×16のマジックチューブ!ラスボスは魔法都市メダリク!

(ロクが指さす千切れ千切れになったスペクターの霊体は、そのまま消えてなくなりそうだった。)


《どうなるんだ!?》

《俺この間が好き》

《ロクはまだ安心してなさそうだけど……》

《ロク様、なんか不安そう》


「しつこい奴ですわ!ロク様がいれば、こんなスペクターなんて大した事ないのよ」


(アナはぶつくさ言いながら、聖剣でまるで地面に文字を書いているようだった。)


あ、アナ……さん。ど、どうやらまだ気が晴れないのか、地面に漂っている霊体に向けて聖剣を振り回していますね……。まあ確実にとどめを刺す事はモンスター相手には大事な事ですから――でもようく見たら、聖水スライムが物凄く小さくなっていますね、聖水要素をスペクター相手に使い果たしたようですね。


「ロクがスライムを細切れにするからじゃないですか?上手く行ったからいいですけど、わたしくを盾にするとか……傷が付いたらどうするんですか」


「お前が任せろとか言ってなかったか?ま、それよりやっぱりおかしいな、いつまでも霊体が漂い過ぎると思わないか?ガチャ衛門」


「辺りの雰囲気も何も変わらないですから、やはり城の中に行かないといけないです」


《やっぱりそうだよな…》

《スペクター倒せてないってこと?》

《アナちゃん暴走しそうw》

《城が本体なのか》


やっとアナはメザリポさんに止められましたね……でも気になるのでザックさんに聞いてみましょうか?何か知っているかもしれません。


「あ、ザックさん少し聞きたい事があるのですが――僕が一番気になるのは、この都市のなんでも復活させる力がどうも気になります」


「ああ、ロク君も知っているのかい?この都市メダリクは魔法都市として作られていて、明かりや水道はもちろん、医療も高いレベルで受けることができていたのだよ」


「はい、僕は魔法都市メダリクといくつかの町で聞いて、興味が出てきたんです」


「それに、私の手を見てくれ。不死の私がこんなに血色がよくなっている。時間がたてばロニット王子も復活するだろう……まさか王家の方々が邪悪な者になっているとは思わなかった……」


(そこに地響きを伴い城の中から、まるで地獄からの咆哮がしてきた。それは苦しみにも人々に恐怖をもたらす悲鳴にも聞こえた。)


うわ!デス・ドラゴン!?城からさっきまでとは比べようがない瘴気が……。皆さん気をつけてください、アンデッドが復活する可能性が高いです。


(腰に持つメガホンでロクは辺りに注意しながら、片手でアナを掴んでいる。)


《無限ループならやばいな》

《なに?この都市を壊せばいいのかな?》

《この瘴気やべえ…》

《ロク様、アナちゃん守ってる!》


「ロク様!これはスペクターが……!!」


「近寄っちゃダメだよ、復活時のとても強い力を出してくるはずだ」


(まるで嵐の中にいるほどの風がうねり舞っていた。)


「ロク殿、どうすればいい?アナに持たせた聖剣ですら昇天させられないとは、ロニット王子とやらのスペクターを倒すのは厳しいかと」


(メザリポは嵐によって至る所から聞こえてくる咆哮に気が弱っていた。)


「メザリポ隊長、ロク君。一度逃げるんだ!ロニット王子は私が引き受けよう」


「ザックさん!何を言ってるんですか!?」


(ロクは思わず叫んだ。不死のザックといえど、この絶望的な状況で一人残れば、無尽蔵に力を増すスペクターにどうなるか分からない。)


「この街の秘密を一番知っているのは私だ。この魂を鎮める結界も、私がメダリク城を造った時に……ぐあああ!」


(ザックの言葉が途切れた。スペクターが放った強烈な瘴気によって、近くのゾンビが完全に崩れ落ち、朽ちた肉体が地面に広がった。)


《うわ、ゾンビが…》

《何これ…》

《瘴気やばすぎだろ》

《ザック大臣、大丈夫か…?》


(その瘴気の中から、再び巨大なスペクターが姿を現した。先ほどアナの聖剣で切り裂かれたはずの幽体は完全に修復され、それどころか、禍々しい黒曜石のような鎧を身にまとっている。鎧の隙間からは、以前よりも 厳烈な紫色の光が漏れ出ていた。)


「フハハハハ!どうだ、愚民ども!この街が私を必要としているのだ!」


(スペクターは嘲笑いながら、その巨大な腕を振り上げた。街の瓦礫が宙に浮き上がり、ロクたちに向かって降り注ぐ。)


「くそっ!霊体なのに、あの鎧は何だ!?まるで実体があるみたいだ!」


(ロクは叫びながら、頭上を雨のように降り注ぐ瓦礫の破片を、アナとガチャ衛門と共に必死に回避する。轟音と共に地面を叩きつける瓦礫、その隙間を縫うように、三人は目にも止まらぬ速さで左右に跳び、身を屈める。)


「ロク様、危ない!」


(アナの叫びと同時に、巨大な柱の破片がロクの頭上すれすれを通過する。間一髪、ロクは地面に体を滑らせ、体勢を立て直すと同時に、腰のホルスターから予備の弾倉を取り出した。)


《うおおおおお》

《かっこいい……》


(舞い上がる砂塵の中、ロクの指先は研ぎ澄まされたナイフのように正確かつ迅速に動き、空になった弾倉と新しい弾倉を瞬時に交換した。)


カチリ


「ロク様、”私のピュアリー”ちゃんがなくっちゃう。どうしたら?」


(ロクは一度アナへ向かって「わかった」とうなづいた。)


「ガチャ衛門、結構ジリ貧に近いかな?まだデス・ドラゴンもいるんだよな?もう虹剣出すしかないのか……」


(その時、空ではザックがスペクターと激しい戦闘を繰り広げている。彼は不死の肉体でその巨体に挑み、瓦礫を足場に宙を駆け、一撃を加えては離れる、大胆な戦法で時間を稼いでいた。)


《ロク様、マジか!》

《運ゲー始まったwww》

《レジェンドトークンで虹剣狙ってるんだな》

《頑張れロク様!》


(スペクターの咆哮と、ザックが放つ魔法の閃光がロクの背後を照らし、ガチャを回す彼の横顔に、かすかな光と影を落とす。ロクは祈るように、しかし迅速に、レバーを捻り続ける。)


「ゴトン……ゴトン……!」


(次々とカプセルが転がり落ちる。一つ、また一つと掴み、中身を確認するロクの表情に、焦りが浮かぶ。彼の求める「虹剣」は、未だ現れていなかった。)

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