月夜が照らす、俺の日常

@SFDLB

第1話 日常

 六月。

 季節は梅雨入り寸前、朝の空気は湿り気を帯びていて、微妙に肌寒い。

 それでいて、あと二週間もすれば三十度越えが予想されてるってんだから、日本の気候は本気でどうかしてると思う。

 俺――蒼井悠真あおい ゆうまは、いつものように目覚ましが鳴る前に目を覚まし、静かに制服に着替える。

 とある理由から、昔から早起きの習慣は付いている。

 家の玄関を開けると、空はまだ明けきっていない。

 白み始めた空と、遠くで鳴く鳥の声。

 天気予報では「曇り」と言っていたけど、今にも雨が落ちてきそうな、そんな空模様だった。

 いつもの場所に立ち、いつものように、しばらく空を見上げる。

 俺自身は、どこにでもいる普通の男だ。

 特別な力なんて持ってないし、他人に誇れるようなものも別にない。

 でも、そんな俺がひとつだけ──自慢できることがあるとすれば、それは────


「うぇ~い、どした~?暗い顔してんぞ~」


 突然、背中に衝撃が走った。

 軽く前のめりになりながら振り返ると、そこには制服姿の銀髪の少女が立っていた。


「今日はいつもより早いな、月夜」


 彼女の名前は鴉宮月夜こうのみや つくよ。

 所謂、幼馴染って奴だ。

 銀髪ロングってだけでも目を引くのに、毛先まで無駄なく纏まっており、その髪は背中の下まで豊かに流れ落ち、見る角度によって繊細な輝きを放っている。

 この湿気でもくせ毛ひとつ見当たらないのは、もはや謎だ。

 歩くたびにその髪が背中で揺れて、自然と目が引き寄せられる。

 その髪を、いつもピンで軽くアレンジしてて、前髪は重くならないよう軽くサイドに流し、耳元で小さなピンやクリップを使って留め、整った顔立ちがより際立つ。

 身長は165くらい。

 高すぎるってほどじゃないけど、細くてスラッとしてるから立ってるだけで様になる。

 制服のスカートが短いわけでもないのに、足のラインが自然と目に入ってくる。

 瞳は淡いグレーがかったブルーで、切れ長の瞳で真っ直ぐ見つめられると思考が止まり、息を飲む程美しい。


「愛しの幼馴染をいつまでも待たせる訳にはいかないからな~。どうだ~?嬉しいだろ~?」

「はいはい、嬉しい嬉しい。いつもこれくらい早ければ、もっと嬉しいけどね」

「わかってないな~。こういうのは“たまに”だから良いんだよ、たまにだから!」

「そういうもんか」

「そういうもんだ」


 そんな他愛ないやりとりを交わしながら、月夜は俺の隣に並ぶ。


「んじゃ、今日も真面目に頑張りますか~」

「ああ、そうだな」


 いつもよりテンション高めな月夜と学校に向かって歩き出す。


「何か、今日は機嫌も良いな。なんかいい事でも?」

「ん~?そう見えるか~?そう見えるなら、そうなんだろうな~」


 ふにゃ、とした笑みを浮かべながら、月夜は前髪をいじりつつ空を見上げた。

 その表情に悪意も演技もなくて、ただただ気分屋な猫みたいだと思う。


「な~んか、こういう天気とかのがアガるんだよなあたし~。雨は嫌いだけど、夜も好き」

「普通逆じゃない?天気良い方が気分上がると思うんだけど」

「あ~、無理無理、太陽照ってるとすっげえ萎える……。もうすぐ夏とか、憂鬱すぎて泣きそう……」

「……二週間後にはもう夏みたいなもんだしな」


 俺がぼそっとつぶやくと、隣を歩く月夜が、うえぇ~って感じの声を漏らした。


「ほんとさ、最近って春と秋が一瞬すぎない? 地球どうなってんだ~!?」

「……全くだな」


 溜め息交じりに相槌を返す。


