《第六章》第二節:ハワイへの旅立ちと、社員たちの祝福
結婚の報告から数ヶ月後。いよいよ桃と真司のハワイ挙式の日が近づいてきた。
会社では、二人の結婚を祝うムードで持ちきりだ。廊下を歩けば、社員たちが「おめでとうございます!」と声をかけ、オフィスには祝福の花が飾られている。あの頃の数名の会社が、今や100名を超える大所帯。皆が、二人の門出を心から喜んでいるのが、俺にも伝わってくる。
桃は、普段よりもさらに輝いて見えた。ブライダル雑誌を眺めたり、真司と式の打ち合わせをしたりと、忙しそうにしているが、その顔はいつも幸せそうだ。真司もまた、以前の口下手はどこへやら、桃の隣で穏やかに微笑み、時折冗談を言って桃を笑わせている。あの二人が、こんなに自然に愛情表現をするようになるなんて、俺の観察の賜物か?
「桃社長、真司副社長! これ、社員一同からです!」
代表して、ベテランの田中が大きな花束と、メッセージアルバムを二人に手渡した。アルバムには、社員一人ひとりの祝福のメッセージがぎっしり詰まっている。桃は、そのアルバムを受け取ると、瞳を潤ませた。
「みんな……ありがとう! こんなに盛大に祝ってもらえるなんて……」
真司もまた、深々と頭を下げた。
「本当にありがとうございます。社員の皆さんのおかげで、ここまで来ることができました。これからも、桃と力を合わせ、会社をさらに発展させていきます」
真司の言葉は、以前よりもずっと力強く、自信に満ちていた。彼は、桃という存在を得て、本当に大きく成長した。俺は、その姿を見て、静かに頷いた。
そして、ついにハワイへ出発する日。
空港まで見送りに来たのは、会社のエントランスに集まった社員たちだった。あの頃からの古株から、最近入社したばかりの新人まで、皆が二人の旅立ちを見送りに来ていた。
「いってらっしゃーい!」
「お幸せにー!」
社員たちの祝福の声が響く中、桃は真司と手を取り合い、ゲートをくぐっていく。桃の肩には、もちろん俺が乗っている。社員たちの中には、別れを惜しんで涙ぐむ者までいる。人間ってやつは、本当に感情豊かな生き物だな。
いよいよハワイか。
あの二人の結婚式。どんなドタバタが待っているのか、俺のひねくれた好奇心は、早くも高まっていた。
南国の地で、俺の純愛観察日記は、新たな章を迎える。
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