第50話 決着

「え、なぜ?」

碧の口から思わず漏れる。


晃輝はつづけた。

「僕は、ずっと考えていました。なぜ、碧が過ちを犯してしまったかと。須藤とテニスをしていたことに理由があるのではと。

 碧はテニスを引退して僕と結婚してくれました。自分の夢、生きがいのテニスを捨ててきてくれた。でも、ぼくは、今の水システムの仕事、自分の夢を一人で追いかけていた。決して、よい夫、父親でなかった。それが、碧を迷わせてしまったと気がついたんです。」

「碧、ごめん・・・僕が悪かった。」

「お義父さんお義母さん、すみませんでした。僕がよくなかったんです。」

 対面に座る、3人に頭を下げた。


「もう一度、僕と結婚をやり直してもらえませんか。乃亜と星怜奈を立派に育てる、家族の夢を一緒に追いかけさせてもらえませんか。」

 碧は、涙を頬に伝わらせて、

「私は、妻として許されないことをしました・・・・その資格は・・」

 言葉にならない。

「僕は、君を愛している、それは揺るがないことに気が付いた。君はぼくをどう思っている?」

「私は、あんなことをして信じてもらえないかもしれませんが、愛しています。」

 

 晃輝はうなずいた。

「ありがとう。それが聞ければいいんだ。やり直そう。」

「はい。」 

碧は、静かに頭を下げた。

「みなさん、結論は2人の中で出たようです。ご異議はありませんか。」

亮は、目を赤くしながら言った。

「今は、友人として2人の結論を尊重したいと思います。」

そこに、集った人たちは、皆、微笑んでいた。


晃輝の母が、碧に駆け寄って背中に手を当てる

「碧ちゃんごめんね。晃輝がしっかりしてなくて・・辛い思いさせたわね。」

「お義母さん・・・・。」

碧の頭を胸に、抱き寄せる。


「お義父さん、お母さんご心配をかけてすみませんでした。」

晃輝が再び頭を下げる。

「頭を上げてください。碧を許してくれてありがとうございます。」


 2つの家族は、しばらく声を掛け合い、元の姿を取り戻した。


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