁ、借りパクや破損は絶えないだろう。

 無くなり次第作っていくつもりだ。


 そんな工房の中心で、ソフィアさんは棚からHQの中級薬草を持ってきて、近くにあった自身の鞄から干し肉、貝殻、そして、初めて見る紫色の薬草を取り出してそれぞれをテーブルに置いた。

 

 「数えやすいのは良いですね。 とても助かります。 中級薬草100枚をすぐに取り出すことが出来ました」


 今、この部屋には俺とソフィアさん、イグニスさんとウズメさんがいる。

 他の『哨戒班』の面子は自身の仕事をするのに出ていった。

 働き者だな。


 イグニスさんとウズメさんは仕事とか無いのだろうか?


 「まずは、ハニオカさんの為にマジックポーションを作ります。 マジックポーションができ次第100個のSHQ中級ポーションの作成に取りかかります」


 ソフィアさんは、竈にに火を起こそうとする。

 

 「あら、火が欲しいなら私がつけるわよ」


 言いながらイグニスさんが指先に小さな火を灯した。


 「本当ですか? 助かります。 私、どうも火は」


 「『魔術』には得意不得意があるものね。 私も水が苦手だわ!」


 「そうでしたか。 では、水が必要になった時は私が助けますね」


 「あぁ! では、火を灯そう」


 イグニスさんが、釜の下にある木に火を灯した。


 「ありがとうございます。 あ、そうだ。 ハニオカさんは、みかん、ぶどう、りんご、どれが好きですか?」


 「え? どうして突然?」


 「気になったので」


 良く分からないが、聞かれたことには答えるか。


 「その中なら、りんごかな?」


 「分かりました」


 と、言いながら鞄の中を漁る。


 「あ、マジックポーションの素材がもう切れちゃいますね。 ふふっ。 普通は薬草の方が先に枯渇するのに、おかしな話です。 いっそのこと、全部使ってしまいましょう。 後は、え~と、良かった。 まだありました」


 ぶつぶつ言いながら何かを取り出すソフィアさん。

 

 「それは何?」


 ウズメさんが聞く。


 「これですか? 果物を干した物です」


 「それを何に使うの?」


 「マジックポーションですが?」


 「・・・ん? マジックポーションにそんな素材が必要だったっけ?」


 ソフィアさんは、テーブルに果物を干したもの。

 前の世界で言うドライフルーツを置いて、鍋の隣についている水道の栓を抜く。

 釜の中に水が入り始めた。


 「確かに、マジックポーションに果物はいらないです」


 「うん。 やっぱりそうだよね? 不純物を入れたら十分な効果を発揮できないと思うんだけど」


 「ウズメさん、よく知ってますね。 その通りです。 ですがこれは、不純物ではありませんよ」


 「え? どういうこと?」


 不思議そうな顔をしたウズメさん。

 ソフィアさんは、鍋の中に入り続ける水量をじっと見て気づいていない。


 「ふふっ。 夢みたいです。 大きな鍋で、一度に沢山のポーションを作るのは『薬師』の夢です。 私も憧れてました」


 必要な量が貯まったのだろう、水を止めるソフィアさん。


 「それがまさか、こんな形で叶うとは思ってなかったですけど」


 言いながらテーブルを挟んで対面に立つ俺を見つめてくる。

 嬉しそうで何よりだが。


 「ちょっと! 話は終わってないよ!?」


 ソフィアさんの隣で必死の形相のウズメさんがいるので、話をしっかり聞いてやって欲しい。


 イグニスさんは俺の隣で腕を組みながら静かにソフィアさんの手元を見ている。


 「あ、ごめんなさい。 干した果物が不純物でない理由が知りたいんですよね?」


 「う、うん。 マジックポーションの材料は『豚肉』と『貝殻』、それと『魔力草』だよね?」


 『魔力草』。

 あの、初めて見る紫色の薬草の事だろう。


 「正解です。 もしかして、ポーション作りにご興味が? それとももしかして作れたりもするんですか!?」


 ずずいっとウズメさんに顔を寄せるソフィアさん。

 ポーションヲタクだからな。

 ポーション語りができることを喜んでいるのだろう。


 「あ、いや。 私、『神降ろし』で人の治療をするから、ポーションの役割や効果も知っておかないとならなくて勉強しただけなんだよね」


 「そ、そうでしたか。 すみません、取り乱して」


 ちょっとしょんぼりしながら離れるソフィアさん。

 頭を振って気を取り直す。


 「さて、先程ウズメさんが言った素材を見てください。 まずは、お金があったときに買った豚の干し肉」


 指差すのはなんの変哲もない干し肉。

 同じ大きさの、コンビニで売っていたおつまみビーフジャーキー。 あのサイズが13枚。

 