「はぁ……この短くも儚い、心地いい空気を今は楽しむとしますか……。」


 歩きながら、月夜が肩を落として息を吐いた。

 その口調はいつもの気怠げな感じなんだけど、声だけは妙に澄んでる。

 湿度が上がる前の、ほんのわずかな清涼感に包まれた朝だった。


「……こういう時期だけは、ほんとに好き。空気がちょっとだけしっとりとしてて、静かでうるさくないし。まぁ、湿気がひどくなると、髪もうねるし、大変なんだけどね……」


「いや、月夜の髪が広がってるの一度も見たことないけど」

「見せてないだけ~。努力してるの、こう見えて」


 そう言って、月夜は少しだけ唇を尖らせながら、前髪を指先で整えた。

 軽くサイドに流した銀色の髪が、曇った空の下でもふわりと揺れて、淡い光を拾ってきらめく。

 その仕草が自然すぎて、ふと目を奪われる。

 本人にとっては何気ない朝のひとコマでも、俺にとっては意識するなって方が無理なレベルだった。

 言葉の端々は軽いけど、月夜の声はどこか眠たげで、気持ち良さそうだった。

 曇り空と少し湿った空気、じめっとしてるはずなのに、不思議と重くないこの朝の空気感は、あいつの雰囲気にぴったりだった。

 銀髪も、ちょっと湿気を含んだくらいの方が、むしろ綺麗に見える気がする。

 そして俺は、そんな空の下を、ただ隣で歩けることがちょっとだけ嬉しかった。

 そんな会話をしながら歩いているうちに、気がつけばもう、校門の前に着いていた。

 朝の風景としてはおなじみの、少し古びた鉄製のゲート。その先には、いつも通りに静かな校舎が立っている。

 俺たちが通う学校、私立『綾月りょうげつ学園』。

 名前だけ聞くとなんか大仰しいけど、特に伝統や大層な歴史があるわけじゃない。

 一応偏差値的には高ランクに分類されてるっぽいし、外から見たら進学校って印象を持たれることもあるらしい。

 でもまあ、この程度の私立校なら、全国探せばいくらでも出てくる。

 勉強はそこそこ。部活はほどほど。

 生徒の自主性を重視してるとかで、よほど逸脱していなけれな厳しく注意される事も無い。

 ようするに、ほどよく自由で、ほどよく緩い、そんな学校だ。

 そういうほどよく緩い学校だったからこそ、俺たちはこの綾月学園に進学したってわけだ。

 それに、家から徒歩で通える距離ってのもデカい。

 特に、朝が絶望的に弱い月夜にとっては死活問題だったはずだ。

 電車通学の学校だったら、あいつ間違いなく毎日遅刻してただろうな。

 ちなみに、本人がこの学校を選んだ理由は────


『ここの制服、めちゃくちゃ可愛いからさ~。しかもさ~、成績維持してたら多少改造しても注意されないとかやばくない!?』


 ――だった。

 いやいやいや、それだけ? って聞いたけど、あいつは真顔でうんうん頷いてた。

 ただでさえ、容姿に秀でてるというのに“見た目に対するこだわり”は特に強い。

 毎週毎週、よくもまあネタが尽きないなって思うくらいに、月夜は髪型や服装のアレンジを欠かさない。

 今日はピンの留め方が変わってて、前髪がふわっと軽く見えるようになってたし、スカートの折り方もいつもと違う。

 足元も白ソックスじゃなくて、薄いグレーのルーズに変えてる。細かいところまで抜かりがない。

 それをふと指摘してみたら――


「は~? 何言ってんの!? 今が人生の最頂点である“最強JK”なんだよ!? オシャレしまくらないと損じゃん!!」


 との事だった。


「そんなにか?」

「そんなにだよ!! だって一度きりだよ!? JK期間! 最高の青春謳歌チャンス!」

「青春……謳歌……」


 思わず繰り返した俺の言葉に、月夜はうんうんとやたら得意げに頷く。


