その47:かわいいねって言ってみよう!
放課後の公園。
ベンチに並んで腰かけていた私たちに、春風がそっと髪をなでる。
夏奈のポニーテールが、ふわりと揺れた。
(ああ……風も、太陽も、今の時間も、ぜんぶ“かな”を可愛く見せるためにあるみたい)
私はその衝動を抑えきれずに、そっと手を伸ばす。
「……っ、な、なに?」
「ん……髪、風でちょっと乱れてる。……可愛すぎるよ」
「っっっっっ!!!」
夏奈は顔を覆った。
手の隙間から真っ赤な耳が見えてる。
「な、なに言ってんのあんた……!! そ、それ普通、告白レベル……でしょ……っ」
「うん、言ってるよ。何回でも」
私はくしゃっと撫でたあと、指先で少しだけ耳に触れた。
「……このへん、すぐ赤くなるから、好き」
「も、も、もうやめてぇぇぇ〜〜〜!!」
──後日。
私の部屋。
ベッドの上で、夏奈は真っ赤な顔で腕を組んで立っていた。
「なんで、あたしが……っ、メイド服なんか……っ」
「いいじゃ〜ん! 絶対似合うって! ていうかもう似合ってる♡」
白と黒のふわふわフリルに、リボンタイ。
丈は少し短めで、太ももがちょっとだけ露出してて、恥ずかしさ全開。
「……っ、これだけって言ったじゃん……!!」
「ううん、次はこっち〜♡」
私はクローゼットから、スリット深めのチャイナドレスを取り出した。
「なっ……!?!? これ、丈!!!? スリット!!」
「脚、綺麗だし、見せてこ♡ かなは日本の宝だよ」
「黙れぇぇえ!!!!!」
でも、着替えてくれるあたり、ほんと可愛い。
(そして──トドメ)
「ね、これもあるけど……着てくれる?」
私はにっこり笑って、**極小三角ビキニ(フリルつき)**を差し出した。
「お゛ま゛え゛な゛ああああああああああ!!!!!!」
チャイナドレスのまま、夏奈はクッションで私を全力で殴りにきた。
そのあとふたりでベッドに倒れて、顔を見合わせて、大爆笑になった。
「……ばか、ほんと、ばか……」
「可愛いから仕方ない〜♡」
夏奈は、ちょっとだけ髪を直して、うつむいたまま。
「……一着だけ、選ばせてあげる。……水着以外」
「え!? じゃあチャイナもう一回!!」
「ちがう、そういうのじゃない、ほんとに、バカっ!!」
『技その47:髪を撫でながら“可愛すぎるよ”って言う+羞恥着せ替え』
→ 距離感は“髪の毛一本分”を超えたら、もう心ごと落ちるしかない。
成功度:神回到達/コスプレ全開♡
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