 「次に、この大陸に上陸してすぐに手に入れた貝殻」


 貝殻も大きさに差のないの物が13枚。

 牡蠣のような貝殻だ。


 「そして、薬草のついでに採集したなんの変哲もない『魔力草』」


 紫色の葉。

 下級薬草がそのまま紫色になった感じだ。

 それが同じくらいの大きさで13枚。


 「干し肉が13枚しかなかったので、今作れる最大個数13個を全部作ってしまいます」


 「う、うん。 いや待って? 果物の説明は?」


 「えぇ、それは、この『魔力草』にあります」


 「『魔力草』が?」


 「はい。 『魔力草』がマジックポーションに必要な理由って分かりますか?」


 「あー、そこまでは考えたこと無かったよ」


 「えぇ、そうだと思います。 普通は素材があればそれで十分なので。 ですが、私の師匠は、そう言ったところが気になる人でした」


 ソフィアさんは言いながら干し肉を包丁で切り始めた。


 「師匠の教えのせいでしょうね。 私もそう言ったところが気になってしまうようになりました」


 1枚を綺麗に8分割。

 それを、13枚。

 ぴったり同じ大きさに切り分ける。


 その手元を見てイグニスさんが「・・・やるな」と呟いていた。


 「それで、『魔力草』の文献を師匠と一緒に読み漁ったんです」


 そのまま、今度は貝殻を1枚ずつ、棒を使って砕き始める。

 こちらも1枚1枚丁寧に、綺麗に、破片の大きさが均等になるように。


 それを見たイグニスさんが顔をしかめる。

 あり得ないものを見るように。


 「・・・いったい、どれだけ砕き続ければあれだけ均一に?」


 ソフィアさんの隣のウズメさんも目を見開いている。


 あっという間に13枚砕き終え、大体1枚いかないくらいの量を残して干し肉と共に鍋の中へと投入した。


 「ね、ねぇ、ソフィア。 あの鍋に入ってる水の量って・・・」


 説明の途中だと言うのにウズメさんがソフィアさんに問う。


 「はい? 13個分ですよ?」


 「計りは?」


 「無くても大分わかりますよ?」


 「・・・嘘」


 「説明の続きをしても?」


 「あ、はい」


 ウズメさんが思わず敬語になる。


 「それで、『魔力草』の文献を漁り続けたり、自分達でも『魔力草』を生で食べてみたりしていくうちに、『魔力草』の効果成分が分かったのです」


 鍋で素材を煮ながら、『魔力草』が茎にくっつくための柄の部分を丁寧に取り除いていく。


 「効果成分って?」


 あっという間に取り除いて今度は葉をきっちり4分割に切っていく。


 「それは、眠気覚まし、集中力向上、体内代謝の促進、そして、他の物と混ぜることで、疲労回復やエネルギーの代謝を支援する効果成分でした。 さらに、葉1枚には子ども1人分の『魔素』が含まれている事も分かったのです」


 「そ、そうなんだ。 でも、それとその果物が不純物ではない事になんの関係が?」


 「ウズメ。 果物にもあるんですよ? 疲労回復や、他の物と混ぜることで疲労回復やエネルギー代謝なんかを支援する効果成分が」


 「え!?」


 「例えばこのりんごには、疲労回復の効果成分があります。 みかんにはエネルギー代謝の支援効果成分。 ぶどうには疲労回復に加えて集中力向上の効果成分もあります」


 「そうなの!?」


 「はい、あぁ、基本的な話ですが、ポーション作りには『黄金比率』と言うものがあるのはご存じですよね?」


 「う、うん。 マジックポーションだと、豚肉10グラム、貝殻150グラム、『魔力草』が100グラム、水150ミリリットルが『黄金比率』だったかな?」


 「素晴らしいです。 ウズメさんにはポーション作りの才がありますね! どうです? 一緒に作りません?」


 「いや、嬉しいけど、話が脱線しちゃうよ!」


 「あぁ、すみません。 では、話を戻しますがウズメさんの言う通りに作ると必要成分が完璧な黄金比率の物が作れます。 ですが、黄金比率で作っても効果的には、ほんの少し良くなるかな? と言った具合なので、別に黄金比率ぴったりで無くても良いのは知ってますね?」


