第27話 命懸けの稽古

神宮寺くんと対決してから1週間が経ったある日。私達はそれぞれ進捗を見せあっていた。

碧「まずは私からね。新しい妖怪を憑依出来るようになったから見てよ!」

咲「おお、すごいじゃん!」

知鶴「それは気になるわね。」

碧「じゃあいくよ。憑依、かまいたち。」

そう言うと碧の周りに風が発生して碧を覆った。風が消えると、碧は丸い耳を生やし、服も忍者のようになっていた。

穂乃香「これは、私が戦った椎名さんに似てますね。」

碧「これだけじゃないよ!」

そう言った瞬間、碧の手に鉤爪が装着された。

雫「かまいたち要素もしっかりあるんですね。」

碧「憑依出来る妖怪の中でもトップクラスのスピードを出せるのよ。」

咲「どんどん戦術が広がるね。」

碧「うん!まぁ次の妖怪が不安なんだけどね。」

穂乃香「どんな妖怪なんです?」

碧「妖怪の総大将、ぬらりひょんだよ。」

その言葉を聞いて私達は驚いた。

知鶴「ぬらりひょんって、相当強いって言われてる妖怪じゃない。というか、5種類目がぬらりひょんって、その後の妖怪どんだけ強いのよ。」

碧「詳しくは私もよく分からないんだけど、ぬらりひょんを憑依できるかできないかは今後に影響するんだって。」

咲「なんか大変なんだね。」

雫「じゃあ次は私ですね。新しいシールドを手に入れました!」

そう言って雫ちゃんは1つのシールドを展開した。

雫「知鶴ちゃん。ちょっとここに向かって魔法を放ってよ。」

知鶴「?まあいいけど。」

そう言って知鶴は炎の玉を放った。

雫「リフレクト。」

雫ちゃんがそう言うと、何とその攻撃が跳ね返ったのだ。

知鶴「おっと!」

知鶴はなんとか躱す事が出来た。

雫「これが新しいシールドのです。相手の遠距離攻撃を跳ね返せます。」

穂乃香「これはなかなか厄介になりそうですね。」

知鶴「遠距離は跳ね返されて、近距離はシールドで守られる。私との相性最悪じゃない。」

雫「あはは。別にそんなつもりじゃないんだけどな。」

穂乃香「次は私ですね。と言っても、私は暗殺者の能力の魔力消費を減らしただけなので、変化としては弱いですが。」

碧「穂乃香の能力は元から完成されていた感あるしね。」

知鶴「次は私ね。これを見てちょうだい!」

すると知鶴は魔法陣を展開し、そこから杖が出てきた。

咲「おお、すごいなんか魔法使いみたい!」

碧「うんうん、ほんとにそんな感じがする!」

知鶴「元から魔法使いよ。」

雫「それで、その杖にはどんな性能があるの?」

知鶴「単純に魔法の性能が向上するわ。使えば使うほど向上する割合が大きくなって、最終的には5倍くらいになるって。」

穂乃香「それはなかなかですね。ちなみに、今はどれ位なのでしょう。」

知鶴「だいたい1.5倍くらいだと思うわ。」

碧「じゃあ最後は咲!」

咲「よし来た。見てなよ。」

そこで私は能力を発動し、持っていた血液パックを取り出す。

咲「まだ苦手だけど。」

私はそれを飲み始める。

碧「ええ!?大丈夫なのそれ。」

知鶴「まあ吸血鬼だからそういうのもあるでしょうけど。」

咲「よし、準備出来たね。」

私は試しに、近くにあった大木へ血液を放った。

咲「えい!」

その攻撃により、大木は音を立てて倒れた。

穂乃香「これは、相当な威力ですね。」

雫「たった1発で大木が倒れるなんて。」

咲「まあ、これが持つのは5分くらいなんだけどね。これ以上やるとまた暴走しちゃうし。」

ちなみにこれは実際に検証したのではなく、ベルザがそう言ってたからそのまま伝えてるだけである。

ベルザ「さも自分が見つけたように言うんですね。」

咲「ま、まぁいいじゃん?」

雫「皆さんいい感じに仕上がってきてますね。」

碧「そうだね。この調子で何とか頑張ろー!」

全員「おー!」







湊「はぁぁぁぁ。疲れた。」

誠一郎「そんなにか?」

湊「それはお前の体力が異常なだけだ。」

隼司「俺も言うほどだな。」

湊「......化け物共め。」

それは僕らが特訓を終えて帰宅中に起きたことだ。

隼司「そういや今日神宮寺は?」

誠一郎「なんか忙しそうだったから誘わないでおいた。」

湊「まぁあいつ、一応学級委員だしな。」

誠一郎「てか、この高校の学級委員って何すんだろ?」

隼司「さぁ?」

そんな会話をしている時、

魔物「ウガァァァァ。」

目の前に魔物の大群が現れた。

湊「おいおい。疲れてるんだから勘弁して欲しいね。」

隼司「なら休んでていいぞ。俺らがやる」

誠一郎「特訓の成果、見せますか!」

そう言って2人は魔物へ突っ込んでいき、次々と片付けていった。だが、一体だけ様子がおかしい奴がいた。

魔物「ガァァァァ!」

誠一郎「おいおい、なんででかくなったの。」

