左手に使い手・右手に剣

永遠の消しゴム

一振

人生はRPGゲームではない。別に日常げんじつが嫌と言うわけではない。ただ、RPGゲーム日常げんじつに来たらどうなるかって考えていただけ。まさか、君に会って本当に現実にちじょうになるなんて思わなかった。

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とある新月の夜。燃え盛る山の中に謎の魔龍がいた。その姿は西洋の神話に登場する龍に似ていた。


「はぁ…はぁ…。まさか奴らの力がここまでとは。だが奴らはここまで追ってはこられぬ。今は力を蓄えるとするか。」


魔龍が力を籠めると体の複数にあった傷が癒え、龍の形態から悪魔のような姿に変わり、闇夜に消えていった。

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ここは大幕だいばく市。日本の中だと割と大きい方の都市で、ぼく、調月つかつき悠羽ゆうはこの町で一人暮らしをしている。

朝起きて、付けたテレビからは昨日の山火事のニュースとどこかの集落で原因不明の集団昏睡状態のニュースが流れていた。そのニュースに驚いたが、そんなに近くのことじゃないから気にだけ留めておこうと思う。それからいつも通り適当に朝食を食べ、身支度をして僕は家を出る。

同タイミングで隣の部屋から同じクラスの親友の鷹司たかつかさ蒼空そらも出てきた。


「はよー、蒼空。昨日貸した小説、どうだった?」

「おはー。そうだなー、ストーリーはよかったけど、物語の締め方が俺には合わなかったよ。なんか、もやっとしたんだよね。」


そんな他愛もない会話をしながら僕たちが通う、泉光せんこう高校についた。高校の頭の良さについてはそれなりである。


(その日の昼休み、学校の屋上)


「あれ?こんなゲーム、事前登録してたっけ?」


スマホの通知に記憶にないタイトルがダウンロードできると表示されていた。


「さぁ?悠羽ってたまに急にスマホゲームやろうとするやん。結局続かなくてやめてるけど。って、あれ?俺にも来てる。てことは、一回は俺らの中で話題になったってことか。俺らが忘れるのって珍しいな。」


そう言って僕らは身に覚えのないゲームのダウンロードをした。ダウンロードが完了したそのアプリには『ビヨンド・ザ・ソード』と表示されていた。

するとスマホの画面が突如強く光り始め、スマホが

「マスターノソヨウヲケンチ、テンイヲカイシシマス」と叫びだした。


「悠羽、どうなってんだよ~。」 

「僕も知らないよ~。って蒼空のも光りだした~。」


僕のスマホと同じように蒼空のスマホも同じことを叫びだした。

そして、当たりが白い光に包まれ、それが消えていくと同時に、二つの人影が出現した。おそらく同世代と思われる、白髪に桃色の目の少女と橙色の髪に緑色の目をした少女が立っていた。

どう考えてもゲームの中から飛び出してきたと考えるしかない状況に僕らは腰を抜かして唖然としていた。

すると、白髪の少女が声をかけてきたが何を言っているかわからない。しかし隣にいたもう一人が僕らのわかんない言語で白髪の少女に何か言っている。

そしたら、急にわかる言語で僕らに話しかけてきた。


「初めまして、私はティルフィング。えーと、どっちがどっちのマスターなのですか?」


そういわれて、僕と蒼空は目を合わせたが、彼女らの方を向いて首をかしげた。するともう一人の少女が口を開いた。


「多分、私たちのそれぞれの前にいる方がマスターだと思うわ。あっ、失礼しました。私はレーヴァテインといいます。よろしくお願いします、マスター。」

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