 「うん。 普通はそこまでやらないよね? 近づける努力はするだろうけど、ぶっちゃけひとつひとつ計ってたら時間がかかりすぎるから」


 「そうです。 そのため、完済させるだけなら別に目分量でもできるんですよ。 今だって、干し肉はあの大きさで大体10グラム前後、貝殻はあの大きさで大体150グラム、『魔力草』に至っては1枚で80から120グラムなので、1枚入れれば効果成分が足ります。 水は、目分量なので数ミリリットルの誤差はあると思いますし、まぁ、言ってしまえばこの辺は大雑把でも完成するんですよね」


 「そうだね」


 「ですが、大雑把で作れると言うことは」


 言いながら『魔力草』を鍋に投入していく。


 「マジックポーションを作るのに材料の成分量に振り幅の余裕があると言うことなんですよね」


 「ん?」


 ウズメさんが首をかしげたその隣でソフィアさんがりんごのドライフルーツを13枚、サイコロ状に切り分け始めた。


 「そんな中で『黄金比率』が存在するのはなぜだと思いますか?」


 「え、えぇ? うーん。 結局は十分に効果を発揮するためかな?」


 「その通りです。 微量ながらでも効果が上がるのが『黄金比率』なのです。 つまり、裏を返せば素材成分の比率さえ『黄金比率』に近ければマジックポーションになると言うことですね」


 「なんでそんな当たり前の事」


 「当たり前は大切ですよ? 先程、りんごの効果成分がなんだと説明しましたか?」


 「疲労回復だったかな?」


 「正解です。 ちなみに、貝殻にも疲労回復の効果成分があります」


 ちらっと、先程、投入しなかった、大体1枚いかいくらいの貝殻の破片を見るウズメさん。

 はっとした顔になる。


 「そう言うことか!」


 「そう言うことです」


 「どう言うことよ!」


 イグニスさんが2人の会話が分からずに突っ込んだ。

 ウズメさんがソフィアさんに言う。


 「要は足し算と引き算なんだね!」


 「なんで算術が出るのよ!」


 「ま、まぁまぁ」


 イラつき始めているイグニスさんをなだめる俺。

 睨まれた。

 怖っ。


 「ふふっ。 ウズメさん、正解です。 これは足し算と引き算です。 マジックポーション完成とはつまるところ、『黄金比率』に近い数値で必要な成分量を合わせた結果です。 それすなわち、成分量が足りなくても別の素材の成分で補えると言うこと」


 「なるほど! 面白いね! ポーション作りってこんなこともできるんだ!」


 「はい! ポーション作りは楽しいんです!」


 ソフィアさんが良い笑顔でりんごのドライフルーツを鍋に投入していく。


 「今回の場合は、疲労回復効果を持つ成分を、貝殻から減らして、足りない分をりんごで補いました」


 長い混ぜ棒で釜を混ぜるソフィアさん。

 前の世界では魔女がやっていたイメージだが、楽しそうなソフィアさんが一生懸命かき混ぜる姿はちょっとした天使だ。


 いや、天使はないな。

 気持ち悪いぞ俺!


 数10回混ぜたソフィアさん。

 

