第15話 深まる絆と未来への予感-3

大学四年生の秋、葉山悠斗はついに、大手ソフトウェア企業から内定通知を受け取った。封筒の重みと、その中身に記された「採用」の二文字は、これまでの全ての努力が報われたことを意味していた。疲労困憊の就職活動が終わり、安堵と達成感が悠斗の全身を包む。春から始まる社会人としての新しい生活への期待と、わずかな不安が胸中で入り混じっていた。


内定をもらったその日から、悠斗の頭の中は、葵との結婚という、より具体的な未来の設計図で埋め尽くされるようになった。就職活動を終え、未来への足がかりを掴んだ今、彼にとって最も重要なのは、葵との関係を次の段階に進めることだった。現実の葵との交際は、大学に入ってからもキス以上には至っていない。それでも、互いに支え合い、共に困難を乗り越えてきた日々の中で、彼女は悠斗にとって、もはや人生に不可欠な存在になっていた。


葵との将来を具体的に想像する。結婚後の生活、共に過ごす家庭、それぞれのキャリアをどう築いていくか。その全てに、葵の笑顔がある未来しか考えられなかった。彼女が隣にいることが、悠斗にとって何よりも仕事へのモチベーションとなる。彼女と手を取り合い、温かい家庭を築きたい。その願望は、日を追うごとに強く、確かなものになっていった。


プロポーズの計画を具体的に練り始めた。どんな指輪がいいだろう。どこで、どんな言葉で伝えれば、葵は最高の笑顔を見せてくれるだろうか。レストランを予約するのか、それとも二人にとって思い出の場所が良いのか。あれこれ想像するだけで、胸の高鳴りが抑えきれなかった。プロポーズという人生の一大イベントを前に、悠斗の心には期待と同時に、大きな緊張も生まれていた。


そんな現実の願望を、夜の夢はさらに強く後押しした。

夢の中での悠斗と葵の関係は、現実の結婚願望に呼応するように、より深く、官能的に、そして精神的に進化していった。物理的な限界が無いことから、二人の肉体的結びつきは、何度となく繰り返され、「いつ子供ができてもおかしくない関係」にまで深化していく様子を暗示的に描いていく。より深い一体感や官能を求めあう深化、言葉を超えたコミュニケーション、互いの身体の探求、絶頂と虚脱、そして再び相手を求めるサイクルの繰り返しとして表現されていった。


夢の中で、葵は悠斗に対して、現実では見せないような深い愛情と信頼を示してくれた。彼女が俺の腕の中で、安堵に満ちた表情で身を委ねるたび、現実でのプロポーズへの決意が、より確固たるものになっていった。それは、夢が俺の人生の大きな決断を最終的に促しているかのようだった。


肌と肌が触れ合うたび、彼女の柔らかな肌から熱が伝わり、互いの体が溶け合うような一体感を覚える。彼女の乳房を掌に包み込んだ時の柔らかな弾力は、夢だと分かっていても、現実の俺の心を強く揺さぶった。彼女の内側が熱く吸い付くように俺を包み込み、その心地よい圧迫感に、俺は夢の中で何度も理性を失いかけた。葵の腰が本能的に俺の動きに呼応して揺れるたび、俺の体中の神経が研ぎ澄まされ、快感の波が嵐のように押し寄せた。


朝、目覚めると、枕は汗でじっとりと湿っていた。


肌にはいつも薄っすらと寝汗が滲み、時には股間が濡れて、下着が夢精による粘り気のある熱を帯びた液体で汚れている。心臓は朝から激しく脈打ち、しばらく動悸が治まらなかった。サッカー部で鍛えられたはずの自分の体は、かつてないほどの性的興奮によって体液が分泌されたような痕跡も残していた。


夢のリアリティと現実の乖離に戸惑いながらも、俺は、葵との未来を強く信じていた。夢の中の彼女の存在が、現実の彼の生活を、そして精神を、確かな形で支えている。それが、この不思議な夢の力なのだと、悠斗は確信していた。


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