第2章
帰りましょうか
シオンさんは無地のグレーのベーシックなビキニを胸元でクロスさせたものを着ている。シオンさんの決して大きくはないが、存在感のある胸が強調される。パンツもグレーで、フリルが付いている。上から半透明の花柄ガウンを羽織り砂浜を歩いている。
「シオンさんも入りましょうよ」
海の中にいる僕が話しかけるが返事がない……。
「海涼しいですよ」
どこか寂しげな顔で僕を見つめるシオンさん
──────
「レジュメのここにあるように……」
目を覚ます僕。退屈な講義で寝てしまっていたようだ。まったく分からない授業が既に始まっている。
少し気まずさを感じながら教室をあとにする。
「まただ……」
シオンさんが僕の元から去って一年が経過する。今も僕はシオンさんの夢を見ては涙を流す。街で見かけたシオンさん似の人には片っ端から声をかけた。
今日こそはシオンさんを見つけることができる、なんて淡い期待を抱きながら帰路に着く。
その日はとても暑かった。僕の住んでいる県では観測史上過去最高気温を更新し、外にいるだけで滝のように汗が流れ出る。
暑さに耐えきれずコンビニでアイスを買おうといつも曲がらない道を曲がった。
「ん?」
曲がった先で見かけたのは一人の女性だった。目が悪い僕にはその顔色までは見えないが、1人だけ道路にうずくまっている。
すぐに僕はその女性のもとまで駆け寄り
「あの……大丈夫ですか?水買ってきましょうか?」
顔を上げてこちらを見る女性。目が合った途端お互いの目が大きく見開かられる。
「シ、シオン……さん……?」
立ち上がり逃げようとするシオンさんだが、上手く立ち上がれずふらついてしまう。
すかさず僕はシオンさんを抱きしめる。
「え??」
シオンさんは突拍子もない声を上げる。
初めて僕からシオンさんに触れた。
シオンさんの香り、シオンさんの温もり、どれもが懐かしく感じる。
「暑い……」
「帰りましょうか」
僕たちはアパートへ向かう。
もちろん手を繋いで……
────────────────
第2章が始まりました。
少し成長した結衣とシオンは一体この先どうなるのか……乞うご期待!
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