 「よし、完成です」


 ソフィアさんは、俺が使った瓶の形をした土の入れ物を13本、戸棚から持ってきて中に杓子で注ぎ入れる。

 りんごのいい匂いがした。


 それを俺とウズメさん、イグニスさんに渡す。


 「ふふっ。 この工房で作ったポーション第1号です! 皆さん飲んでみてください!」


 俺たちは互いに顔を見合わせる。


 「『清め人』。 最初に飲んでくれ」

 「そうだね! じゃないと私たち飲めないや」


 「どう言うことだ?」


 「いいから早く!」


 イグニスさんに怒鳴られた。

 なんだってんだよ。


 俺はマジックポーションに口をつける。


 「おぉ、うまい」


 できたてのため、温かい。

 りんごのワインを彷彿とさせる味だった。

 温かいため、りんごの甘さと風味を強く感じ、それがポーションの苦味を押さえてくれていて、とても飲みやすかった。

 と、言うかポーションって酒みたいな感じなんだよな。


 俺の顔を見て微笑むソフィアさん。

 嬉しそうな顔だ。


 「良かったです」


 「それじゃあ私たちも!」

 「うん!」


 ごくりと飲み干す2人。


 「お、おいし~!」


 イグニスさんさ意外にも口を押さえて上品に言う。

 ウズメさんは驚いた顔だ。


 「すごい、ちゃんとマジックポーションだ。 しかも、ポーションが美味しいよ。 ん? でも、味がついたってことは要らない成分が入ってるんじゃ?」


 小首をかしげるウズメさん。


 「言いましたよ? 振り幅があるって。 振り幅とは、余白です。 10センチの物差しで例えるなら、黄金比率は4センチから6センチの間。 振り幅は0から4センチと6から10センチの間です。 つまり、狭い間ぴったりで作ってあげると、大きな余白が出来るんですね」


 「つまり、その余白に詰め込んだと?」


 「はい! 大きいとはいえごく小さい振り幅ですが、詰め込める範囲を見つけましたので問題なく果物の味を楽しめます!」


 ウズメさんが頭を抱えた。


 「・・・簡単に言ってるけど、それって限りなく『黄金比率』に近いマジックポーションが前提なんだよ。 しかも、その振り幅の事なんて下手したら学会物で、特許もとれるかも」


 「えと、師匠が一応、私と連名で特許はとってます」


 「・・・ってことは大金持ちじゃん? こんな技術、引っ張りだこでしょ?」


 「ひっぱりだこだったのはそうですけど、お金はとってないので」


 「なんで!?」


 「えと、私と師匠の目的のために」


 「ふっ。 ははっ! あっはっは!」


 大笑いするウズメさん。

 不思議そうな顔をするソフィアさん。


 「いや、参った。 目的がなんなのか分からないけど、お金をとらないなんて! というか、なんで果物を混ぜようと思ったのさ?」


 聞かれたソフィアさんが少し、もじもじする。


 「えと、目的にも繋がってしまうんですけど・・・。 その、お恥ずかしながら、実は私と師匠は、ポーションを作るのは好きなんですけど、飲むのは苦手だったんですよね」


 「あぁ、ポーションって苦いもんね?」


 ウズメがイグニスを見る。


 「そうだな。 今でこそ慣れたが、子どもの頃は飲むのに苦労した」


 「ふふっ、それは副班長が飲ませるのにじゃない?」


 「むっ、いや、すまなかったとは思っているんだぞ?」


 いったいどんな関係なんだ。


 「そ、それでですね?」


 ソフィアさんがもじもじしながら話を続ける。


 「お、美味しいポーションなら、子どもたちも飲みやすいかなぁって思ったんです。 私の夢のためには、まずはポーションを飲んで貰わなきゃなりませんから」


 「くぅ! やられた! ソフィアも師匠も素敵!」


 ウズメさんがソフィアさんに抱きつく。


 「むぅ。 子どもの事さえも考えているのか。 ますます欲しくなる」


 イグニスさんが腕を組んで物欲しそうにソフィアさんを見つめる。


 しかし、そうか。

 この美味しいポーションも、ソフィアさんの優しさだったのか。


 本当、彼女の優しさは天井知らずだ。


 「あれ? でも、なんで引っ張りだこだったのに普及してないんだろ?」


 「あぁ・・・。 それが、そもそも『黄金比率』にするのに時間がかかってしまうので・・・」


 「なるほどねぇ・・・。 効率が悪かったわけだ」


 「・・・はい。 盲点でした」

 

 肩を落とすソフィアさん。

 

 ・・・いや、ソフィアさん。

 あなたはそのマジックポーションを効率良く作ってなかったかい?