「そうそう。感謝しろよ~。超絶可愛いあたしが~、毎日さいっこうに可愛い姿をいの一番に披露してあげてるんだからさ~」


 そう言いながら、月夜はふいに身を乗り出してきて、俺の顔を覗き込んでくる。

 銀髪がさらっと揺れて、淡い香りが鼻先をかすめた。


「それは、まぁ……」


 視線を合わせきれなくて、つい顔を逸らす。


「へへ~、あたしが幼馴染で良かったな~?」


 こちらの腕をぐるぐる引っ張りながら月夜は満足そうに笑っていた。

 そんなことをぼんやりと思い返していたら、いつの間にか教室に辿り着いていた。


「うぇ〜い! おはよ〜!」


 月夜が扉をくぐるなり、いきなりテンション高めに声を上げる。


「うぇいうぇ〜い! 月夜おはよ〜! 今日も可愛さやば〜! 決まりすぎてるじゃ〜ん!」

「でしょ〜? ぴすぴす〜!」


 数人のギャルたちが、キャッキャとはしゃぎながらスマホを取り出し、パシャパシャと連写モードで月夜を撮りまくる。

 みんなで決めポーズして、ハート作ったり、変顔したり、指ハートで盛り上がったり、いつもの光景だ。


「月夜、はよ」

「お~、うぃ~っす!」


 周りにいた子達――いわゆる“派手め”なギャルグループ以外の子にも、軽く手を振って挨拶していた。

 その仕草に嫌味はまったくない。

 むしろナチュラル。

 先生に見られてても何も言われないし、地味めの子達にもちゃんと声をかける。

 ……そういうとこだよな。

 鴉宮月夜が、無敵感あるカーストトップのポジションにいながら、妙に好かれてる理由。

 美人で目立ってて、喋ると気だるくて適当っぽいのに、妙に空気は読めるし、壁を作らない。

 そのくせ、無駄に踏み込ませない距離感だけはきっちり保ってる。

 あいつの一挙手一投足が、このクラスを右にも左にも転がす――それくらいの支配力を、鴉宮月夜は持っている。

 誰もがそれに影響されてるのは事実で、だからこそ、月夜が教室にいるだけで空気が少し変わる。

 ……とはいえ。

 俺にとっては、今さら驚くようなことでもない。

 小学校の頃からそんな月夜の姿をずっと見てきてるので今更である。

 俺は自分の鞄を机に置いて、窓際の席に腰を下ろす。

 カーテン越しに差し込む光はまだ弱く、曇り空の下で教室はどこかぼんやりと薄暗い。

 騒がしい朝の喧騒が、どこか遠くにあるように思えた。

 こうやって、遠くから眺めていると月夜とは住む世界が違うんだなと、改めて思う。


「ねね? 月夜ってさ、蒼井くんと幼馴染なんだっけ?」

「んー……そだよ~?」

「えー、マジで? なんかさ、普段どんな会話してんのか全然想像できないんだけど!」

「ちょ、やめなよ~」


 ギャル組のひとりが笑いながら口にすると、別の子がすかさず加勢してきた。


「いやでもさ、ほんとそう思う。蒼井くんって、めちゃくちゃ生真面目っていうかさ~、月夜とノリ合わなそ~」

「わかる~! てか、蒼井くんって真面目だし、静かだし……ふたりで話してるとことか、想像つかないよね~」

「話してるけど? 普通に」


 月夜があっさりと返したけど、ギャル達の興味は尽きなかったようだ。


「え~、なに話すの?」

「別に大したことじゃないよ? あたしがさっき撮った写真見せたりとか……」

「……へー? 本当にそれだけ?」

「ん~……天気の話とか、髪型の話とか……」

「地味っ!」

「ていうかさ、蒼井くんって、髪型の話するタイプ!?」

「いや、するっていうか、気付くってだけで……あ~~もう別に良いだろ~」


 月夜が机に突っ伏して、これ以上の深追いを拒否する。

