女神ダンテ

伽図也

Book I - Inferno

序章:女神と魔王の最後の闘争=世界の終焉

 魔王と女神との戦い——れはファンタジー物語では有る在るだ。


 有る在る処か、じょうとう、だ。


 の、『悪の化身』対『正義の守護者』、との構図は、安易と云える程に用いられ、だが手を変え品を変え、数多くの作品で挙がる『テンプレ』だ。


 但し、普通は直接には対決しない。


 魔王に手を下すのは、人間の勇者と決まってる。


 女神はの『守護者』として、助力はしても手を出さない——天上から見守るのが基本スタンスだ。


 だがれはひとことで、『背後から意図を引く黒幕』、とも云える。


 実際に汗を掻き血を流すのは、勇者=『眷属』認定された者、だ。


 で、みずからは安全地帯から高見の見物とは、随分とずるい奴ではないか——何方どちらが悪党か判らない。


 だがれも仕方無い。


 なら『女神』とは本来、『勇者』と自称する者がはくけのためもちいる、絵空事の権威のメタファーだからだ。更に『魔王』も又、自称勇者さまおのれに都合の悪い存在を『悪の権化』たらしめ抹殺の口実にするためのレッテルに過ぎない。


 で、今に、の『女神』と『魔王』が対峙して居る。


 先程まではメタファーだの権化だのと述べたが、いったん忘れていただこう。るのは紛れも無く超存在——世界秩序に対して、『支える者』と『破壊する者』だ。


 れが暗闇の中で、二人りで、だ。


 勇者は居ない。配下の眷属も見えない。


 もや、部下に隠れて秘密のおう——……。


 魔王と女神がロミジュリに——などと云う話も『有り』かもしれない。だが雰囲気はも、ような感じでも無さそうだ。。


 面と向かって、対決——に関しても、アマテラス対スサノオ、の例も有る。がれも直接交戦には至らず、それぞれが引き連れた配下の者が仲介にはいってる。


 『頂上決戦』——戦うならはやほかに無い。なら何方どちらにも配下はないからだ。


 ……


「来ましたか、魔王」


「女神よ、最後の時だ。念仏でも唱えるか」


「念仏とは一体、

誰を相手に聞いてるのでしょう?

わたくし『』でしてよ」


 御もっともな返しだ。


「まあ良い。我が力のへんりん、見てもらおうか」



 『魔王』が、手を振る。


 竜巻が巻き起こり、『女神』を包む。



 『魔王』が、手をてんかざす。


 凄まじい雷撃が、『女神』を直撃する。



 『魔王』が、『女神』をゆびす。


 ゆびさきほむらが灯る。


 ほむらは巨大な火球とり、『女神』に突進する。


 燃えさかる地獄の業火が『女神』をおおう。



 ひとしきりの攻撃の後、

 ついに『女神』はひざを屈する。



「良く耐えたな——だがもう終わりだ」


「希望は捨てない——最後まであきらめない」


「残念だが勇者は、もう現れない。

勇者を導くまえの役目は終わった」



 『魔王』が『女神』に手を伸ばす。


「世界のそくばくとらわれしあわれなたましいよ。

いまくびきを解いてる」


 『魔王』の手が『女神』にれる。


 『女神』の姿が、おぼろようにじんで行く。

 

 れはやがて、無数の光の粒に変わり、

 『魔王』の体に吸い込まれて行った。



 全てがぼっした暗闇の中で、

 『魔王』の声だけがこだまする。


「女神は消えた——の世界も終わりだ」



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