27.レドとリィラ
ヘリが東京の上空を飛び、とある建物へと向かっていると、リィラが反応した。
「お?今向かってる所レド居るじゃん!」
「レドって…、リィラさんは知り合いなのか」
「おお、今は家族みたいなもんだな。ん?同居人か?いやでも家族って感じだな」
「あの悪魔と家族なのか…」
「ってかアキラこそ知り合いなのか?」
「いや、俺はただ情報を見ただけで詳しくは知らんが、ただ怪人っぽいもんで部長が青峰…、っていう同僚に確認させに行って、無事に同行してもらってるって聞いたな」
「アハハ!あいつやっぱ怪しまれてんじゃん!!」
そんな会話をしているうちに、とあるビルの屋上に着く。
ウィーンと後ろの扉が開くと同時に、リィラが飛び出す。
「おお〜!!アニメとか映画とかゲームでたまに見る場所だぁ〜」
おほ〜とか言いながらテンション高めにうろちょろするリィラ。
ヘリの中である程度会話し、年齢は既に100を超えていると聞いたのだが、行動がそれに見合っていない。
いや、ある意味見た目相応ではあるが、年齢相応では無い。
身体が若い分性格もそれに引っ張られてるんだろうか。
「えぇっと、リィラさんとりあえずついてきて貰えますか!?…さくら達もちょっといいか?少し帰るの遅くなっちまうが」
リィラに呼びかけた後、後ろのさくらとやんちーにも確認を取る。
「は、はい。大丈夫です」
「…」
やんちーは必要がある時以外意図的に喋らないように気をつけているっぽい。
あんまり喋ると、一般人に見られた時に面倒だからだそうだ。
「おぅ〜!すまんすまん」
「んじゃあ行きますか」
リィラが戻ってきたところで、ビルの中へと向かう。
ーーーーー
「レドじゃ〜ん!!うぇーい!」
「うぇーい!!」
昼間に見たあの強そうな悪魔が、小さい幼女勇者とハイタッチしている。
「お前今日テンション高いな。なんかいい事あったのか?」
仲がいいそうで、レドは笑顔でリィラと会話しだす。
「おう!久々に大物を倒したからな!丁度ストレス溜まってて一気に解放できたからスッキリしたぜ!!」
「おお、どんなの倒したんだ?」
「でけぇ化け物だ!怪獣って言うのかな?」
手で大きな円を描いて笑顔で説明する様は、やはり子供にしか見えない。
「おおぉ〜、怪獣も実際にいるのか…。この世界も意外と化け物いるもんだな」
そうしみじみと会話していると、レドの後ろに立っていた青峰が質問する。
「あ、あああの!そちらの方は…!?」
「おう!このちっこいのはリィラだ!一応俺様の身内だな。見た目によらずけっこう強えぞ!」
「ちっこいとは失礼だな…!まぁ強いと言ってくれたので不問としよう。私こそ異世界の勇者、リィラ・ヴィクトリー様だ!拝んでもいいぞ!!」
「うおおおおおおおおぉぉぉぉおお!!!異世界の勇者様ktkr!!!しかも可愛い!!!うぉぉおおおお勇者様ああああああああぁぁぁ!!!!!」
青峰は思わずテンションが上がり、リィラの目の前で普通に土下座し始めた。
「うぇ!?いやすまんそんな崇めなくてもいいぞ!普通にしていいぞ!!」
「な、なんと優しい勇者様!!天使にしか見えない!!あの、握手良いですか!?」
「握手?い、いいけど」
「うぉぉおおおお!!!?お手々ちっちゃい!!可愛い!!!柔らかい!!ぷにぷに!!!これが勇者様のお手々!!!???あばばばばばばばばばば!!!!」
青峰は目を白目にして気絶し倒れた。
「えへへ〜……えぇ!!?なんで!?なんで倒れた!?」
リィラは青峰の言葉に照れていたが、急に震えて気絶してびっくりした。
「おいおいリィラ。そんな馴れ馴れしいからって気絶するほどの攻撃しなくていいじゃねぇか」
「なんもやってねぇよ!!!お前わかってて冗談言うな!!」
「なんか、凄い人ですね…」
「…いつもはあんなんじゃないんだ。いや本当に。なんであいつあんなテンション上がってんだ…」
サクラが呆然とそう言い、アキラが片手で頭を抱えて釈明する。
「で、そちらのお2人さんは?」
レドが質問すると、アキラとサクラが自己紹介を始める。
「ああ、俺は藤原晶。一応青峰の上司…って感じだな」
「私はその、雛森桜です。こっちはやんちーです」
「…羽切王牙だ」
「おお、喋るうさぎか。珍しいな」
「えっと、一応妖精さんです」
「ほう妖精。…もしかしてお前さん、魔法少女だったりするのか?」
「え!?なんでわかったんですか!!?」
「そりゃあそれくらいの歳で可愛らしい妖精が一緒にいりゃあ、有名なアニメじゃ確定で魔法少女みたいなもんだしな。実際にいるとは思わなかったが…。お前も妖精と一緒にいたら魔法少女みたいに扱われるんじゃねぇか?」
リィラにそう語りかけるレド。
「いや私もう100歳超えてるんだぞ?流石にキツイだろ」
「ロリババア魔法少女とか結構人気でると思うけどなぁ。…いっそそういうテーマでVトゥーバーでも始めるか?いやでもお前の容姿でVは勿体ない気がするなぁ…」
悩ましげに顎に手を当てるレド。
「ぶ、Vトゥーバーってあれか…。ふ、普通に配信するのじゃダメなのか…?」
「うぅん、やっぱお前ぐらい可愛いとコスプレしながら配信すればかなり売れそうだと思ってなぁ」
腕を組みながら悩ましげに呟く言葉に、リィラは気分を良くした。
「え?可愛い?でへへ、照れるなぁ〜」
「まぁそれは置いといて、俺様はレドだぜ。一応悪魔っぽい見た目してるが、悪魔じゃねぇからよろしくな」
「本当に悪魔じゃなかったのか」
「そうなんですね」
「悪魔じゃないのか…」
アキラとサクラ、やんちーがそう呟く。
「ところでそっちの男の方…、アキラだったか。お前さん昼間に会ったか?」
「ん?よく気付いたな。変身してて顔も見えなかったのに」
「俺様レベルになると声だけでも分かるんだぜ」
「そ、そうなのか。あ、そうだ。部長には会ったか?これから全員で行く予定だったんだが」
「ああ、俺様も丁度行くところだったぜ。ちょっと色々見学してて後回しだったからな」
「そうか、なら丁度いいな。全員で行くか」
「おう」「ほいほい」「は、はい」
アキラの言葉にレド、リィラ、サクラが反応し、アキラはそのまま歩いて先導する。
そして3人とサクラの頭に乗った1匹がそれについて行く。
青峰は放置された。
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