魔法少女は厨二病!?
『始めるぞ』
「YES」
上空からの急転直下、めっちゃ怖いです。
私がジェットコースター乗れないタイプの女の子だったらこの作戦失敗してるですよ。
まぁ、何はともあれ、
突撃! です!
私ジェットコースターは勢いそのままに、町はずれのとある民家の天井をぶち破ります。
一応、ここで急ブレーキ。
とてつもない Gが私の体に襲い掛かります。こういうのは鎧じゃ防げないっていうか、寧ろ鎧がマイナスに働いてますね。
邪魔です。
ガン!
と、頭に強い衝撃が走りました。見れば、家の中にいたスーツの男が三人、私に銃口を向けています。
その内の一人の銃口からは硝煙が上がっており、先の衝撃は銃撃であった事がわかります。
っていうかこれ、鎧なかったら死んでました?
邪魔とか言ってすいません。
『ハズレだな』
残念ながらその様です。男達が身を挺して守っているのは、魔法少女ではなく、ショーケース。
中では大きなダイヤモンドが嵌められた指輪が輝いてます。というか、リングの部分にも、細かいダイヤがびっしりと集まっているんですが、あれ一体おいくら万円するんですかね。
『欲しかったら奪っても良いぞ』
魔法少女がやっちゃダメでしょう、ソレ。
私はガノンさんの忠告通り、早急に離脱します。大人との闘いは極力避けるべきでしたよね。
「ソレニシテモ、力技スギマセンカ?」
『仕方ない、オークションの商品保管場所が分かっても、何処に何があるかまでは分からなかったんだ。だから
そう言っても、もう3件目です。流石に襲撃バレてますよね。大丈夫でしょうか。
□ □ □
「オークションを中止しますか?」
「あ゙?」
暗い廊下を、炎城とパラメデスが歩いていく。向かうのは『商品』を保管している一室である。
「どうやら、他の商品が襲撃された様です。それも複数箇所」
「……学園の仕業か?」
「いえ、学園の戦力であれば、同時に全ての商品を襲撃するでしょう。おそらくは個人の仕業ですね」
「個人で三箇所……魔法少女か」
「でしょうね。ひとまず『闇市』からの連絡を待ちますか」
「……その必要は、無い様だ」
「!」
二人が辿り着いた、商品を監禁する為の重厚な扉。
その扉に、一枚の貼り紙が貼り付けられていた。
『オークションは中止しないでね! 社長』
「何を考えている? 今回のオークションは闇市にとっても失敗できないはずだろう」
「闇市の考えは、私には分かりません」
「……この扉、動かした形跡がねぇな」
「はい、動かす際に大きな音がなる仕様ですので、誰かが開ければすぐに分かると思います」
「この扉への通路は、俺達が通ってきた馬鹿みたいに長い廊下だけか?」
「はい、そうですが何か?」
「おかしいだろ」
「?」
炎城はパラメデスの察しの悪さに僅かに眉を顰める。ここまで言っても分からないのか、と。
だが本来、中学生程度の少女に察しの良さを期待する方がおかしい。
かつて、交渉に来た『同盟』の魔法少女が、あまりに異質だったせいで、目の前の魔法少女にも同じ基準を求めてしまった。
「……襲撃の情報が入ったのは、この廊下を通ってる時だっただろ、なら、これを書いた『社長』とやらとすれ違ってないとおかしいだろうが」
「! 確かに……」
「考えられるのは未来予測か隠密の類の超人か? あるいは、魔法少女の協力を得たか? いずれにしても厄介なコトだ」
超人
歴史に魔法少女が登場したのと同時期から、少しずつ数を増やしたした者達。
魔法少女と違い、『人間の延長線にある』存在。
『異様なまでに足が速い』『異常に計算ができる』『コミュニケーション能力が非常に高い』『度を越して指先が器用』
かつては数十年に一人の天才が、今では五年に一人ぐらいの頻度で生まれてくる。
この現象に対する見解は、
『魔法少女の体内に残った魔法の因子が遺伝子に刻まれ、継承された影響』という説と、
『魔法に対抗、もしくは適応する為に、人類全体が進化し始めている』という説で見解が分かれている。
炎城はこの貼り紙を貼った人物が、何らかの特異な能力を持っているとし、警戒していた。
「……まぁいい、こちらとしては中止にならないならならないで構わん。
予め決められた操作をパラメデスが行うと同時に、ゆっくりと、重厚な扉が開いていく。先ほどの言葉通り、大きな音を立てながら。
「ふっ、遅かったな」
部屋の中の、中央
シンプルな作りの牢の中で、独特なポーズをとる少女がいた。
「貴様ら、初めましてだな! 名乗らせてもらう!」
シュバ! シュバ!
と、無駄にキレのいい動きでポーズを変えながら、牢の中の少女は、偉そうに名乗った
「我が名は安藤苗! 人呼んで、『運命の魔法少女』! 魔法少女名は『クラウン』 魔法少女クラウンである!」
「「『
ぴったりだな
と、炎城とパラメデスは同じ感想を持った
「ちーがーう! 道化ではない!
魔法少女クラウンこと、安藤苗
現在14歳
厨二病 真っ盛りである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます