うでのはなし

両腕の肘から下が重たくて重たくて動かすのがとにかくしんどい。

始まりは半年前に喘息発作を起こしてステロイドの点滴を打ってから。

それか一緒に始まった強めの飲み薬のせいかしら。

両手がビリビリ痺れて力が入らないなぁと思ったらどんどん重くなって。

両肘から下に錘をつけているみたい。

とにかくだるいし重たいし力が入らない。

でも家事をしなくちゃいけないからぐっと力を入れてむりやり使い続けた。

ひと作業ごとにダルダルとぐったりとビリビリしながら一日中こき使った。


ステロイドの点滴を打つと身体中でいろいろに働くので聞けば聞くほど支障が出る場合がある。

薬と毒の違いは量と使い方だから、うまくいけば「飲めばバッチリ魔法のお薬」になれるけど、体に合わなかったりあちらの力とこちらの力のバランスがとれなかったりすると「飲めばバッチリ魔法のお薬※但しデバフ有り」もあり得るもの。

それだけ強い薬が必要な状態というものは、デバフよりもバフがとにかく重要だからそれをお医者様がうまいこと調整して処方してくれる。

そのために10年近くもたくさん学んでお医者様になっても学び続けて人を助けてくれるんだ。

ひとりひとり症状も体力も体質も違うのに瞬時に判断して医学を施してくれるお医者様はほんとに凄い。


そんなわけで強い強いステロイドさまが身体のバランスを壊し、どんどん筋肉を分解しまくっているらしい。

半年前はしんどくて寝てばかりいたら体重がどんどん落ちて、筋肉もなくなっちゃって歩けなくなった。

それではいけないと今回はプロテインを飲んでひたすら筋トレしていたのだけど、ステロイドがどんどん筋肉を分解してしまうから毎日イタチごっこだった。

結果これがほんとに良くなかったらしい。


この腕のだるさはひどい。

ほっておいても丸まってきてしまうし、気がつくと小指からつっていたりする。

本当になにも力を入れることをしたくない。

力を入れれば大抵のことはできてしまうけど悪化するから無理はさせてはいけないと言われた。

半年前無視して酷使してしまった両腕にはずいぶん可愛そうなことをしてしまっていたらしい。

大抵のことをこなしてくれる両腕両手と器用な指先は僕のお気に入りなので申し訳なくてとても悲しくなった。

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