32 海賊団を完封する
こちらの船からいくつもの鉤縄が投げ込まれ、敵の船体に食い込んだ。
「先陣は私が!」
レナがその縄の上を身軽に駆けていく。
俺は――。
「こ、これを渡るの……?」
下は海なんだが……。
「大丈夫」
と、マルグリットが俺の手を握った。
「【フライト】」
あ、飛行魔法か。
俺は彼女に支えられ、無事に敵船まで乗り込んだ。
「はああああああああああっ!」
すでにレナが縦横に敵を斬り伏せている。
「【上段斬り(峰打ち)】! 【唐竹割り(峰打ち)】! 【回転斬り(峰打ち)】! 【飛翔斬り(峰打ち)】!」
よく見ると、全部峰打ちで気絶させていた。
「すご……」
全員気絶させたうえで捕縛するつもりらしい。
単純に斬り伏せるより、相手の命を奪わないように無力化する方が何倍も難しいはず。
そんな芸当はレナはあっさりと成し遂げている。
あらためて――姫騎士レナ・バレルオーグのすさまじさを知らされた気分だった。
敵の海賊たちも剣で防戦しようとしているけど、レナの剣技はレベルが違う。
次元が、違う。
一瞬にして十人、二十人と昏倒させ、みるみるうちに敵を戦闘不能にしていく。
「私たちも」
と、マルグリットが俺を促した。
「ああ」
レナにばかり負担をかけさせられない。
俺は敵の一団に突っこんだ。
【カウンター】を駆使して、敵を吹っ飛ばしていく。
「【バインド】」
さらに倒れた敵を、マルグリットが片っ端から魔法で拘束する。
俺たち三人の連携は無敵だった。
さすがの海賊たちも白兵戦で、俺たちに立ち向かうのは無理だ。
いや、きっとベロニカの見事な操船で海賊たちの船団を突っ切り、頭領の船に乗り込む局面を作った時点で勝負は決していたんだ。
そういう意味では、今回のMVPはベロニカかもしれないな。
ほどなくして――。
俺たちは敵の船団を完全に制圧し、頭領を含めた全員を捕縛した。
「えっ、もう終わったのですか……?」
乗り込んできたベロニカが、呆気にとられた顔をする。
「楽勝だ」
「私は【バインド】をひたすらやってただけ」
レナとマルグリットが淡々と説明する。
「ありがとうございます、みなさま。これでラズーレも安心して商売ができそうですわ」
ベロニカが嬉しそうに微笑んだ。
「次は――わたくしたちが協力する番ですわね」
「えっ」
「わたくしたち海洋連合国家はバレルオーグを始めとした対魔王軍部隊に全面協力をいたします。財政面での援助はお任せを」
「ほう、それは助かる」
レナがニヤリとする。
「何せ戦争は金を食うからな。まして魔王軍という未知の敵に対しては、さまざまな新装備が必要になる」
「魔法装備にも大金がかかるわ。頼もしいわね」
と、マルグリット。
まあ、俺は自前の【カウンター】があるから金は必要ないんだけど。
でも、俺一人じゃ戦争はできない。
魔王軍という大軍団と戦うためには、大勢の力が必要だ。
その一大決戦の前に、海洋連合国家とのパイプができたのは本当に心強い――。
バレルオーグ王国に戻ると、俺たちの新たな武勇伝はすでに伝わっていた。
魔王軍との決戦を前に、王国全体の士気はさらに上がっていた
海を越えた国での活躍は俺の――『勇者ジルダ』の名声を大きく上げたらしい。
「さあ、本番が近づいてきたぞ」
俺は闘志を燃やす。
頼もしい仲間たちがいる。
支えてくれる仲間たちがいる。
みんなと一緒に、強大な敵――魔王ルーデルの軍勢を打ち倒す。
決戦まで、あと十日だ。
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