第15話 結果発表と再会の約束


「試験お疲れ様でした。今から、今回の入隊試験の結果をお伝えします」

スーツの兵が壇上で話し始める。


「今回の合格者…つまり今年の軍入隊者は42名となりました。

 2次試験までの不合格者はお帰り頂いているので、ここに座っている皆さんということになります。

 ご入隊おめでとう御座います!」


 来賓席から、隊長達が拍手する。


「今日から、あなた達は国の守護者となるのです。

 より一層の努力と国への献身をお願い致します!」

 スーツの兵が合格者達に呼びかける。


「今から、各員に軍所属を証明する章と証明書をお配りします。」

 そう言うと、スーツの兵が壇上から降りて裏の方へ姿を消す。


「では、1人ずつ取りに来てください」と係が誘導する。


「やったね!ソータ!これで僕らも隊員だね!」とペン汰は嬉しそうにしている。

「そうだな!俺らの目標の第一歩だな!頑張ったな!ペン汰」ソータはペン汰頭を撫でる。

「えへへ」とペン汰は無邪気に笑う。


「これで全員に、配り終えたので、再度着席してください」と係が誘導する。


 全員着席したところで、軍服の兵が壇上に上がる。


「あれ?スーツの兵隊さんが軍服着てる」ペン汰が呟く。


「みなさん、今日一日司会進行していた私ですが…

 何者かと、気になっていた方も居ると思いますので、試験後になりましたが自己紹介しておきます」

と敬礼する。


「私は、国家間諜報部隊隊長のライルと申します。階級は、将軍階級を頂いております」

 ペン汰達はびっくりした顔をしている。

 

「来賓席にお越しなっている方々も各隊の隊長様になります。

 一人一人ご紹介したいのですが、時間もありませんので、証明書と一緒にお配りしている用紙に軍の一覧が載っております。ご確認ください」


「なお、ここで、来賓様方にご退場していただきます。お忙しい中ありがとうございました」

 ライルは、敬礼する。


 ペン汰達も敬礼して見送る。

来賓が退場する。


「さて、みなさんに3次試験前の面接で個々にお話しさせて頂いていたスカウトの件です。

 軍の一覧に掲載されている各隊の代表から我々にスカウトの要請が来るような仕組みになっております」ライルは、笑顔で説明する。

 

「実は、今もスカウト要請が来ております。が、1週間の集計期間をいただきます。

 1週間後に個別でお伝えします。その後、1週間の猶予がありますので、どのスカウトを受けるか決めてください」

 ここまでの説明で質問ある方いますか?


「はい!」ソータが元気に手を上げた。

「俺は、模擬戦出てないからスカウト来てないと思うんですけど。スカウトのない場合は、2週間後どうなりますか?」


「いい質問ですね!さすがソータ君です」ライルは、嬉しそうに話す。

「1週間後にスカウトの話がなかった方は通常通り2週間後に訓練生からのスタートとなります。ですが、スカウトが来なかったからと言って落ち込む必要は、ありません。スカウトは、試験的に今年から始まった制度ですから、今までの先輩方は全員訓練生からスタートしているのです」

 ライルは、笑顔で話す。


「わかりました。ありがとうございます!」とソータは頭を下げる。


「こちらこそありがとう。いい質問でした」ライルはソータに拍手する。


「照れるなぁ」ソータは、ニヤけている。

「さすがソータお兄ちゃん!」とペン汰が茶化す。

「お兄ちゃん、さすがっ」レインも茶化す。


「お前ら」とニヤけたソータは、さらにニヤける。


「さて、これで大体の説明は、終わりました。スカウトの件は登録住所に結果をお届けいたします。

 2週間後の詳細も、その用紙に記載されているので、指示に従ってください」

 ライルは、実際の用紙と封筒の見本を見せた。


「では、これで入隊試験の全日程を終わります。

 それぞれ家に帰り、2週間後に向けて準備をお願いします。引っ越すことになると思うので、その準備も抜かりなくお願いします」話終わると、ライルが係に合図を送る。


「では、係の誘導に従って出口まで移動し帰宅してください。お疲れ様でした」ライルは、敬礼する。


 ペン汰達も敬礼し、外へ移動した。


「ペン汰!ソータ!お疲れ様」レインが笑顔でペン汰達に話しかける。

「レインもお疲れ様」とソータ

「レインさん、お疲れ様です」とペン汰


「ところで、ペン汰とソータは帰る場所一緒なの?」

とレインが尋ねる。


「そうだよ!俺とペン汰は孤児院で育ったんだ」とソータは説明する。

「孤児院か…ちなみにどこの孤児院なの?」とレイン。


「ここから結構離れるけど、カンポって知ってるか?そこでマユキ先生が孤児院をやってるんだ」と誇らしげにソータが説明する。


「マユキ?…ふーん…そっか、カンポ村の孤児院ね!わかった」とレインが頷く。


「レインさんは、どこなの?」ペン汰が尋ねる。

「私はこの辺よ」とレインが答える。

「やっぱお嬢様じゃん!そんな気がしたんだよなー」とソータ


「その、お嬢様って言い方やめてくれない?私のイメージに合わないから」レインがムッとする


「そうかなー?割とお嬢様感出てるよ。綺麗で頭が良くて強い。しっかり教育と訓練を受けたお嬢様じゃん」とソータが真顔で答える。


「あんたのお嬢様のイメージってズレてるよ。一般に、か弱くて何もできないイメージでしょ」とレイン。


「そうかな?ペン汰どう思う?」ソータは、ペン汰をみる。

「うーん、僕もソータと同じかな。裕福な家庭は、勉強も訓練もしっかり受けれるってイメージ」ペン汰もソータに同意した。


「……あぁ…なるほど、勉強と教育ね。わかったわ、もう説明いらない」と何かに納得した様子。


「じゃあ、遅くなるから、俺らは帰る。またな!レイン」ソータは、拳を前に突き出す。

 それをみてペン汰も拳を合わせる。


「ふふっ」とレインも、2人に合わせて拳を合わせる。


「また会おう」3人は再会の約束をして、それぞれの家に帰った。

 


 


 

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