じっくりと読ませる作者の【十ノ物語】
シリーズ待望の第三弾!
どれも十話掌編の話ではあるのだが、
特筆すべきは、その 物語性 にある。
まるで昔から口伝にて語り継がれる、
土地特有の民話の様な、身近な誰かから
聞いた不思議な話の様な、古い世の神話の
様な、そして、ネットに乗って流れる
現代の怪談の様な。
作者の筆は、丁寧に物語を紡いで行く。
そこに見えるのは文字の羅列か、或いは
異界への 入り口 なのか。
今回の第三弾、最初の話は 蛇 に
纏わる民話の様な物語。けれどもそこに
時代の流れとともに変わって行く
自然の風景、人々の営みや認識を
見た時に。
何か又別の 物語 が
見えてくるのだ。その手際の巧妙さに
思わず唸らされる。
蛇は 結局、どうなったのか。
その帰着を、私達はもう既に知っている。
否、識っている筈なのに。
不思議な話に、迅る心を宥めながら読む。
とても贅沢な物語の数々を、是非とも
お手に取り、体験される事を。