“赦し”というテーマを、ここまで繊細に、あたたかく描いた物語に出会えるとは思いませんでした。
壮絶な過去から始まる冒頭は、まるで絵画のように印象的。そこから静かに移行していく日常描写には、転生後の「生き直す」強い意志が滲んでいます。
登場人物たちの会話や所作一つ一つに、痛みと優しさが同居していて、ファンタジーの中に息づく“現実の人間らしさ”を強く感じました。
魔女リュネの佇まいは、「力を持っている者こそが、静かに人を受け入れる強さを持てる」という、読者の心に残るもの。
とても丁寧で、心に沁みる作品です。