隼司「めんどくさくなったなぁ。」

魔物が2人へ襲いかかると思ったその時、

魔物「が、ぐ.......」

突如魔物の動きが悪くなった。

誠一郎「今だ!」

そう言って誠一郎が魔物へ爪の連撃をくらわせた。

魔物「ガァァァ!」

魔物は前に倒れ、少しずつ崩壊していった。

湊「...なぁ、見てみろよ。」

崩壊前の魔物を見て、俺はあることに気づく。

湊「この魔物、背中に切り傷がある。」

隼司「ほんとだな。いつ斬られたんだろう。」

誠一郎「さっきの戦いで魔物の後ろに誰かがいる気配はなかったぞ。」

湊「うーん。(何か引っかかるんだよなぁ。)」

誠一郎「まぁなんでもいいだろ。早く帰ろうぜ。」

隼司「そうだな。」

湊「お、おい。ちょっと待てよ。」



?「Aランク魔物をこうも簡単に。だいぶ成長しているみたいだね。これはあいつらの期待にも答えられそうだ。」




私達は四神との稽古までに特訓をし続けた。全ては強くならないため。それと、死なないため。そんな風に一日一日を大事に過ごし、いよいよ稽古日当日となった。

咲「あばばばばばばばばばば」

ベルザ「久しぶりに見た気がします。」

碧「また緊張してるよ。全く。」

雫「あわわわわ。」

知鶴「あなたもなの!?」

穂乃香「雫様、リラックスです。」

湊「もう簡単には負けないぞ。」

誠一郎「覚悟きめるかぁ!」

隼司「どこまでやれるかな。」

神宮寺「全力でやるか。」

そんな風に待っていると、突然目の前に扉が現れた。それぞれ、赤、黄、青、緑だった。

源「来たか。」

その扉が開くと同時、中から出てきたのは水葉さんと同等のオーラを放つ人たちだった。

?「よぉ!君達が水葉の言ってた生徒達か!仲良くしてね!」

?「みんな強そうだね。教えがいがありそう。」

水葉「私は初めましてじゃないよね。お久しぶりー。」

?「水葉、私達の自己紹介まだ。」

水葉「おっと、そうだったね。じゃあ赤い人から!」

?「赤い人言うな!私は四神が1人、炎神の暁燐(あかつきりん)。よろしくな。」

?「同じく、四神が1人、雷神の如月雷斗(きらさぎらいと)。よろしくね。」

?「お、同じく、四神が1人、風神の藍葉風露(あいばふうろ)です。」

水葉「さて、自己紹介も終わったし早速稽古のやり方について説明しようか。」

そう言って水葉さんの説明が始まった。

水葉「まず、今からみんなには2人組になってもらうよ。そして、私達がそのペアの中から1ペアずつ選んでいって、選ばれたペアはその四神と稽古するって感じ。1人ずつやるから、他の神とペアは待機しててね。」

咲「(2人組かぁ。)」

そして私達はペアを組んだ。


碧「頑張ろ!穂乃香!」

穂乃香「ええ、できる限りのことをするまでです。」

碧&穂乃香ペア


誠一郎「よし、行くぞ隼司!」

隼司「おうよ!」

誠一郎&隼司ペア


雫「知鶴ちゃん、よろしくね。」

知鶴「ええ、目にもの見せてやるわ!」

雫&知鶴ペア


神宮寺「先生も出るんですね。」

源「まぁな。」

神宮寺&源ペア


湊「やるぞ、咲」

咲「うん、頑張る!」

湊&咲ペア


水葉「よし!じゃあ私達も決めようか!」

燐「私は誠一郎くんと隼司くんのペアににするぜ!」

雷斗「僕は神宮寺くんと源さんペアで」

水葉「風露はどうする?」

風露「わ、私は....知鶴さんと雫さんで。」

水葉「OK!私は碧ちゃんと穂乃香ちゃんペアね。じゃあ早速始めよう!」

咲「いや私達は!?」

思わずそんなツッコミを言う。

水葉「2人は全員が終わってから私達でジャンケンするからちょっとまってて。」

湊「は、はぁ。わかりました。」

ちなみに戦闘場所は体育館である。四神の姿を見せないためらしい。源先生が国からの命令だと言っていた

燐「よし!まず私からだな!」

水葉「いやいや、主催者の私が先だよ。」

雷斗「僕が先がいいなぁ。」

風露「私も、先がいい。」

四神が言い争いを初めてしまった。

咲「(この人たち仲良いなぁ。)」

~30分後~

水葉「はぁはぁ、じ、じゃあ順番確認だけど、燐、私、風露、雷斗でいい?」

燐「よし!ジャンケン運があって良かったぜ!」

雷斗「ま、負けた...」

風露「それでいいよ。(皆待ってるし。)」

水菜「OK!じゃあ始めようか!」

こうして、四神との稽古が始まった。

誠一郎「まずは俺らだな。行くぞ、隼司」

隼司「ああ!」

咲「2人とも頑張れー。」

碧「ファイトー。」

湊「骨は拾うからなー。」

誠一郎・隼司「殺すなよ!」

燐「いいね!元気があって。私も楽しめそうだ!」

ここで私達は四神の実力を思い知ることになるのだった。

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