 けど、そんなのはこの手の女子トークの前じゃ無力だ。


「でもさ~、月夜ってさ、男には基本塩対応でしょ? わりと辛辣っていうか、言葉の選び方がえぐいじゃん?」

「ね~! だからこそ余計に気になるんだよ、蒼井くんとどんな会話してんのか!」

「ていうかさ、そもそも毎朝一緒に登校してるんだよね? あれ、結構すごくない?」

「わかる~! 月夜が絡みに行く男子って、蒼井くんくらいじゃん。ていうか他にいたっけ?」

「あー!あー!知らね~。もう聞こえませ~ん」


 月夜が両耳を塞いで机に突っ伏す。


「ウケる。アタシ蒼井君に絡みにいっちゃお~♡」

「もうやめなって~」


 そう言いつつ、もうひとりの子も笑いを堪えきれてない。

 むしろノリノリだ。

 こういうときの“茶化し全振り”はさすがというか……ギャルの、いや、ギャル特有の“良くないとこ”が前面に出てる感じがする。


「やほ〜、蒼井く〜ん、遊ぼ〜♡」


 嫌な予感がしていたが案の定、ひとりがこっちにやって来た。

 そのまま前の席にひょいっと腰をかけ、肘をついてニヤニヤしながらこっちを覗き込んでくる。


「……はぁ、どうも」


 俺はなんとも言えないテンションで返しつつ、机に肘をついて視線をずらす。

 なのに目の前のギャルは、まったく怯む様子がない。

 むしろ、俺が困ってるのを見て楽しんでるまである。


「え~?塩~い♡そんな対応されたら泣いちゃうんだけど〜。月夜と喋ってる時みたいな事話してよ~」

「いや、俺は月夜と話してる時もこんな感じだよ」


 正直に言ったつもりだったが、ギャルは一瞬キョトンとしたあと、顔をパッと明るくしてから二人揃って爆笑される。


「うっそでしょ!? それで成立してんの!? マジか~~!!」

「やばすぎ、マジウケる!」

「え~? 本当はさ~、ふたりきりだと蒼井くんが口説いてたりしないの? 小粋なジョーク飛ばして、花を咲かせてるとか~?」

「それかさ~、従順な召使やってるとか~? ペットみたいに足元ついて回ってたりして~♡ 健気すぎ~!」

「……あー、それはまあ、奴隷扱いされるのは、たまにあるな」


 俺が肩をすくめて答えると、ふたりの笑いはさらにヒートアップした。


「えぇ!? それ認めちゃう!? ガチ!? ウッケるっ!!」


 ……とはいえ、この手のイジりはもう日常茶飯事。

 月夜と幼馴染ってだけで、からかわれるのはセットみたいなもんだ。

 だから俺は、特に反論もせず、いつものように受け流すことにしている。

 正直、こっちが真面目に対応するほど、逆に面倒な方向へ広がっていくのを、俺はもう何度も経験してきた。


「おいおい~、お前~、ギャル達に舐められてっぞ~? いいのかそれで~?」


 不意に背後から声がかかったかと思えば、月夜が俺の席の後ろに立ち、両肩にひょいっと肘を乗せてきた。

 まるで肘掛けにするかのように、俺の身体を当たり前みたいに使ってくる。


「……お前、いつの間に来てた」

「ずっと見てたけど~? ヤバない? 悠真くん、完全にいじられキャラ定着してたんだけど~?」

「まぁ、これもいつもの事だろ」


 肩に肘を乗せたままの月夜に言うと、奴はそのまま「そゆこと~」とニッと笑う。

 完全にくつろぎポジション。

 俺の背中を肘置きとでも思ってんのかってくらい自然体だ。

 そこへ、さっきまで俺をからかってたギャルがツッコんできた。


「うわ~、距離感ちか~。仲良すぎでしょ、マジで!」

「マジでさ~、それはもう幼馴染のレベル超えてんじゃん?」

「ね! 普通はちょっとよける距離でしょ!?」


 俺は反論もせず、ただ肩越しに月夜をチラッと見る。

