第10話 アイシャも泊まろう!



 だいたいの人が回復したので、商店に物資をどかどか置いていく。

 一応、金は取らないようにお願いしているけど、後は善意に任せるしかないな。


「商店の女将さん、このくらいで足りるか?」


「うちの元の品揃えより多いよ! ここに在る分だけで、明日くらいまでは食いつなげるんじゃないかい?」


 そりゃ安心だ。

 工房街が復活したおかげで、街の建物の修復のめどが立った。


 ここには商店や宿屋の他に、この街の各種職人が住んでいる。

 主に大工と石工の女親方たちが立ち直ったことで、少しずつでも街の建物の修理に取りかかれるようになったらしい。


 もう夕方くらいになるけど、建材は何かあるかな。

 ホームセンターに板材はあるけど、柱になる角材がない。

 石の柱を作ろうにも、石材もない。


 中世風の石造りの西洋建築は、ホームセンターと相性が悪いな。


「石は切り出してくれば良い。石切職人も腹いっぱいになってる。三日もすりゃ、石切場に行ける体力はあるだろう」


 大工さんが請け負ってくれた。

 ぶるん、と叩いた胸が揺れた。

 立派なものをお持ちで。


「じゃあ、板材は積み重ねておくよ。木材は高いから、安い板材で量を用意するけど。使えそうか?」


 木材って高いんだよ。

 高級な柾目の板だと、うん十万円とかするのも珍しくない。

 ベニヤみたいな薄い奴じゃなく、建材に使える厚い奴は特にそうだ。


 資金が足りなくなる恐れがあるので、ベニヤの合板を大量購入して積み重ねた。

 これでも結構な額が飛んだ。


「ちと薄いが、応急処置としちゃ充分だよ! 雨や風がしのげりゃ、そのうち本格的に修理する!」


 頼もしい言葉だ。

 一応、この世界の人でも使えるかも、とセメント材を購入した。


「このフネの中で、水と砂利とこの粉を練り合わせるんだ。板材で仕切りを作って流し込めば、乾いて固まるはずだ」


 素人手つきで練ったものを親方の手に薄く塗ると、乾いて固まったのを見て、びっくりしていた。


「こんなのあったら、石材要らないじゃないか!」


「練り方が粗いと、確か、そこから割れていくんだ。しっかり水分を含ませて、均一に練らなきゃ行けない」


 そう言うと、左官屋が名乗り出てきた。

 この世界、漆喰はあるのか。


 練り方は漆喰の延長みたいなもんだ。

 左官屋がいるなら、練るのは任せりゃ良いだろう。

 流し込むのは大工がいれば何とかなるはずだ。


「じゃあ、これもなるべく多く置いておく。水源はあるか?」


「井戸はある。誰も、汲みに行く元気すら残ってなかったけどな」


 どれだけ餓えてたんだよ。

 後のことは任せて、工房街を後にした。


 日が沈み切る前に、家に帰らなきゃな。


「ねぇ、私たちも、一緒に泊めてくれない?」


「お袋さん、家まで歩けないのか? わかった、無理しないでくれ。明日もあるからな。――良いよな、エトナ、ピリカ?」


 ピリカは大きくうなずいた。

 良い子だ。


 エトナも渋っていたけど、アイシャのお母さんの様子を見て、了承した。

 お前の考え、わかるぞ。他の人が止まるとエロいことできないから渋ったんだろ?


 と思ってると、アイシャのお母さんが、とんでもないことをぶっ込んだ。


「アイシャも女にしてやってくれないかしら? エトナに抱かれてるんだろ、顔を見ればわかるよ。――妻は何人いても良いんだ、男を抱いたことないアイシャも、女にしてやっておくれよ」


 おいおい、それが母親の言うことか?

 アイシャを見ると、顔を真っ赤にしてモジモジしていた。


 それだけ筋肉モリモリなのに、男性には奥手なのか。

 男性経験、ないんだな。


「ちょ、ちょっと待ってくれよ! カイト兄ちゃんは、オレと……!」


「わかってるよ、エトナ。何も奪い取ろうなんて言っちゃいない。子種は仲良く分け合っても良いだろう? 私も、孫の顔が見たいからね」


 こういう機会でもないと、アイシャは男性との出会いがないらしい。

 そうだよな、冒険者ってガテン系だもんな。

 職場に『非力』な男がいるわけないし、女の世界でしか過ごしてないんだろう。


「でも!」


「わかったわかった、二人まとめて相手してやる」


 こうなりゃヤケだ。

 どうせいっぺん身投げした命だ、腹上死だろうが受け入れてやろうじゃねぇか。

 でも、死なない程度に手加減してね。


「言ったな、カイト兄ちゃん?」


「ありがとうね、カイト!」


 今日もできると知って、エトナも獲物を狙う目つきになった。

 アイシャも視線が鋭い。


 今夜は逃げられないな。



********



「この世界でも、こういうときは太陽が黄色いんだな。ブラック労働で三徹したとき以来だ」


 太陽の光が目に痛い。ぐっすり寝たはずなのに。

 頭がクラクラする。


 二人して、何回搾り取れば気が済むんだよ。


「ご、ごめんな、カイト兄ちゃん。三人でやると、なんか興奮しちゃってさ」


「素敵だったよ、カイト。忘れられない夜になったわ……!」


 二人してイイ顔をしていた。

 吸い取りすぎだろ。


 アイシャに至っては、処女を卒業したテンションで、拳を握りしめている。

 ただでさえ力が強いんだ。

 魔法を含めた力で締め付けられてみろ、ちぎられるかと思ったわ。


「あ、やだ……一晩経っても、まだ中から出てくる……」


「良いことだよ、アイシャ。無事に孫の顔も見られそうだね」


 俺の体力は、まったく良いことではないが。

 そりゃ子どももできるだろうよ。

 アイシャの希望で、ゴムなしで何回もしたからな。


 廃墟の中で、お湯で身体を拭く二人を横目に、俺は床にへたり込んだ。


「ダメだ、立てない。今日動くのは無理か?」


「だ、大丈夫か、カイト兄ちゃん! 子種出すのって体力使うんだよな? 回復魔法で治るのかな?  『ヒール』! 『ヒール』! 『ヒール』ッ!」


 エトナが一生懸命に回復魔法をかけてくれる。

 異世界すげぇ、体力が戻ってきたよ。


 これ、夜に使われると、赤玉出るまで搾り取られるんじゃないか?


「エトナは回復魔法が使えるんだな」


「これくらいなら、女の魔力量があれば、だいたいの奴は使えるよ。擦り傷や切り傷もそうだし、働くときにも使うし」


 回復魔法で疲れを払ってまた働くのか。

 異世界の労働もブラックだ。

 児童労働を平然とする世界だもんな。そりゃみんな使えるか。


「あたしも使えるよ、おにいちゃん!」


「あたいも得意じゃないけど、それくらいなら使えるな。――『ヒール』」


 あー、効くー。

 リポDを飲んだ気分だ。

 違うのは、あの後でキツくなるんだろうな、っていうイヤな違和感がないとこだ。


 さすが労働用回復魔法。疲労がポンと飛ぶ。

 男女の比率が傾いてるのに、子どもがばんばん産まれて人口が減ってない理由がわかる。



 民間でこれってことは、貴族に掴まると、本当に搾り取られ続けるんだろうな。

 厄介な貴族と会わなきゃ良いが。


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