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ホームルームが終わると、

真っ先に駆け寄ってくるリナ。






「ねえ!自由行動どうする?!」






しっぽが見えた。



10年ぶりに飼い主と再会した犬。


あるいは、

生き別れの母親と再会した犬。






リナがキャッキャしているそばで、

いまだ寝息を立てている松田。




日程表をのぞいてみると、

午前中は美術館を巡り、午後のオーケストラ鑑賞までは自由時間、と書いてある。




なんていい響きだろう。








「んー、松田は?」



「………」







「おいっ!」とリナが背中を叩くと、むくっと起き上がり、ぼやけた目でこちらを向いた。








「………」



「……、、」








じっとこちらを見つめる松田、


身長が180センチあると言っていた。




そんなに寝ていたら卒業までに

どれだけ大きくなるのだろう。



蒔田の言葉には同感である。




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