 すると、案の定――こいつ、ニヤけてやがる。


「そんくらい普通だし~。ね、悠真くん?」

「……はいはい、普通普通」


 俺は深くため息をつきたくなったが、まあ、これもまた“いつも通り”だ。

 ギャルふたりのツッコミはどんどんヒートアップしていく。

 お決まりの展開と言えばそれまでだが、毎回テンションが上がる速度が尋常じゃない。

 そのうちのひとりがスマホを取り出して、俺と月夜をフレームに収めるように構える。


「はーい、ガチ恋幼馴染ペアいただきまーす♡」


 パシャッ。

 シャッター音が響いた次の瞬間――


「ぴーす☆」


 月夜は肘を俺の肩に乗せたまま、手元でサッとピースサインを決めてポーズを取っていた。

 ノールック、ノータイムで決める。

 カメラ向けられてるのをわかってたみたいに自然な動きだった。


「うわ、撮られ慣れてる~!」

「しかもポーズ決めんの早っ! なにそれプロ?」


 俺はというと、特に抵抗もせず、ただやれやれと肩をすくめるだけだった。


「ま~、盛り上がってるとこ悪いけどさ」


 月夜がふっと笑いながら、前に出た手を引っ込めて言った。


「――あたし達、付き合ってないよ」


 その声は、どこかさらっとしていて、取り立てて照れた様子もない。

 そして俺も、それに続く形で言葉を乗せた。


「そうだな。……付き合ってはいない」


 事実をそのまま伝えただけ。そこに嘘はない。

 けど、何かを期待していたらしい周囲は、逆にそこでどよめいた。


「えぇ~~!? マジで!? そんだけ仲良いのに付き合ってないの!?」

「嘘でしょ!? ガチでガチだと思ってたのに!」


 ギャルたちの声が教室中に響く。

 笑い混じりの本気のツッコミが飛び交って、どこかの席では「付き合ってる」「付き合ってない」で討論が始まってた。

 ……と、そのタイミングで――

 キンコンカンコン。

 教室のスピーカーから、予鈴が響いた。


「ほら~、行った行った~。HR始まるぞ~」


 月夜が、片手をひらひらさせながら、テンションの高まる教室をゆるっと収めにかかる。

 ギャルたちは「え~つまんな~い!」と文句を言いながらも、ちゃんと席に戻っていった。


「けどマジであの二人は謎~。解明できんわ~」


 まだヒソヒソと声は飛び交ってるけど、徐々に教室はいつもの始業前の空気に戻っていく。


「付き合ってはいないよな」


 月夜がぽつりと、さっきのギャルたちの話をなぞるように言った。

 その瞬間、俺の肩に乗っていた彼女の肘が、ふっと下ろされる。

 月夜の重みが消える。

 俺が少しだけ目線を動かしたときだった。


「彼女じゃなくて――お嫁さんだもんな♡」


 月夜の声が、耳元でそっと囁かれた。

 小さな、でも確かに届く距離で。

 くすぐったいくらいの息が、耳にかかる。

 振り返ろうとしたときには、もう月夜は何事もなかったかのように、自分の席へ向かって歩いていた。

 背中越しに、くすっと笑ったような気配だけを残して。

 俺は椅子に深く座り直し、静かに息を吐く。

 俺自身は、どこにでもいる普通の男だ。

 特別な力なんて持ってないし、他人に誇れるようなものも別にない。

 ……だけど。

 そんな俺が、唯一と言っていいくらい、人に自慢できることがあるとすれば。

 それは──

 鴉宮月夜こうのみや つくよの幼馴染として、この世界に生まれたこと。

 それだけは、誰に何を言われても、胸を張って言える。

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