第一章 3
4
気が付けば、ぼくは公園のベンチにいた。空には雲。そして、ぼくを覗き込む金髪の少女。
「こっ酷くやられたみたいじゃあないか」
せせら笑うような声。いや事実、その通りなのだろう。全く、無様な限りだ。
「救援は?」
「ナッシング。断ち切られたまんま。ついでに言うと、外にも出られないね」
世界との戦い。それは世界の内側では行えない。今はまだ、その内側では現実の圧力が高すぎる。逆らおうにも、睨みつけることすら許されないのだ。
だから、ぼくたちは世界の外側に出る。遥かな未来。そこにある、絶滅の可能性を引き寄せるために。
朽ち果てた星々。宇宙の全ては、今や絵画。星の見る夢でしかない。月は、もはや空の外には浮かばない。その記憶を、忘れたくない誰かが、思い返しているだけ。
世界はすでに滅びている。それはいずれ、ぼくたちが滅ぼすという運命の固定。それはすでに確定した未来で、星の外側、大気圏外は、すでにそれに埋め尽くされている。だからこそ、それを認められない守護者たちが、あり得べき末路を覆すことを夢見て、遥かな未来から、滅びる寸前の今へとやってきている。
未来と過去の隙間。可能性の宇宙。赤き空。逆転の階。忌々しい、未来からの妨害者。あるべき滅びを受け入れぬ、悍ましい未来人類たち。
これはつまり、綱引きなのだ。彼らがぼくらを滅ぼし、崩れゆく未来を消滅させるか。あるいはぼくらが彼らを退け、現実を打ち崩しあるべき未来へと辿り着くか。
ぼくらは破壊者。彼らは守護者。けれどそれも、どの視点から見るかによるだろう。
今を守るか、壊すか。未来を守るか、壊すか。相互の関係性が、冷めた地獄を生んでいる。
「おいおい、それはフェアな視点とは言えないぜ。結局のところ、守ると壊すの主語は、未来や過去なんてチンケなものじゃなく、世界を、だろう?」
欺瞞は見抜かれる。彼女の前では、すべて等しく。だからぼくは彼女が嫌いだし、それは多分、彼女からもまた同じだろう。
「人の内心を勝手に決めつけるのはよしてくれよ。私はこれでも、仲間思いで有名なんだぜ」
「嘘をつけ」
そんな人間が、破壊者になど成り下がるものか。下手くそな嘘。人を馬鹿にした、貼り付けた笑み。
破壊者など、総じて人間の成り損ない。あるいは、成り下がり。人の生きる世界から零れ落ちて、現実の席を失った敗北者たち。
だからこそ、それらは現実と相剋する。加圧から逃れ、現実を超克する空想の牙。脆く醜悪なそれらを構え、世界そのものを破壊するもの。破綻者にして絶滅論者。破滅信奉者にして敗北主義者。世界の足を引き、その基底を壊すもの。世界の全てを憎み、己の心を破壊したもの。
世界そのものが崩れれば、諸共死ぬしかないとわかって。
それでも破壊と道連れを望む、傍迷惑な自殺志願者。
それが、ぼくら、
「わかっていて、戦うんだね」
「それ以外に、生き残る術はないからね」
もとより、その程度。人間が生きるのは、死ぬためだ。ならばぼくらだけが破綻者の誹りを受けることも、おかしな話じゃあないか。
「オルターエゴは?」
首を振る。
「消滅?」
「わかってるだろ」
カムパネルラの消耗は非常に激しく、半壊以上の無惨な状態だが、それでも消滅してはいない。もしそうだったら、ぼくは今ここに生きていない。
世界からの抑圧。その内側で生まれた狂気。精神の澱みに生じる、世界の害獣。己を食い破って生まれる破滅衝動。あるいは――真なる己。
不恰好な肉の器。それに押し込められた自我が叫ぶ断末魔にして、それが本来取るべき怪物の形。己ならざる己。ゆえにこそ、それは
オルターエゴは、己より出ずる己自身。ゆえにそれが消滅する時、それは宿主にして抜け殻である
「私のアレクサンドロスは、戦闘向きじゃあないしねぇ」
ため息を吐く。彼女の背後に浮かび上がる、見えざる蜘蛛。八つの足、八つの瞳、操るは糸と毒。あるいは、意図と孤独。
ぼくが今、こうして呑気に地上で話せているのは、つまり蜘蛛の糸だ。
ぼくの魂に結ばれていた、形而上の糸。それを引かれることによる空間転移。もっとも行き着く先は極楽でなく、さらなる地獄でしかなかったのだけれど、ともかく。
ぼくが彼女と通信を行っていたのも、この糸を震わせることによる糸電話だ。イヤーカフスは、ただの飾り。実態は酷いローテクで、有線どころの騒ぎじゃない。だがローテクであるがゆえに――それは見えざる命綱として、ぼくの命脈を繋ぎ止めたのだ。
オルターエゴは、こうした固有能力を持つ。人知を超えた――世界の理を超越した、法則を乱す力。それがこそ、世界の整合性を破壊する本質的な力。世界によって否定された自我の相剋。こんな世界は認めないという否定の叫び。自我によって世界を穿つ、唯一にして最大の術。
時にそれは魔法と呼ばれ、時にそれは奇跡と呼ばれ、時にそれは悪魔憑きと呼ばれ、時にそれは神の欠片とも呼ばれる。
その全ては等しく嘘っぱちで、これは魔法でも奇跡でもなく、ただの無様な敗北だ。
現実というゲームの中では、どう足掻いたって勝てないから。だからその盤上に風穴を開けてやろうという、負け惜しみのような
結果として、今や世界の盤には巨大な亀裂が走り、崩れ去る寸前にまで追い込まれている。
だからこそ――
「オルターエゴに対抗できるのは、オルターエゴだけ」
敵がそれを扱うこともまた、当たり前の話だった。
「カムパネルラは、ガチガチの戦闘タイプだろ。それが負けるような相手に私が単騎で出ても、どうしようもないだろうね」
「ま、持って五秒だね」
それも、あの『月』の攻撃が即座には放てないものであるはずだと想定しての楽観論だ。
ぼくは頭上に目をやる。
「敵は、どんなだった?」
「熱線を弾く装甲持ちの、生きた大型戦闘機が二機。認識から逃れるステルス持ちの、格闘専門の小型機が二機。そして――」
その遥か頭上の、月。
青白く、輝く。月のように見えていたそれがこそ、五体目の守護者だった。
思い返す。打ち下された裁きの雷。その向こうに見えた敵の姿を。
異様なほどの、巨大な単眼。名付けるのなら、
「月と見紛う、ねぇ……君、間抜けすぎじゃないか? 赤い空に、月が浮かぶわけがないだろう」
「全くもって、その通り。ぼくが白痴である、という有力仮説を否定するなら、おそらくそれも、ジャミングだろうね」
小型機の能力は、ぼくが雲に突入した時点で始まっていたのだろう。あれが最も厄介だ。カムパネルラとの心中で死んでくれていれば良いのだが、離脱のタイミング的に、おそらくまだ生きている。
「キュクロプスの攻撃は雷速?」
「おそらく」
オルターエゴの能力は、物理法則に当てはまらない。そうであることこそが、その存在意義だからだ。ぼくのカムパネルラの熱線にしたって、形而下のレーザー光とはまるで異なる。
だが一方で、オルターエゴの力はイメージの力でもある。その能力が、雷のイメージを原型として強く持つのならば、その性質もまた限りなく雷に近づく。
「まともに戦うには、最低でも時速七十万キロ以上からか」
ステップトリーダーならばそうだけれど、あのキュクロプスが正確に雷のメカニズムを再現しているとは限らない。最悪の場合、発生時点で時速三億キロを超える大規模電撃である可能性だって考えなくてはならないだろう。
「そこまで強力な能力なら、雲越しでも私たちを殺せるんじゃない?」
