第十九話 酔いどれ幸長、友だちになる
「
聞こえないみたいだから、入口からもう一度声をかけました。
「おお!
「ん、
そうか。
「これは失礼しました。私は
メチャクチャ
ふ、ふうん。やればできるじゃない。なんで私にはできないかな。
挨拶を済ませると外で見張りをするとか言って、
「
「そう?」
私には突っかかってくるんだけどね。ま、確かに格好いいかも。
そこに、すぐ
「
「
「おう、
「ああ、酒が売れないから、
「ったく。しょうがねえな」
しばらく
「
は? 私って最近、
「なあにが男女よ。こんな
「いやいや。目がいいから、ありのままを言ってるだけさ。ギザギザの前髪、
すると、それまで黙って見ていた
「
失礼はお前だっつうの!
これって私のために怒ってないよね。私を怒らせるために言ってるよね。
「これは、失礼しました。
「
「ふうん。こいつが落ち目の
けぷうと
「待て! それは聞き
冷静な声だけど、
「落ち目だろう。
全てを言い終わる前に、
「九郎さまを
ありゃあ、
「
「それを言うなら、
ふう、どうやら落ち着いたみたい。
「まさか
ええ、そこまで落ち込む? でも、目の前の人は敵じゃないよ。
「
「いえ、こちらこそ。無礼な物言いでした」
「この
「こいつの父親は
千代ちゃんがみんなの分の麦湯を持ってきます。あかねちゃんが気付かれないように毒味をしてから、私に湯飲みを渡してくれます。
「それからこいつは
すごく気になる。もしかして問題を起こしたとか……。
「三日で辞めてきたんじゃあ!!! 全てが気にくわないとか言って」
さ、さすがに三日は早いわね。
横を見ると
「それからは、ずっとわしの元で酒を売って暮らしとる。土地もあるにはあるが、三
「もういいだろ。俺は家に戻るよ。
そう言うと、
「
「でも、
「あかねちゃん。私についてきて。おじさん、あの人の家ってどこ?」
「川沿いに四
「分かった!」
私とあかねちゃんは、彼を追いかけるように走っていきます。
川沿いの小さな道からは、
やがて、大きなクスノキの近くに、
「お前、何しに来たんだよ」
本当。何をしに来たんだろう?
「ね、何で
「お前……。俺を仕官させるために来たんじゃねえのか?」
ゆっくりと首を振った私を見て、近くの丸太に座るように進めてくれたんです。
「簡単な話さ。
「何で?」
「俺の初めての仕事は
よくある話でした。母様が死んでからというもの、
「俺は武士に
そっか。君はまともな心の持ち主なんだね。
「
「なあんだ、そっか! ね、
「俺の名は、
「へえ、かっこいいじゃん」
「そんなことねえよ」
頭をかいて照れてるよ、
「私はね。
「
「しい! それは秘密にしてるの!!」
「ねえ、
「友だち?」
「うん。私、友だちが少ないからさ。なってくれたらうれしいな」
「よ、喜んで」
このとき恥ずかしそうに笑った
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