その89:まだ夏じゃないよ
午後の日差しはまだ柔らかく、海風は少し冷たかった。
それでも私たちは、水着を着て、まるで夏本番のように浜辺を歩いていた。
紗帆はいつもの無邪気な笑顔で、純白のスクール水着を身にまとっている。
そのシンプルなデザインが、かえって彼女の無自覚なあざとさを際立たせていた。
「さほ、そのスク水、意外と似合ってるよ」
夏奈が少し照れながら、でも嬉しそうに言う。
「えへへ、そ、そんなに? ありがとう!」
紗帆ははにかんで笑った。
一方、夏奈はあの日着ていたマイクロビキニを、躊躇いなく身に着けている。
大胆なデザインは、彼女のツンデレらしい強さと可愛さが同時に伝わってきて、紗帆の目は釘付けになった。
「かなのビキニ、ほんとにすごいよ……」
「ば、ばかっ! そんなこと言うなよ!」
少し頬を赤らめた夏奈が、砂浜の上でしゃがんで貝殻を拾った。
私たちは並んで砂浜に座り、足を海に浸す。
水の冷たさに思わず声が漏れたけれど、紗帆は私の手をぎゅっと握りしめてくれた。
「寒くない?」
「うん、かながいるから平気」
その言葉に心が温かくなり、自然と顔が近づく。
「さほ……」
「かな……」
唇が触れ合い、柔らかいキスが交わされる。
夏の前の少し涼しい海辺で、二人だけの甘い時間が流れていた。
「ねえ、次はもっと夏らしいところに行こうね」
「うん、約束」
まだ夏じゃないけど、二人の心は確かに夏の陽気に包まれていた。
『技その89:まだ夏じゃないけど水着デート』
→ 無自覚あざとスク水×大胆マイクロビキニの甘くてドキドキな海辺デート。
成功度:甘酸っぱい夏の序章。
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