パワハラしてきた爆乳勇者パーティーを土壇場で裏切ってみた件。~魔王さんから領地をもらったので、のびのび開拓しながら見た目SSSランクの性悪女たちをお仕置きします~
第2話 爆乳勇者パーティーに部屋を与えてみた
第2話 爆乳勇者パーティーに部屋を与えてみた
僕はパワハラ爆乳勇者を裏切った。
ルナティアは勇者の力をアークさんに奪われて失い、僕はアークさんから爵位と領地をもらった。
まあ、領地と言っても未開拓で領民もいない。
アークさんからは「陽向君の好きにしちゃっていいよ」とのことなので、気ままにのびのび開拓していこうと思う。
そうして僕は領地にやってきたのだが……。
「ヒューガ様の監視とお世話、及び領地運営のお手伝いをすることになりました。淫魔族のシリルと申します」
広々とした領地の中心にポツンと建てられた屋敷に入ると、絶世の美少女が僕を出迎えた。
桜色の髪と青い瞳の美少女だ。
側頭部からは小さな角が生え、腰の辺りからはコウモリを彷彿とさせる翼と細長い尻尾が生えていた。
クールな印象を受ける切れ長の眼をしており、目元の泣きぼくろが印象的だ。
しかし、その美少女は威圧感が気にならなくなるくらいエッチな格好をしていた。
メイド服のようではあるが、大事なところが丸出しな破廉恥衣装だ。
「ひ、日陰陽向です!! よ、よろしくお願いします!!」
僕はめちゃくちゃ緊張していた。それはもう、初めてお貴族様と謁見したし時と同じくらい緊張していた。
どどどどどうしよう!?
僕、こんな美人とお話とかしたことないんだけど!?
「シ、シリルさん、これからお世話になります」
「どうかシリルとお呼びください、ヒューガ様。魔王陛下のご友人であられる貴方が私に畏まる必要はありません」
「そ、そう言われても、シリルさんにはこれから迷惑をかけるわけですし。何より……」
「何より?」
たしかにアークさんは監視という建前の助っ人を用意してくれるとは言っていた。
しかし、その助っ人がここまで美少女とは思わなかった。
「私の顔に何か?」
「い、いえ、何でもないです!! とんでもない美人だなー、なんて」
「ありがとうございます。しかし、容姿で言えば私よりもそちらのお連れ様の方が整っているのでは?」
「え、コイツら? コイツらと比べたらシリルさんの方が断然綺麗ですよ!!」
シリルさんが視線を向けたのは、僕の後ろにいる四人の爆乳勇者たちだった。
ちなみに全員服を着ていない。全裸だ。
領地に辿り着くまでの道中で多くの魔族たちに豚を見るような目で見られていたな。
「っ、人の身を捨ててまで私たちを辱しめて楽しいか!!」
「楽しいけど?」
そう、僕は人間をやめた。
アークさんからもらった転生石というアイテムを使って魔族に生まれ変わったのだ。
と言っても、見た目はあまり変わらない。
耳が少し尖って牙が鋭くなっただけで、見た目は人間の頃のままだ。
魔族は人間を見下してるからな。
僕が要らぬ差別に遭わないようにアークさんが手を回してくれたのだ。
本当に何から何まで面倒を見てもらって頭が上がらないな。
「ところでシリルさん、僕は今日からこの屋敷で暮らせばいいんだよね?」
「はい。まずは屋敷の中をご案内致します」
屋敷の中は凄かった。
こっちの世界では極めて珍しい水洗式トイレ(しかもウォシュレット付き)や広い浴場(水圧強めのシャワー付き)等々。
日本で暮らしていた頃は当たり前だった懐かしい代物が山ほど備わっていた。
アークさん、前世のものを再現したんだな。
「こちらがヒューガ様のお部屋になります」
「おお!! 広い!! え、うわ、エアコン完備とかまじか!! 冷蔵庫もある!? アークさん、太っ腹すぎないか!?」
「ちなみに食事は毎日三食私がご用意致します」
「え!? シリルさんの手料理!? 美人の手料理が毎日食べられるんですか!?」
「そうなります。かつて魔王様が暮らしていたという世界の料理もご用意できますので、ご希望があれば仰ってください」
「何この夢みたいな生活!? これ本当に現実で合ってる!?」
異世界に来ていいことは滅多になかったけど、パワハラ勇者どもを裏切って正解だった。
あの時の俺、よく裏切った!!
