第9話 開戦 前編

碧「よし!みんな行こう!」

先生の合図が出たと同時に碧は前衛のみんなと向かっていった。

咲「行ってらっしゃーい。」

雫「無理しないでくださいねー。」





私は碧。今、対抗戦の前衛を任された。

碧「あんまり相手がいないな。」

私が進んだのは森のエリア。森だと潜入がしやすく奇襲もあり得ると思ったからだ。他のみんなより強い私は森に行くメンバーは最小限にして、中央と湖に人を送った。

碧「ん?」

その時私は違和感を覚えた。明らかに誰かいる、なのに姿は見えない。

碧「しょうがない。あんまりやりたくないんだけどな。憑依、九尾の狐」

私は九尾を憑依させ火の玉を周りの木々に当てた。火が燃え移るため、周りの奴らが出てくると思った。

Bクラス生徒「あちぃあちぃ。」

狙った通り隠れてた奴らを炙り出せた。

碧「今だ!」

私はクラスメイトと共に出てきた生徒と戦った。Bクラス生徒ということもあり、簡単には倒せなかったが、私が人数を多めに減らせたのでクラスメイトの負担が減り全員を倒すことが出来た。

碧「よし!これで全員かな。」

早く森を抜けて、相手の櫓へ向かおうとした時、

碧「え、何あれ!?」

上から水の塊が落ちて来るのが見えた。

碧「みんな、一旦離れよう!」

その瞬間私達はその場から離れようとしたが、あまり遠くには行けず、そのまま水が落ちてきてしまった。

全員「うわ〜」

その水は森の火を全て消し、辺りは水煙をあげた。

碧「参ったなぁ。これじゃあ右も左も分からないな。」

どうしたものかと考えていた時、

Cクラス生徒「ぐあぁ!」

突如クラスメイトが倒れ始めた。

他の生徒達「ぐぁ!うわぁ!」

他のみんなもやられていき、これはまずいと思った。

その時私の後から殺気を感じた。

碧「っ!あぶな!」

私は何とかその攻撃を躱した。

?「流石に躱しますか。確かに一筋縄では行かなそうですね。」

碧「あなたは?」

?「私は、如月穂乃香(きらさぎほのか)。先日、九重様から正式にBクラスナンバー2と認めて頂きました。」

Bクラスナンバー2!?強敵だな。

碧「悪いけど、私も負ける訳にはいかないの。通してくれない?」

穂乃香「それは難しい相談ですね。私の役目は相手の進行を妨害することです。貴方を通す訳には行きません。」

碧「そっか。残念ね!」

そう言いながら私は火の玉を飛ばした。

穂乃香「そんなの当たりません。」

そうして彼女は消えるように躱してしまった。そしてその瞬間、彼女の気配が完全に消えた。

碧「(なんだろう。また気配が消えた。これが彼女の能力?)」

そんなことを考えていた時、

穂乃香「最速で無力化します。」

もう穂乃香は背後にいた。

碧「やば!」

その瞬間、彼女のナイフが私に迫った。







一方その頃、後衛の2人は...

雫「大丈夫ですかね。碧さん。」

咲「大丈夫だよ。碧は強いもん。」

雫「いや、それは分かってるんですが。」

その時、前から何か向かってくるのを感じた。

咲「(この膨大な魔力。まさか!)」

その私の予感は的中した。なんと前から知鶴さんが1人で堂々と歩いて来たのだ。

知鶴「あらあら。随分なお出迎えね。」

相変わらず相手を見下すような目でこちらを見てくる。

咲「たった一人で勝てると思ってるの?」

知鶴「なんの問題もないわよ。」

そういうと知鶴は大量のエネルギー弾をこちらに放ってきた。それが何人かに当たり人数を大きく減らされた。

咲「嘘、なにこれこんな一瞬で?」

雫「咲さん!」

その瞬間、私にもエネルギー弾が向かってきていた。

雫「えい!」

何とか雫がシールドを展開し攻撃を防げたが、威力は絶大だ。

咲「雫ちゃん。私が相手をするからみんなと櫓を守って。」

雫「...はい!」

雫ちゃんは櫓の方へ向かい、倒れたみんなを回復させた。

知鶴「あなたが、私に勝てるとでも?」

咲「さあね?でも負ける気もないよ。」

知鶴「身の程知らずね!」

そう言って今度は、炎を放ってきた。

咲「あぶな!」

知鶴「よそ見してていいの?」

次は岩、その次は氷の塊と多種多様な攻撃を仕掛けてきた。

咲「何これ。まるで魔法じゃない。」

知鶴「へえ、勘がいいのね。いいわ、ご褒美に教えてあげる。」

そう言うと知鶴は自身の能力について少し教えてくれた。

知鶴「私の能力は『魔法』。その名の通り多種多様な魔法を使うことができるのよ。」

咲「へえ、すごいじゃん。」

知鶴「まだ余裕でいられるのね。」

咲「まだ勝負は始まったばかりだからね!」

そう言って私は魔力を血に変えていくつかの球状にして彼女に放った。

知鶴「それじゃダメなのよ!」

知鶴さんは今度はたくさんの水を放って、私の血を全て相殺した。

咲「(遠距離は彼女の方が有利か。となると、近距離しかないけど、どうやって近づけば...)」

知鶴「何止まってるのよ!」

そう考えていた時、知鶴がエネルギー弾を放ってきた。

咲「くっ。(考えてる暇がない。とにかく、色々試さないと。)」

知鶴「ほらほら、回避ばかりだと櫓崩されちゃうよ?」

咲「!しまった!」

エネルギー弾が櫓にあたると思った時、

雫「させない!」

雫が櫓を覆うようにシールドを展開し、櫓を守った。

知鶴「面倒ね。先にあなたから潰してあげるわ!」

そう言って、雫に照準を合わせた時、

咲「今だ!」

私は知鶴さんに近づき、接近戦を仕掛けた。

咲「喰らえ!」

私は彼女に渾身のパンチを放った。

知鶴「それくらい想定してるわよ!」

だが彼女は防御魔法を正面に展開して、私の攻撃を防いだ。

咲「な!?」

知鶴「隙を晒したわね!」

知鶴さんは私に岩を飛ばして、それが私にヒットした。

咲「ぐあ!」

私は吹き飛び、激しく地面を転がった。

咲「(ダメだ。彼女に普通は通じない。何かひと工夫入れないと。)」

でもどうしよう。近づいても防がれるし。

ん?でもさっき彼女...

咲「試してみるか。」

私はもう一度魔力を血液に変えて斬撃の形にした。そしてそれを大量に作り知鶴さんに向けて囲うように設置した。

咲「これでも喰らえ!」

知鶴「何度やっても変わらないのよ!」

知鶴さんはまた相殺させようとしたが、流石に量が多く相殺しきれなかった。

知鶴「ちっ!」

彼女はその攻撃をバックステップで何とか躱した。

咲「なるほどね。見つけたよ。あなたの能力の弱点!」

知鶴「なんですって。なら見せてみなさい。ここらどうやって勝つのか。」

咲「ええ、見せてあげるよ。ここからの大逆転を!」

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