第4話  あの時彼女は何を見た①






「うー緊張する―」




新学期の朝、私こと朝比奈柚(あさひなゆず)は大きくため息をついた。




「大丈夫だよ私たちならうまくやれる」




私の親友であり双子の妹の朝比奈柊(あさひなしゅう)が私にそう言う。




「そうかな…」




私が苦い顔をしながら答える。




なぜ私がこんなに緊張しているのかというと私たちは転校してきたのだ。




しかも今日が初登校日。




満開の桜も緊張のせいでほぼ見えない。




一か月前からこの町に来たとはいえ慣れないものだ。




「今度こそ学校生活楽しく過ごそうね」




私は妹と目を合わせて言う。




「…うん」




妹は少し控えめに答えた。





そう、もうあんなことは起きないように





確かあれは一年前。








――――――








「「行ってきます」」




私たちはお母さんにそう言って家を出た。




今日からついに夢の高校生。




外ではどこかいつもと違う空気が漂う。




私たちはその空気をたっぷりと吸いながら歩き出す。




「ねえねえ!柊!今日から高校生が始まるんだよ!」




私が元気よく柊にそう言う。すると柊も




「うん!すっごい楽しみ!」




と元気よく答える。




私たちは新しい制服を着てテンションが上がったのかうきうきと登校していた。




「絶対楽しい高校生活にしようね!」




「うん!!」




ああどうなるのかな…私の高校生活!!
















私たちが学校について教室に入ると皆でもうすでに喋っていた。




今日は入学式で、その前にいったんクラスで集まるらしい。




私と柊は何と一緒のクラス。




がラララ




私たちが入った瞬間クラスは私たちにくぎ付けになった。




クラス中が「めっちゃ可愛くね?」「超美人…!!」といった感じで私たちを見てくる。




私はわかっていた。




私は昔から人よりもだいぶきれいな顔立ちをしているということを




おそらく柊も同じだろう。




私たちはどこか恵まれた人間で人から好かれやすい。




そう考えて生きてきた。




私たちは席に着くと早速いろんな人たちから話しかけられる。




私たちは面白くない話でも「あはは」とやり過ごす。




デリカシーのないようなことを言われても怒らない。




これでいい。自分を押し殺して生きるんだ。




周りはだれも傷つかないし私たちもいい友好関係を築けてまさに一石二鳥。




しばらくみんなで談笑をしていると




がラララ




「はーい席に着けー」




先生が入ってきて皆はさっと席に戻った。

















「はー疲れたねー」




私たちは入学式が終わって二人で歩いていた。




「うん、疲れた」




柊も同じように疲れている。




結局入学式が終わった後に早速皆でカラオケに行くことになり、




本当は行きたくなかったが空気を読んで行ってきたのだ。




私たちはもともと皆でカラオケに行ったりということはあまり得意ではない。




でも中学の頃からずっと誘いには断れなかった。




「はぁ」




私は大きくため息をついた。




なんか楽しいことないかなと思った私は




「そうだ!柊、コンビニでアイス食べてかない?」




と柊に提案すると




「大賛成」




と言われたので二人でアイスを買いに行った。




やっぱり疲れた後は甘いものが一番。




私たちはそれぞれアイスを買ってコンビニを出る。




私は一口目を食べて言う。




「ていうかもう高校生か…」




「そうだね」




「なんかちょっと前までの受験勉強が遠くのこと見たいだよー」




「ってちゃんと勉強しないとだめだよ」




「もう、柊は真面目なんだから…」




私はぷくぅとほっぺたを膨らませる。




「まだ始まったばっかだしいいじゃん勉強は」




「もう、柚ってば…」




今度は柊もほっぺたを膨らませる。




私たちはお互いの顔を見て「ぷっ」と吹き出す。




「あはは、柊ってば変な顔!」




「いやいや、柚だって!」




私たちはその後もたくさん笑いながら家へと向かった。
















「ふう…」




私は電気を消してベットにどさっと倒れこむ。




お風呂から上がったばかりなのでまだ体がぽかぽかとする。




「…」




「高校生活うまくやれそうかも」




私は口角を上げて言う。




明日は何が起きるかな…




私は明日を楽しみにしながら眠りについた。









私たちは知らなかった。数か月後、あんなことが起きるなんて

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