第2話  まむし 轢かないでください。私の新車で

とある県とある郡とある町の、限界集落ちっくな、とある町道の田舎道で。


昨日納車の、私の軽自動車。

見せびらかしに、義実家へ行くと、

「あ、ちょうど良かった。買い物に行く予定だったんよ。

ちょっと、車貸して。」


義母は、家族の車を、数々おしゃかにして来た、歴戦の強者。

思いついたら、きかない人。

仕方なく、私は助手席の人になった。


生活必需品や、生鮮食料品を、ちょっとだいぶ遠いスーパーまで買いに行った。

センターラインは何の為にあるんだろうか。

30キロ制限の道は、交通安全の為では??

と、自問しつつ、黙って乗る私。


無事に買い物を終えた、帰路の道の途中。

昼間でも日陰で薄暗い町道の坂道にさしかかった、その時!

「あら。いかん。」

そうつぶやくと、急にバックし始める義母。

もちろん、後方確認無し。

「えっ!どうしたんですか??」

驚く私に

「まむしがおったんよ。」

「はあ??」

「この時期のまむしは、噛みつくけん。轢いとこう。」

「はあ??」

義母はガアーっと車をバックさせて、まむしの上に、タイヤを乗せて、

あろうことか、すえぎりの為に、ハンドルをぐりぐり。

「ぷちっ」

って音が、車外から聞こえた~~~~!!!

『ひいいいいいい!!』(私の心の声)

「これで、誰も噛まれんで済む。」

義母は、良いことしたかのように、得意げ。

『いやいやいや!これ、私の車なんですけど!!しかも昨日納車したやつ!!』


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