 「さて、次にいきましょう!」


 ソフィアさんは、10本のマジックポーションを、戸棚に戻してそのまま戻ってきた。

 一応完成品と棚は分けてある。


 戻ってきたソフィアさんは鍋の中にもう一度水を入れて排水栓を開けて綺麗に流す。

 水はそのままろ過装置に戻ってもう一度ろ過されていく。


 綺麗になった釜に先程の水量よりかなり多くの水を入れる。


 「この大きさなら、100本は余裕で作れますね」


 「ん!? これから作るのってSHQ中級ポーションだよね!?」


 「はい? そうですけど」


 「ちなみに、使う水は変わらずあの水だよね!?」


 「え、えぇ」


 「あの水、『調合』大変じゃない!?」


 「いえ、まぁ、少しクセは強いですけど」


 「『神性』を帯びてる事を、クセですませて言い分けないでしょ!?」


 「え、どう言うことですか?」


 言いながら、ソフィアさんは水を入れ始める。


 「いや! だから、その水! 『神性』を帯びてるんだって!」


 「え!? 嘘!?」


 ソフィアさんが慌て始める。


 「いや、嘘なんかつかないよ! それは正真正銘『神性』を帯びた水だ! あの角で動き続けてるろ過装置の中に至っては『神水』になってるよ!」


 「えぇ!? どうして!?」


 「『清め人』が清めた水だからね! そうなるのも無理はないよ!」


 「な、なんだって!?」


 俺は驚く。

 なんとなしに作ったろ過装置が、想定以上の結果を産み出していたらしい。

 水の品質向上に一役とるばかりか、神の水にまで仕上げてしまったのだ。

 驚かない方が無理と言うものである。


 俺の顔を見るソフィアさん。


 「やっぱりハニオカさんはすごいです!」


 「すごいどころの話じゃ無いよ!」 


 ウズメさんは頭を抱える。


 「いや、『神水』は確かにすごい・・・。 だけど、危険すぎる。 しかも、それをクセが強いって感覚で調合できてしまっているソフィアさんはなんなの!? じょ、常識が崩れていくぅ・・・」


 水が貯まったのかソフィアさんが、水を止める。

 火はまたイグニスさんがつけてくれた。


 水を暖めている間、ソフィアさんは葉の柄を取り除き始めた。

 手際が良く、100枚なんてあっという間に終わってしまった。


 「・・・今気づいたけど、もしかしてその薬草も?」


 「・・・あ、えと」


 ソフィアさんが回答に困る。


 仕方ない。

 俺が答えよう。


 「俺のうんこで育てた!」

 「あー! ひ、肥料ですぅ!!」


 俺の返答に被せるようにソフィアさんが叫んだ。


 「・・・あぁー。 そうだったわ。 ハニヤス様の加護を受けてるんだった」


 納得したように言うウズメさんと良く分からないと首をかしげるイグニスさん。


 「もう! ハニオカさん! 肥料と答えてください!」


 怒られてしまった。


 「そんな顔しても駄目です!」


 怒りながらも葉の柄を取り除き終えたソフィアさんは、止まらずに4当分していく。

 今度は5枚ずつ、ぱぱっと終わらせる。


 「むぅ・・・。 すまない」


 「まったくもう!」


 「・・・いや、え? ってことはなに? ソフィアさんは『神性』を帯びた水と薬草で『調合』してたって事? それも、熟練の『薬師』でも難しい速度で? なんなら今は100個同時に?」


 どんどん頭を抱えて声が震えていくウズメさん。

 尊敬とかそう言うのを通り越して最早怖がってないか?


 「ま、まぁ。 でも、普通に調合できるので問題ないですよ」


 ソフィアさんは、そう言いながら葉を投入。


 「いや、普通に調合できるのが問題なんだけど」


 突っ込むウズメさんを構わずに数回混ぜる。


 「確かに、クセは強いですけど、混ぜかたを工夫してやれば・・・ほら」


 ソフィアさんが、混ぜ棒の回りかたを均一からぐぐっと力を込めたものにしたり、元の均一の混ぜかたにしたりと工夫しながら混ぜていく。 


 「うわっ、本当だ。 綺麗に溶け込んでいく」


 「あと、5回くらいかな?」


 と呟きながら混ぜ合わせていき。

 やがて。


 「はい、出来ました」


 「本当に出来ちゃったよ。 SHQ中級ポーション。 それも100個同時に」


 「この感じならもう少し量を増やしてもいいですね」


 言いながら、俺特性の土で出来た入れ物を100本持ってきて注ぎ入れていく。


 「片付けは手伝うわ」


 「あ、ありがとうございます!」


 イグニスさんが中級ポーションを入れた土の入れ物を入れ終わる度に持てるだけ持って次々と棚に持っていく。


 「むっ、さっきのマジックポーションの時も思ったが、重さが均一だな?」


 「え!?」


 ウズメさんが驚いた声を出す。


 「いや、私も色々な剣を握ってきたから、剣を持ったらその重さが大体分かるんだ。 それと同じ感覚で物の重さも分かる。 ソフィアが目分量で入れているポーションの重さが全部同じなんだ」


