この世界はループしている

@number4110

この世界はループしている(4週目)

 突然だが、この世界はループしている。ある日起きたら1年前の風景に戻っていたのだから、俺はそう解釈した。


 そして今はもう3度同じ日に戻っている。


 俺は転生者だ。なので俺がなにかの行動を間違えているのかもしれない…と最初は考えた。しかし、ループ1週目に前回と全く同じ行動をして過ごしたのにも関わらず、次のループした日にちが変わったので俺の行動はループに関係ないことがわかった。


 だから俺はこう考えた。この世界の主人公辺りがループする系の能力を持っているのだろう…と。しかし関係のない俺を巻き込むのは止めてほしい。


 ループをしたら、俺以外基本的に記憶が残っていない。言ってしまえば完璧にリセットされている。…ある1人を除いて。


 俺は小さな村で産まれた。同じ年に産まれた他の子供達4人といつも仲良く遊んでいる…つもりだ。そして、その中の1人がどう見ても記憶を残した状態でループしていることがわかっている。


 その子供達を1人づつ紹介しよう。


 まず1人目。トランプ。性別は男。仲間想いのとても良い奴だ。俺が転生したってことに調子乗って、赤ちゃん~子供時代に色々やらかしたけれど友達でいてくれている奴。


 2人目。フラン。性別は女。ってか俺とトランプ以外は女だ。皆のお姉さん役を務めている。トランプに特別好かれている。そしてフランもトランプのことは特別な目で見ているが、両者それに気づいていない。


 3人目。ミルク。怯えがちで声が小さく、フランによくくっついている。俺と目があったら直ぐに逸らす子。多分親に俺のこと言われてんだろうな…。


 そして問題の4人目。アル。基本的に無表情。そして俺と同様にループしている。俺はループ2週目の時、トランプ達に「俺は日常を繰り返した」と少しふざけて言った。その時に露骨に反応したのがアルだ。


 その後2人きりの時を狙って俺に話し掛けてきた。「私はループして困っている。あなたのせいならなんとかして」と。それに対し「俺も困っている。俺にはなんも出来ない。諦めてくれ」と返したのを覚えている。その時のアルの顔がループ前含めて一番表情を出していたのではないだろうか。




 そんなこんなで、またこの季節にやってきた。最初のループは冬の初めに起きた。だが、3度目のループは冬の終わりに起きた。つまりだ、この季節を越える日も近いということになる。


 ちなみに、冬を越えて春になったら俺は学生だ。そして何故かアルも俺と同じ学校の生徒になるらしい。最初のループじゃ俺以外の子共達は村に残ってたはずなんだが…どうやらループ中に気が変わったらしい。


 俺はアルの親には警戒されていないので「娘をよろしくお願いね?」と言われた。俺みたいな馬鹿やった奴に大事な娘を任せるなよ。


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