日常

終わったのは夜になってしまっていた。けれども満足そうに足をバタバタと動かして座っていた。

「日曜日の夜は憂鬱だけど、今日は違うな。」

独り言を言っていた。一人暮らしなのでそりゃあ小言の一つや二つは出るのだろう。それより座って何の本をさっきから読んでいるのだろうか。少し見てみるとどこかに遊びに行くのだろう旅行雑誌があった。付箋がついてあるところはおそらく行くところなのだろう。開いてあるページを見ると売られていた店が紹介されていた。

「明日仕事だから寝ないと。」

そうして私の初日の仕事は終わった。それから五日間私は毎日仕事をしていた。話し相手になってあげられないけれども話を聞いていた。忙しく大変な事を毎日話してくれた。人間は五日働くと休みが貰えるという事を聞いていたので明日は私にとっては仕事日になるのだろう。驚いたことは休みだっていうのに早く起きていたことだった。普通は遅くに起きるものばっかだと思っていた。なぜなのだろうかいつもよりクローゼットとにらめっこしていた。

「これじゃ変だよね。」

一人でぶつぶつ言っているがなかなか決まらないのだろう。やっと決まったかと思ったら鏡を見ていて身支度をしている。どこかに遊びに行くのだろう。時計を見て部屋を出るときに聞こえないだろうけれど「行ってらっしゃい」と言った。

「行ってきます。誰もいないけれども。」

通じているのか思えたが、そんなことはなかったようだ。

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