 イグニスさんの言葉にウズメさんが頭を抱える。


 「そ、ソフィアさんのポーション作りがすごいのは分かっていたけど、そっか。 『神性』を帯びた事をクセで済ませられる理由が分かったよ」


 ウズメさんがソフィアさんを見て尊敬の眼差しを送る。


 「ソフィア、あなたはいったいどれだけの数を作ってきたの?」


 ソフィアさんが首をかしげた。


 「そんなの覚えてないですね? 師匠には毎日のように作らされましたから。 起きている間はほとんど修行でしたしね」


 「・・・そっか。 もう、常識の外だね。 普通の『薬師』はそんなに作らないよ。 修行期間だって、教えて貰いながら実際作れるのは1日3、4時間がいいところだもん。 普通は寝食と休憩、勉強に、師匠の手伝いに、素材の収集、ポーションを売って稼ぐ必要もあるから、それくらいの時間しかとれないんだよ」


 「そう言うものなんですか?」


 「うん」


 「でも、おかしいですね? 作るだけが修行じゃないって師匠から教えられましたよ?」


 「え?」


 「素材収集も勉強も修行で、『薬師』は生涯修行って言って私を採集に連れていったり、研究の時も私を側に置いてくれました。 そもそも師匠は『調合』が好きな人だったので、食べながら調合してましたし、寝るのも最低限でした。 売るための『調合』の合間に休憩だと言って『調合』するのが当たり前でしたし、それに付き合う私も同じような生活を送ってました。 今思えば教えて貰いながら調合するというより、一緒に調合して学んでましたね?」


 「う、う~ん・・・」


 ウズメさんが頭を抱え始めた。


 「ふふっ。 修行期間も楽しかったなぁ。 永遠に『調合』していたあの時間は本当に幸せでした」


 「はぁ・・・」


 ウズメさんは、ため息をつく。


 「世の『薬師』のほとんどは完敗だよ。 ソフィアさんのポーション作りへの愛は本物だ。 好きこそ物の上手なれって言葉はソフィアさんのためにあるんだと思う」


 俺も思わず笑ってしまった。


 好きこそ物の上手なれ。

 ソフィアさんがすごいのはそこなのだろう。


 ソフィアさんは、ポーション作りが大好きなのだ。

 苦痛に思うことはない。

 努力を努力と思っていないのだ。


 「なるほど? つまり、ソフィアのポーション作りへの情熱と、ドワーフの特性による手先の器用さが上手いこと合致して、すごいことになっているのね!」


 イグニスさんが腕を組んで頷いた。


 「あぁ、そう言えばソフィアさんはドワーフの血も引いてるんだよね?」


 「はい。 母が、ドワーフでした」


 「なるほどねぇ。 ドワーフの特性は手先の器用さと酒の強さ、そして、物作りへの強い拘りなんてものがあるけど、うん。 しっかり、引き継いでるね」


 「あ、ふふっ。 私、お母さんの姿を見たこと無いですけど、しっかり繋がってるんですね」


 「そう言うこと!」


 「では、私はこのまま残りの200個を作ってしまいますが皆さんはどうしますか?」


 ソフィアさんが言いながら釜に水を再度入れ始めた。


 「もうちょっと見てくよ。 ソフィアさんのポーション作り、凄いからね」


 ウズメさんに言われた、貯まっていく水を見ていたソフィアさんが照れる。


 「ウズメが残るなら私も残るか。 荷物持ちなら力になれるしな」


 イグニスさんも腕を組んだままソフィアさんを見つめる。


 水が貯まったのだろう、水を止める。

 きっと、あれも必要な量ぴったりなのだろう。


 「じゃあ、俺も残る。 もう少しソフィアさんがポーションを作ってる姿を見ていたい」


 真剣な顔のソフィアさんはかっこいいのだ。

 楽しそうな姿は可愛らしい。


 見ていて飽きない。


 「な!? そ、そんな!」


 真っ赤になるソフィアさん。

 あれ?

 駄目だったか?


 「ふふっ。 頑張れソフィア!」


 ウズメさんになぜか応援されるソフィアさん。


 話が見えんぞ?


 「う、あ、もう! 知りません! 作ります!」


 怒ってポーション作りに戻るソフィアさん。

 

 なんだと言うんだ?

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