「知覚能力と出力は別なのかもしれない。いずれにせよ、机上の空論には限界があるよ」
対応不能である場合、は考える意味がない。そうだったなら、死ぬだけだ。そうでない場合を想定して、勝ちを拾いに行くこと。それだけが残された最後の道筋なのだから。
「カムパネルラの回復までは、どれくらいかかりそう?」
「このままなら、三、四時間程度」
言えば、彼女は顎に手を当てる。
「私が繕えば?」
「……変わらないよ」
「嘘だね」
ああ嘘だ。
けれど、考えてもみてほしい。オルターエゴは、己の鏡像。それを他者の手によって撫で上げられ、あまつさえ繕われる不快感を。
「でも、死ぬよりマシだろ」
「……そうだね」
ぼくは諦めて、ため息をついた。
「君が手伝ってくれれば、二十分もかからない」
もとより、カムパネルラはひどく好戦的なオルターエゴだ。その回復能力は高い。特にそれが、殺戮を目前としてならば。
「おいで」
虚空から、骸の胎児が現れる。その体はひどく焼けただれ、またひび割れていた。
「ふぅん、なかなかそそる傷だ」
「変質者め」
吐き捨てると、彼女は笑顔になった。イカれたサディストにして、狂ったマゾヒスト。そんな醜悪な様だから、世界から拒絶されるのだ。
「それじゃあ、オペと行こうか」
彼女の背後。虚空に揺蕩う、波紋。その内側から、玉虫色に輝く半透明の蜘蛛が現れる。まるでシャボン玉を蜘蛛の形に整形したようなそれがこそ、彼女の
人の体よりも遥かに巨大なその蜘蛛は、三節に分かれる不気味な足を持ち上げて、その爪先から見えざる糸を伸ばす。
その先端が、カムパネルラの傷口に触れた。
「痛くするよ」
ぐちゅり。
魂の傷口。その内側をメチャクチャに掻き乱される、想像を絶する苦痛。これが治療行為であるなど、到底信じられない。
けれど、しかし――
痛むたびに、カムパネルラの形が巻き戻る。
愚か者の偶像。痛みこそ、生きる証。それが彼女の哲学で、それが彼女の破綻だった。痛むことこそ生きること。逆説的に言えば、痛みなくして、生きているとは思えない。そんなだから、彼女は生まれてきたことそのものが間違いだった。ぼくと全く同じように。
カムパネルラが苦痛に揺れる。それがぼくの精神にも同じように響いて、ひどく不愉快だった。彼とのつながりを、強く感じる。本性を暴かれるような、痛みより遥かに下劣で、深々とした苦しみ。何もかもが厭になる。
地獄のような時間は、想像するよりも遥かに長く続いた。歯医者の待ち時間と同じことだ。破壊の音色と、痛みの電気信号は、等しく時間を引き延ばす力を持っている。
「――終わったよ」
喜悦の声。名残り惜しむような。蜘蛛は糸をぷつりと断った。残されたのは、繕い痕の残る、糸の切れた人形。醜く傷跡を残し、けれどだからこそ、それは生きている。
「痛みが続く内は、
つまりそれは、取り繕う力であって、癒す力ではないということ。形は同じでも、歪みは蓄積する。それはいつか致命的な破綻を生み、つまりそれが、生命の末期を暗示している。
全く気味の悪い、自然の摂理だ。
「羽ばたけそう?」
「幸いにして」
あるいは禍いにして。
殺戮への期待が、力を生む。痛みが、その在り方を鋭敏に浮き彫りにする。
何もかも、壊れてしまえばいい。
それが、始まりの罪だった。
ぼくたちは世界に牙を剥く。
「いけるよ」
言えば、彼女が手を振った。
「いってらっしゃい。蜘蛛の糸は、もう期待しないでくれよ」
もとより、一度限りの裏技だ。そんなものを頼りにしている時点で、自殺も同然。ぼくは頷いて、再び、浮き上がる。
「――
