第14話 吸血鬼化

私は気がつくと、私の心の中にいた。

ベルザ「しかし、驚きました。まさか羽を生やすとは。」

咲「私にも何が何だか。どうなってるの?」

ベルザ「恐らく、あなたが強い自分でありたいと思ったからでしょう。能力者自身に何があっても譲れないほど強い信念があると、体は能力の全てを出そうとします。ですか、まだ経験値不足なのか、羽を生やすところで止まってしまったといった感じです。」

咲「そんなことが有り得るの?」

ベルザ「分かりません。私の憶測の域を出ないので。」

咲「そっか。」

きっと、私がもう一度羽を生やそうとしても、簡単には出来ないだろう。

ベルザ「現状は、能力の半分を出したと言った所でしょうか。名付けて、半吸血鬼化ですね。」

咲「まんまじゃん!」

分かりやすいが、いいのか?それで

ベルザ「おっと、そろそろ意識が戻る頃合ですね。」

咲「え?」

その瞬間、私はまた何かに引き込まれるように視界が暗くなった。

咲「う、うーん。」

目が覚めると私は病院のベットにいた。

冬季「お、目が覚めたか?」

隣では冬季が付き添ってくれていた。

咲「碧は、他のみんなは?」

碧「私はここよ」

横を見ると同じくベットに横たわっていた碧がいた。

冬季「碧は憑依による負担が溜まりに溜まって倒れたんだ。身体に問題は無い。

お前はシンプルに傷が多いからな。特に、そのロキにつけられた傷とか深くて、危ない時もあったんだぞ?」

咲「そうだったんだ。あ、先生は?」

冬季「先生も同じようなもんだよ。ただ、雫ちゃんの回復があったとはいえ、傷は深く、多い。少しの間は入院だろうな。」

咲「そう。」

コンコン。

その時、病室をノックする音が聞こえた。

冬季「はーい。」

冬季が扉を開けると、そこには松葉杖を使って来た先生がいた。

源「お前ら、大丈夫か?」

碧「それは先生の方ですよ。」

源「俺は心配いらんさ。しかし、ここまでやられるとは思ってなかったがな。」

冬季「まぁそう落ち込まないでください。」

咲「ところで、結局あいつらなんだったんですか?」

源「それがなにも掴めてないんだ。知ってるのはロキとヴリトラという名前と、ある組織の幹部ということだけ。それも、本人達が言った情報だから嘘かほんとかもわからん。」

冬季「そういえばあいつら自分達は魔人だって言ってました。」

源「魔人だと?なのにあの強さ...より危険度がましたな。」

咲「どういうことです?」

源「俺のバトラーとしてのランクはAだ。これは普通の魔人ならタイマンで倒せるレベルなんだ。だが、俺はあいつと戦いわかった。悔しいが、何をしても勝てそうにない。」

冬季「恐らく、あいつらは魔人の中でも最上種なのでしょうね。俺も、ロキには終始遊ばれていた気がします。能力も未知数ですし、本気だったらどうなってたか。」

実際に戦ったこの二人がここまで言うなんて。

咲「(...今のままじゃ駄目だ。早く吸血鬼化を使いこなさないと。)」

雫「咲さん、碧さーん!」

知鶴「思ったより元気そうね。」

穂乃果「お邪魔します。」

そんな会話をしてたら、3人がお見舞いに来てくれた。

雫「よかったです。どうなるかと思いました。」

咲「心配かけたみたいでごめん。にしても、知鶴さんまで来るとは思わなかったな。」

知鶴「あんなことがあったら心配にもなるわよ。それにあなたの怪我には私との戦闘でできたものもあるし。」

案外、優しい人なんだな。

知鶴「....この前のあなた達を見下した発言、撤回するわ。あなた達は強かったわよ。」

知鶴さんは申し訳なさそうでどこか悔しそうにそう言った。

知鶴「でも、次は負けないわ。覚悟しておきなさい!」

咲「望むところです!」

碧「次はそのスピードに追いついて見せるよ!」

穂乃果「私も、次は一撃で仕留めます。」

