異端児の挽歌 第二幕
大田商会
第一章
エクシード・チルドレン再び
第1話 蔓延るストレンジャー
近未来の地球。
文明開化によって地球にダメージを与えてきた人類に対する天罰であるのか、地球に飛来した地球外生命体ストレンジャーによって世界は支配される時代となっていた。
微生物から成る生命体は人間に寄生し、人類の知識を学習しながらその個体を繁殖させていった。
更に人の姿から様々な怪物の姿へと変身する能力を持つストレンジャーの戦闘力は人類を上回り、彼らにとって人間は食料でしかなかった。
そんな地球外の怪物によって人類は絶滅の危機を迎えようとしていたが、それに対抗すべく政府は極秘の人体実験によって人間の常識を超えた超人兵士エクシーダーを誕生させる。
様々な超人的能力を発揮するエクシーダー達によって組織された部隊『エクシード・チルドレン』は、やがてストレンジャー達の脅威となっていった。
荒廃した街の路地を逃げる一人の男。
それを追い掛ける武装した三人の男達。
息を切らせながら逃げる男は、次第に三人に追い詰められていき、遂には路地の行き止まりで囲まれてしまった。
「た、助けてくれ!俺は村に帰らなければならんのだ!」
命乞いする男に対して顔を見合わせて笑ういずれも屈強な男達。
「聞いたか?まだこの近くには村があるみたいだな?」
「流石は未開拓の聖地だ。食料確保と我らの繁殖には丁度良い。」
「どうする?生かすか?それとも…。」
「う~ん?取り敢えずは腹ごしらえだな…。」
会話しながら屈強な男達は肌を内側から破り、爬虫類のような怪物へと変身した。
「う、うわぁぁ!た、助けてぇぇ!」
囲まれた男は逃げようとするも、怪物の一人にあっさりと首根っこを掴まれる。
「諦めろ。美味しく捌いてやるからよぉ。」
「お前ら人間は貴重な食料だからな。」
「我々ストレンジャーの糧になる事を光栄に思うが良い!」
三体の怪物は男の息の根を止めようとするが、路地の建物の上から飛び降りてきた人影によってその内の一体が蹴り飛ばされた。
「な、何だ!?」
「てめぇ!よくも!」
怪物達の前に現れる長い黒髪を後ろに一本で結わえた若い男。
上下紺色の軍服を纏い、肩には合金の肩当てと両足には革のブーツを履いている。
「こ、この人間めが!よくも我らの食料採取を邪魔してくれたな!」
吹っ飛ばされた怪物が兵士と思われる若い男に襲い掛かる。
鋭い爪で青年を切り裂こうとする怪物だったが、彼は消えるようにかわしながら怪物を再び殴り飛ばしてみせた。
「ぐわぎゃ!」
吹っ飛ばされて建物の壁に激突した怪物は、次の瞬間全身を光らせながら爆散した。
「な、何だと!?」
「こ、こいつ、人間じゃねぇ!」
残りの怪物二体は、青年の力に驚愕を示す。
「地球に蔓延る害獣共…俺はお前達を駆除しに来た。」
青年は言いながら徒手格闘のような構えを取る。
「ふ、ふざけやがって!」
「貴様も美味しく捌いてやるわぁぁ!」
怪物二体は、人間離れした動きで上下から青年に襲い掛かったが、青年はそれを凌ぐスピードで一体にアッパーカット、上から来るもう一体を飛び蹴りで迎撃し、青年の打撃から発する青白い光が怪物達の体に浸透していく。
「バースト・チャージ完了…。」
青年が宙返りから着地すると同時に怪物二体は、それぞれ体を発光させて爆散した。
触れた物質にエネルギーを流し込んで爆破させるカイルのエクシード能力『バースト・チャージ』。
「ひ、ヒィィ!た、助けてぇぇ!」
青年の異常な力に男は怯えるが、彼は笑顔と共に返答する。
「安心しろ…。俺はエクシード・チルドレンだ…。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます