×16のマジックチューブ!ロク村でどうにか出来たよ!

「ガチャ衛門!」


「突然どうしたんですか?虹剣が出ないのはわたくしのせいじゃないですよ?」


「そうじゃないよ、僕たちはもう、この状況を覆せるアイテムを出しているんじゃないか?」


「……なるほど、良く気づきましたね。流石ロクです、やってみる価値はありますよ」


「じゃあいくよ!」


《え?なになに?》

《どうなるの?》

《ロク様、何思いついたんだ?》

《ガチャの景品か?》


僕がリュックの奥に入れっぱなしの……いつか、いいところがあれば使おうと思っていたこれです!このミニチュアの村は、ただの模型じゃないんです!この都市の死の力を、僕たちの命の力で上書きする、唯一の方法だ!


「だよな?ガチャ衛門」


「普通は誰もいない場所に使うのですから、ここで発揮するかわかりませんよ」


やって見るだけだな――おりゃ!


《あ、投げた》

《どうなるの?》


(ロクが投げたミニチュアの村は、空中で一瞬、強烈な光を放つと、あっという間に見えなくなった。しかし、その光が消えた瞬間、それまで吹き荒れていた嵐が嘘のように弱まり、街全体を覆っていた瘴気が少しずつ晴れていくのがわかった。)


「ぼべっ。」


ん?何でしょうこれ?――えーとですね。ちゃんと村長は僕の様ですが……どうやら村人が必要ですね。皆さんに頼んでみますよ。


(ロクは腰からメガホンを掴むと、その表情はどこか戸惑いと期待に満ちていた。)


「はい、はい、はーい。私が一番の村人になりまーす。アナ・モグフェーサーがなります!」


(アナは誰よりも早く手を挙げ、満面の笑顔でロクの隣に立った。彼女の持つ聖剣が、かすかに震えているように見えた。)


「俺もならせてくれ、何だかわからないけどドルト・ナゼルもロク村の村人になるぞ」


「ああ、リード国の騎士だけど……ルゼカ・デルモもロク村の村人にならせて欲しい」


(周囲の人々も、メガホンより声の通るアナの声と、それに続くドルトやルゼカの言葉で、ロクの行動を察していた。彼らの顔には、再び戦えることへの安堵と、新たな希望が浮かんでいた。)


「ありがとうアナ!そして皆さん……」


《そんな所で村作るとか!》

《大きい村になるかも?》


(嵐が収まると、さっきまでの街並みの中に素朴な家などが建っているのが見えた。ロクの横には村の中心を表す井戸が出来上がっていた。)


「あ!ロク様!ちいさくなったピュアリーちゃんがそっちに……」


聖水スライム!?


「ちゃぽん……」


(ピュアリーは音を立てて井戸の中に落ちて行った。ロクは驚いたがすぐに安心したように息を吐く。)


水分不足だったようですから、また大きくなって来たら捕まえますよ。


《お、聖水作ってる?》

《ピュアリーちゃん復活!》


それよりザックさんは何処に行ってしまったのか?嵐の中で見失いました……


「ロク様!あれです。城の高い場所から……あ、落ちてくる!」


(ザックとスペクターは、もつれ合うようにロクたちのいる広場に落ちて来た。)


「ザックさん!大丈夫ですか!?」


(ロクは女神銃を、アナは聖剣を持ちながらザックの元へ駆け寄った。)


《どうなった?》

《ザックさん勝ってるのかな?》

《スペクターもボロボロじゃん!》

《ロク様、チャンス!》


(ザックはほとんど全裸になってしまった状態で、仰向けに倒れたまま微かに動いていた。その隣に倒れたスペクターは、着ていた鎧に深い亀裂が走り、ガラスのように今にも砕け散りそうだった。)


「ウガギグゥ……な、なんだ……この場の力は……城の中に行けば……」


(スペクターの絶叫は、もはや恐怖を引き起こすものではなく、ただの苦しみに聞こえた。彼の体から漏れ出る瘴気も、村の力で浄化され、薄れていく。)


お前を逃がす事は出来ない!これでいい加減成仏してくれよ!


(ロクは力強く叫び、女神銃を構え直した。)


皆さんの声援の為にも、こいつを倒したいですよ!あれだけ弱っているなら、この女神銃を撃ちまくれば……!


(逃げようとするスペクターの背中目掛けて、光の結界模様が飛んで行く。その時、瀕死のスペクターの霊体が、一瞬だけロニット王子の顔に戻った。その瞳には、ロクへの深い憎悪と、狂気にも似た光が宿っていた。)


「うわああああああああああ!」


(ロニット王子は、この街の霊力を全て吸い上げるかのように、最後の力を振り絞って悲鳴を上げた。その声は耳をつんざくほどで、近くを飛んでいたプラスチックの玉が、その凄まじい霊波で粉々に壊れた。)


「ロク様、私が止めを刺して見せますわ!」


ん?なんだあれ?ロニット王子が二人に見える!絶対あぶないですよこれは……


「アナ!行くな!」


《どうなるのよこれ?》

《二人って?》


(ロクは慌ててアナの元へと駆け出している。その時には、二人のロニット王子がアナを挟み込むように飛び掛かっていた。)


間に合ってくれ!


(ロクは無意識に出た言葉をも追い越すように、何も考えずにアナへと飛び込んだ――だが、その身体は、ロニット王子とのほんのわずかな、しかし絶望的な距離の差に阻まれていた。)

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