「ムカつく……何なのよ……ヒューガのくせにこんないい屋敷で寝泊まりしようっての!?」
「そうじゃそうじゃ!! 今すぐこの屋敷を妾たちに譲れ!!」
「メイちゃん!! テレシアさん!! 今はヒューガさんを怒らせるようなことは言わない方が……」
と、そこでネコミミをピンと伸ばしながらメイが俺をキッと睨みつけてきた。
ドラゴン娘、テレシアも同様だ。
ルナティアといい、コイツらいつになったら自分の立場を自覚するのだろうか。
最初から従順な態度を見せているマリーを見習ってほしいものだ。
「ああ、大切なことを忘れておりました。お連れ様の部屋をご案内します」
「あら? 何よ!! アタシたちの部屋もあるなら最初から言いなさいよ!!」
シリルさんに威張り散らすメイ。
しかし、シリルさんはまるでメイの無礼な態度など気にした様子もなく彼女たちを部屋まで案内した。
シリルさんが案内した部屋は、とても狭かった。
否、彼女が案内した場所は部屋と表現するには不適切かもしれない。
そこはきっと、屋敷を建てるに当たって偶然空いてしまったスペースなのだろう。
扉を開けた先は窓もなく、一畳半くらいの広さしかなかった。
人が二人横になれば身動きが取れないだろう。
壁には人が横になれる大きさの板が二枚打ち付けられているため、下に二人、板それぞれに一人ずつ眠るスペースは確保できている。
「は、はあ!? 狭っ、こんな場所で寝られるわけないでしょ!!」
「困りました。ヒューガ様、ここがダメなら彼女たちは外飼いするしかございません」
「外飼い? あー、別にいいんじゃない? 立場も弁えずにわがままばっか言ってるクソネコはそれくらいの方がいいでしょ」
「は? え、そ、外? ちょ、ふざけんな!! このクソサキュバス!!」
流石にその物言いは看過できなかったので、僕は古代魔法を発動した。
メイの首の紋章が怪しく光り、締まる
「あぐっ、かひゅっ」
「シリルさんはお前らの食事も作ってくれるんだぞ。感謝こそすれ罵倒は失礼だろ。しばらくそのままで反省しろ」
「ちなみに食事は扉下部に取り付けられた開閉口から与えますので、食べ終わった食器は開閉口から外に出しておいてください」
ふむ。
冷静に考えると一畳半に四人を詰めて食事は扉に取り付けられた開閉口から与えるって、まじで家畜とかの扱いだな。
「ちなみに皆様のご入浴は月に一度のご予定です」
「え、それは汚いから却下」
「……では三日に一度にしましょう」
「あ、じゃあそれで」
三日に一回しかお風呂に入れないって、本当に刑務所だな!!
ま、コイツらが僕にやってきたことって地球じゃ殺人未遂だからな。
これくらいの扱いが妥当だろう。
「じゃあお前らは僕が許可するまで部屋で自由に過ごしてろ。ま、一つ屋根の下で暮らすわけだし、仲良くやろうよ」
「「「「っ」」」」
ルナティアたちの表情が歪む。
ああ、いい表情だ。これからの自分の未来を想像して曇った顔。
こっちの世界に転移してきたばかりの頃の僕も、きっと今の彼女たちと同じような顔をしていたに違いない。
―――――――――――――――――――――
あとがき
ワンポイント小話
異世界の不思議パワーか何かで爆乳勇者たちは身体を洗わなくてもエッな匂いがする。
作者の一言
おらに★を分けてくれー!!
「泣きぼくろに眼鏡は至高」「この状況で逆らえるのは逆に凄い」「あとがき想像したら興奮した」と思った方は、感想、ブックマーク、★評価、レビューをよろしくお願いします。
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