睨む先は、雲の向こう。それは美しく輝き、だからこそ憎らしい。
殺してやりたい、と強く思った。
それだけが、全てだった。
5
雲の内側は、怪物の体内のようだった。
まとわりつく水滴が、命の欠片のようで、吐き気がする。
その肉を引き裂きながら、僕は飛行を続けていた。
ここまで来れば、もうわかる。キュクロプスの目は、文字通りの瞳だ。
あれの索敵は視覚――つまり映像で、雲の中までは見通せない。
だからこの雲の中にいる限り、向こうは手出しをできない――の、だけれど。
「それはこちらも同じこと、だ」
千日手ですらない、盤面の硬直。
あるいは持久戦という手もないではないけれど、その場合不利なのは僕たちだ。こちらが増援を断たれているのに対し、向こうはそうとは限らない。雲の中を見通せるような
だから、ぼくは打って出る。
雲の背より生まれ、地上へ。
パリリ、と瞬くような感覚。ステップトリーダー。ああ、よかった。これは本物の雷じゃない。ならば、やりようはいくらでもある。
ぼくはすぐさま再び雲の中に潜った。そして――
光。
瞬くそれが、雲を貫いて全てを焼き焦がす。その場所に、すでにぼくらはいない。だというのにも関わらず、肝が冷える。全く、冗談のような火力だ。
「カムパネルラ」
呼びかける。そう、これには何の意味もない。けれど、意味のあることなんて、いったいこの世に幾つある? 全ては無意味で、無価値だ。だからこそ。だからこそぼくは。
こんな世界が、大嫌いだ。
――どぷり、と。魂が沈み込むような感覚。この力を、ぼくはまだ制御できていない。きっとこれがこそ、カムパネルラの真の力。ぼくはまだその一端を借り受けているに過ぎないのだ。それはつまり、ぼく自身が、彼の枷でしかないという意味。カムパネルラ。哀れな生まれ損ない。ぼくなんかの元に生まれついたせいで、こんなにも見窄らしい姿に成り果てて。けれど、生まれは選べない。誰しも。だからこそ。
ぼくは雲を飛び出した。
肌が痺れるような予兆。来る。予感は一瞬。それで良い。それこそが狙い。先の放電。瞬いたのは一瞬だった。きっと、それで全てが十分なのだ。全てを焼き尽くすのに、それはあまりにも力が強過ぎて、きっとその源泉には、許しがたい怒りがあるのだろう。焼け付くような、燃え尽きるような、目も眩むような、怒りが。
「カムパネルラ」
呼びかけは一瞬。大丈夫。集中は、雲の中で十分にし尽くした。だから、今度こそ、それは間に合うのだ。
光が振り落ちる。けれど、恐れることはない。だって、ほら。
そんな現実は、嘘っぱちだ。
ぼくは世界から消え失せる。
すう、と。何の抵抗もなく、何の干渉もなく、光をすり抜けて、ぼくらは羽ばたく。
目指すは月。放った光が、眼下の雲を焼き尽くした。雲を。雲だけを。その目に映るのは一面の虚空。ぼくの姿は――きっとどこにもありはしない。
現実からの剥離。それこそが、ぼくのオルターエゴの真骨頂。
それが叶うのはわずか数秒にも満たず、それに至るにはその何倍もの時間がかかる。極めて使い勝手の悪い能力で、けれど嵌れば――この通り。
月は、もう目前だった。
「カムパネルラ」
鱗が瞬く。それは銀河の光。悲しみくれる終わりの煌めき。愛と、別れ。いくばくかの寂寞。涙は流れず、だから代わりに、血の雨が降り注ぐ。
音のない悲鳴が響いていた。
引き裂かれた巨大な眼球が、滂沱と血涙を流し、堕ちてゆく。
遠く、向こうで、きっとまた、一人の人間が死んだ。
ぼくはそれに、もう何も思えない。思う権利など存在しない。ただ、思う。もう、こんなことはやめにしてしまえば良いのに、と。
滅びに抗うことに、何の意味がある?
