時計の視点
「そうですねどこからにしましょうか。まずは出会った所からですかね。私の主は旅行が好きで仕事が終わるとどこに行くか予定を立てたがりまして。その旅行先で始まりましたね。そこで傘さんとも友達になりましたね。」
どこに行ったのだろうか奏那が行くところといえば花が奇麗なところしか思い浮かばない。それぐらい毎日旅行ガイドのページがそれだった。
「春でしたね。初めて会ったのは。桜の名所に行っていたんですよ。そして土砂降りの雨が降ってしまって傘がないので困っていたところを貸してもらったのが始まりですね。律儀に返しに行ったのでそのまま気が合ってどこ行くとなって今に至るという話です。」
「そんな昔の事よく覚えてるな。持ち主と似て律儀だ相変わらず。思い出した。澄人のやつ女らしいって言いやがって俺を使ってたな。でも今は入ってきて見てるこっちが気恥ずかしくなるんだ。」
傘が話に混ざりこんだ。確かに紫陽花柄なので一人で使うとなると抵抗があるように思えていた。
「そういや今日行くところは紫陽花が有名でしたよ。色々と調べてましたね。」
「じゃあ行ってきます。」
そう二人は部屋に告げて持ち物をもって出かけに行った。
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