10
パチンっ!と目の前で手を叩くリナ。
「ちょっとー!なに見つめあってんの!
じ!ゆ!う!こ!う!ど!う!」
なんの時間だったのか。
不思議な空気を誤魔化すかように
リナの声が飛んできた。
ハッとして、慌てて目を逸らす。
「おれ、バスケ部。」
「だろうね。昼は?一緒にたべる?」
「おう、」
「あ、そうだ!八木さんとこいこーよ!」
「八木さんってだれ、」
「蓮のバイト先の先輩。イケメン。」
「ふーん……」
「なに?嫌なの?」
「べつに……」
「なんかあんなら言いなよ」
「なんもねーって、」
「じゃあその顔やめて」
「どの顔だよ」
「その"イラついてます"みたいな顔!」
リナの勢いに圧倒され、
ボソっと言葉を返す松田、
二人を見ているのが、けっこう好きだ。
おしゃべりで、裏表がなくて、
思ったことをすぐに口にするリナと
言葉数は少ないが、
なんだかんだ話に付き合う松田。
正反対な二人、
全然似ていないのに不思議としっくりくる。
私が入ると少しリズムが崩れる気がして、
ちょっと距離を置いて見ていたくなる。
だけど、ふとした拍子にその輪の中に入れてくれるリナと、話が終わるまでそっと見守っていてくれる松田。
なんでもないやりとりなのに、
この空気感が、心地いい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます