第3話 レッツけん玉バトル!
堅翔とのバトルの前にユキトのことを知っておかないといけない。
——初めてのバトルだけど、堅翔には負けたくないもん!
バトルギアの画面から『パートナー情報』の画面を開くとステータスを見ることができる。
バトルギアには詳しくユキトの詳細が表示されている。
『炎属性:火の力を宿した攻撃が得意。攻撃技が強化される』
『万能タイプ:攻撃・防御・速度・技巧のバランスが取れている。扱いには工夫が必要』
「へぇ、めずらしいねー。『万能タイプ』は中々出現しないんだよ。うらやましいなー」
「堅翔のパートナーのゴウは『防御タイプ』だったっけ?」
「うん。守りながら攻めるのが得意なんだー」
堅翔の隣に立っているゴウは、大きな盾と槍を装備している。
ユキトの装備は日本刀だけだ。
——ゴウの防御を崩すのは難しそうだ……
「それから——なるほど、属性は『炎属性』かー。剣城のパートナーらしいね」
パートナーにはタイプに加えて属性がある。
——炎属性ってことは、憧れの和馬と一緒だ!
「よっしゃ!」
ガッツポーズをとっていると、堅翔がバトルギアを見せつけてきた。
「確認も済んだことだし、そろそろバトルをしよーよ」
「……そうだな」
バトルギアの画面をタップして『バトルモード』を選択すると、近くでバトルギアを持った人が表示されて、バトルの申し込みをすることができる。
堅翔の名前も、そこにしっかり出てきたからバトルを申し込んだ。
「申請したけど、届いてる?」
「うん、ちゃんと届いてるよー」
堅翔の言葉の後で、バトルギアから『バトル申請が受理されました』ってアナウンスが聞こえてきた。
ちゃんと使えたことにホッとしたけど、これから堅翔と初めてのバトルをするんだ。
——やっぱ、緊張する……。
けん玉を持つ手が震えてくる。手にもジワッと汗が出てくる。胸もドキドキとうるさいくらいになっている。
「剣城くん、落ち着いて。僕も一緒だからさ」
「ユキト……」
ユキトは俺の頭にそっと手を乗せた。まるで『大丈夫』と言ってくれているみたいに、あったかい手だった。
昨日はお兄ちゃんのように思われたけど、今日はお兄ちゃんがいてくれるような気分になる。
——ユキトがそばにいるだけで、すごく心強い。まるで、頼れるお兄ちゃんみたいだ!
けん玉を持つ手の震えがおさまった。
——パートナーがいると心強い!
俺も笑って頷いた。
「うん、一緒に頑張ろう!」
バトルギアからアナウンスが鳴り出した。
『これより、逢坂剣城選手VS中村堅翔選手のバトルを開始します。両者準備をしてください』
けんから球を外していると、堅翔が声をかけてきた。
「剣城とけん玉バトルができるなんて嬉しすぎるよー!」
「俺も、堅翔とバトルができるのはすっごく嬉しい!」
この日のためにけん玉だって練習してきた。その初めてのバトルが一番の友達の堅翔とできるのはずっと夢だった。
——それがやっと現実になるんだ!
「でも、バトルには負けないよー」
バトルはテレビや堅翔たちがやっていたのを見たことはある。だけど、実際にやるのは初めてだ。
——でも、俺だって負けたくない!
「俺だって!」
バトルギアの画面に『準備はよろしいですか?』と表示された。
俺はもう準備万端だ。ユキトを見ると、腰からぶら下げている日本刀に手を当てている。その姿は剣士みたいですごくかっこいい。
「僕も準備はいいよ。さぁ、行こうか!」
「うん!」
画面をタップすると、『対戦相手も準備が完了しました。それでは対戦開始まで3、2、1——』とカウントダウンが始まったところで、堅翔がニヤリと笑った。
「……そうだー、緊張してるみたいだから、ちょっと面白くしようよー。勝った方が、月曜日の給食のデザートをもらうっていうのはどうー?」
月曜日の給食のデザートはプリンだった。
堅翔はプリンが好きだ。というか、食べることが大好きで、余った給食はほとんど堅翔が食べている。
俺もプリンは嫌いじゃない。
何かをかけてバトルをするのは面白そうだけど、負けられなくなる。
——真剣勝負だ!
「分かった! それでいこう」
「初心者の剣城には悪いけど、プリンはもらったよー」
「堅翔こそ! 覚悟しとけよ!」
俺の返事と共に『レッツ、けん玉バトル!』と言うアナウンスが流れ出した。
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