冬季「いいなぁ。俺もやりたい。エキシビションで誰か俺とやらない?」

咲・知鶴「それは無理。」

冬季「そんなー。なら、先生とやろ。」

源「おい!俺にも拒否権があると思うぞ!?」

全員「あははははは!」

こうして、私たちにまた新しい友達が出来たのでした。











その一方で、ロキとヴリトラはアジトへ戻り、廊下を歩いていた。

ロキ「はぁ、もっと遊びたかったなぁ。」

ヴリトラ「仕方なかろう。だが、あのままやり合ってれば、どうなってたかわからんぞ?」

ロキ「バカ言わないでよ。俺らが勝ってたに決まってんじゃん。」

?「あらあら、相変わらず仲がいいのね。」

そんな会話をしている時、誰かが横から声をかけた。

ヴリトラ「カーリー、いたのか。」

カーリー「ええ。にしても、ヴリトラその胸の傷。誰かにやられたの?」

ヴリトラ「ああ、少々面白いやつがいてな。」

ロキ「ほら!ヴリトラだって楽しんでんじゃん!」

ヴリトラ「ほんの一瞬だ。すぐに消えた。」

ロキ「ちぇー。」

カーリー「ほら、あの方が待ってるわよ。他のみんなも来てるから、終わったら来てね。」

ヴリトラ「ああ、わかった。」

そこから少し歩き、大きな扉の部屋の前で止まった。

ロキ「相変わらず、すごい覇気。ドア越しでも感じるよ。」

ヴリトラ「あぁ、凄まじいな。」

ヴリトラがドアを開ける。

?「戻ったか、ヴリトラ。ロキ。」

ヴリトラ「はい、ただいま戻りました。」

ロキ「ただいまです!大将。」

?「ふふふ、ロキ。お前は相変わらず元気だな。で、どうだった?」

ヴリトラ「Bクラス以下や、教員連中は全く問題ありません。ただ、Aクラスの奴らは少し厄介かと。この傷も、奴らからつけられました。」

ロキ「俺も、意外と強い剣士と会ったよ。」

?「ほう、お前らがそこまで言うとは。今年の奴らは優秀なようだな。」

ヴリトラ「どう致しましょうか。」

?「とりあえず、お前達はしばらく休んで良い。ああそうだ。この後他の"魔人7人衆"の奴らも誘って、温泉にでも行くといい。」

ロキ「やったー!ありがとうございます!」

ヴリトラ「寛大なお言葉、感謝します。」

?「何、構わんさ。そうだ。戻るついでに"べラス"を呼んできてくれ。」

ヴリトラ「かしこまりました。では、失礼します。」

ロキ「失礼しまーす。」

?「しかし、あの二人があそこまで言うとは。中々面白いじゃないか。こちらも戦力を増強しないとな。」

べラス「お呼びでしょうか。我が主。」

?「おお来たか。つい先程、ロキとヴリトラから報告を受けた。どうやら今年は豊作のようだ。」

べラス「それはそれは、楽しみ甲斐がありそうです。」

?「そうだろう?だが、あの忌まわしき奴らか動くことも考えられる。引き抜ける奴らは引き抜いておきたいのだ。頼めるか?」

べラス「お望みのままに。」

?「では、よろしく頼む。ふふふ。これからもっと盛り上がるだろうな。楽しみだ...」








あれから数週間がたった。私の傷はだいぶ良くなり、そろそろ退院出来そうだ。

咲「なんか、回復するのが早くなったような。」

ベルザ「吸血鬼化の影響でしょう。吸血鬼は

再生能力が高いのです。」

咲「へぇ。羨ましいなぁ。」

碧「やっほー咲!」

その時、碧が病室に入ってきた。碧は何日か前に既に退院していた。

碧「だいぶ元気そうね。」

咲「うん、意外と治るのが早くてね。」

碧「よかった。間に合わないんじゃないかと思ってヒヤヒヤしたよ。」

咲「ん?何かあるの?」

提出物でもあったのだろうか。

碧「あーそっか。咲は知らなかったね。そろそろ始まるんだよ。各学年でのバトルロワイヤルが!」

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