同じことじゃないか。存在に抗うことに意味はないと、そう告げてきた君たちと、ぼくは同じことをしているだけだ。なぜ今になって、全てを覆そうとするのか。馬鹿馬鹿しい。心の底から――くだらない。
血反吐を浴びながら、思う。
ああ、ほらまた。
現れる、復讐の獣ども。
二機のグリフォンが、真正面から突貫してくる。血の雨を裂いて、赤く染まる。復讐はいつだって空と同じ色をしている。
だからぼくは、それに真正面から打ち合う――ことはしない。代わりに――全身から、熱線を放つ。
ジュウ、と。焼け焦げる不快な匂い。
近づいていた小型のステルス機が、その機能を失って、死骸を晒しながら堕ちていく。そのやり口はもう見たのだ。一度目で仕留められなかった時点で、彼らに勝ち目はなかった。だから、おとなしく引けば良かったのに。ああ。
ぼくはグリフォンたちの猛攻を潜り抜ける。精彩を掻いた動きは仲間を失った焦りか、怒りか、悲しみか。それであっても、もう意味はない。永遠に、知る機会など失せるのだから。
「カムパネルラ」
水棲の怪物が、その顎門を開く。
ミサイルと機銃の掃射が襲いくるけど、構うものか。全快したタフネスに任せて、二体のうちの片割れに喰らいつく。瞬間――弾幕が弱まる。絡みつくカムパネルラの体を狙えば、僚機をも撃ち抜きかねない。その躊躇が、引き金から手を引かせたのだろう。愚かなことだ。ぼくならば、そんなヘマはしない、たとえそこにいるのが誰だろうとも――目的のためなら、打ち抜ける。
撃ち殺せる。
その強さが――その破綻が、きっと
出鱈目に暴れ、ぼくを引き剥がそうと機銃やミサイルを狙いもなく撃ち放すグリフォンを抱えたまま、ぼくは熱線を放つ。
体に穴が空き、血が流れるけれど――それまで。そんなものは、欠落のうちにも入らない。そうだろう?
問いかける先。カムパネルラは答えない。ただ光を解き放ち――それが僚機を救おうと試みていたもう一人のグリフォンのラミネートを剥がしていく。
機銃やミサイルで相殺しているようだけれど、それも長くは続かなかった。哀れだ。彼の正解は、味方を捨てて雲に潜ること。その選択を取れなかった優しさが、死体を二つに増やしてしまう。
一層強く暴れる抱え込んだグリフォンを噛み締めながら、熱線を放ち続ける。ぼくの方も、長くは持たない、だから根比べで、けれどそれにはこちらに分があった。癪な話だが、メディックの差は埋め難いアドバンテージだ。
やがて、グリフォンの一機は堕ちていく。全身に穴を開けて、焼け焦げた痕を晒しながら。そして同時に――もう一機も生き絶える。噛み締めた牙が首を断ち、その頭蓋を潰し切った。
きっと二人で死ねたのは、幸福なことだったはず。ぼくは朽ちた残骸を手放して、羽ばたいた。
「コール。カムパネルラからアレクサンドロスへ」
「――こちらアレクサンドロス。守備はどうだい、カムパネルラ」
「全て終わった。
「グッドニュース。素晴らしい。ハットトリックどころかクインティプルとはね。空軍なら一戦でエース認定だ。お祝いにワインはいかが?」
「いらないよ」
酒で酔えるような心じゃない。
今は煙草が吸いたかった。
あの煩わしい煙だけが、ただ一つ、ひどく恋しかった。
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