45 姫騎士の戦い(レナ視点)
おそらくカミーラから見れば無謀な突撃に見えただろう。
だが、レナにとっては十分に勝算のある行動だ。
「君は以前の私の戦闘能力から『無謀』だと判断しているだろうが、今の私は――」
きいんっ!
先頭のドラゴンが振るった爪を、レナは剣で受け流した。
もちろん人間の腕力でドラゴンの一撃を受け止めることはできない。
パワーがあまりにも違い過ぎるし、相手は竜種最強クラスの【インペリアルドラゴン】である。
力の方向をわずかにずらし、いなす。
いわばレナ流の【カウンター】。
その技のイメージは、もちろんジルダとの対戦で膨らませ、体現したものだ。
戸惑ったように立ち尽くすそのドラゴンを前に、
「【
自身の速さを最大限に活かした奥義を放つ。
いや以前の【雷光刃】は単なる超速の斬撃だったが、これは相手の体勢を崩して防御を困難にしたところで叩きこむ、回避不可能の超必殺技へと昇華している――。
ざんんんんんっ!
稲妻のごとき斬撃は【インペリアルドラゴン】の巨体を真っ二つにした。
「一つ! さあ次!」
レナがさらに突っ込んでいく。
二体目の【インペリアルドラゴン】も、レナ流の【カウンター】から【雷光刃・改】で打ち倒す。
「二つ! まだまだ――」
さらに三体、四体。
たった一人の少女騎士が、次々と巨大なドラゴンを打ち倒していく。
うおおおおおおおおおおっ!
後方の騎士たちが歓声を上げた。
「やるな、レナ姫! ならばワシも!」
ドワーフのボルガ王が大斧を手に、ドラゴンやスケルトンに向かっていく。
さらにその後方の兵士たちも鬨の声を上げ、それに続いた。
レナが道を切り開いたことで、士気が爆発的に上がっているのを感じる。
「よし、高まった士気をさらに加速させるぞ――マルグリット!」
「準備万端よ、お姫様」
振り返ると、マルグリットが杖をかまえ、魔力のオーラをまとっていた。
「【テンペストフレア】!」
ごうっ!
杖から放たれた火炎が嵐のように吹き荒れ、【ジェネラルスケルトン】の群れの密集地帯で炸裂した。
スケルトン系は火炎に弱い。
しかもマルグリットが放ったのは、おそらく最上級呪文をアレンジしたものだろう。
上位モンスターである【ジェネラルスケルトン】たちが一たまりもなく、次々と爆散していく。
「――やるな」
レナはニヤリと笑いつつ、また一体、【インペリアルドラゴン】を斬り伏せた。
以前からマルグリットは天才の名に恥じない実力者だった。
だが、今の彼女の魔法はそのころよりさらに上回っている。
いかなる魔法も跳ね返してしまうジルダとの戦いを通じ、彼女もまた研鑽を積んだのだろう。
そしてレナ同様に、強くなったのだ。
彼との出会いが、強くしてくれた――。
「次はこれ――【ボルテックスボルト】!」
今度は稲妻が渦を巻くように収束し、【インペリアルドラゴン】を数体まとめて撃ち抜く。
まるで巨大な稲妻の矢だ。
指向性を持った雷と言ったところか。
「うかうかしていると、私が倒すべき敵がいなくなってしまうな」
苦笑しつつ、レナはなおもドラゴンたちを倒していく。
負けじとボルガ王も奮戦し、そんな彼女たちに触発されたように騎士団と魔法師団たちも連携し、敵を撃破していった。
レナやマルグリットのように単独で敵を倒すことはできなくても、陣形を組み、剣と魔法の力を合わせて、一体、また一体と屠っていく。
「いいぞ、みんな! もうひと踏ん張りだ!」
レナは剣を振るい、さらに周囲を鼓舞した。
姫騎士の凛とした戦いぶりが、天才魔法少女の圧倒的な魔法が、全員の士気をどこまでも上げ、そして――。
最後の一体が断末魔と共に倒れた。
静寂が訪れる。
後に残ったのは、レナとマルグリット、そして傷だらけではあるが、奇跡的に死者を出さずに済んだ騎士団と魔法師団の精鋭たちだけだった。
魔獣軍団、全滅――。
「私たちの勝利だ。みんな、よくやってくれた」
レナは全員を振り返り、笑みを浮かべた。
と、
「レナ、マルグリット、ボルガ王、みんな!」
向こうからジルダが走ってくる。
おそらく、彼も魔獣の主力部隊を撃破したのだろう。
「貴様に恥じない戦いができたぞ、ジルダ」
レナは笑みを深め、彼らの元に歩み寄った。
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