邂逅(4)
ガバッ
シグレは急いで飛び起きる。
先程まで暗い山奥に居た筈であるが目を覚ましたそこはアジトのベッドの上だった。
シグレはとても長い夢を見ていた気がするがその内容を思い出せない。
「わかんねぇけどスッゲェふわふわしてた気がすんな...。」
少し重く霞がかった頭を上げ、ベッドから起きると部屋の外から話し声が聞こえてくる。シグレはおぼつかない足取りで部屋を出た。
「あぁ、シグレ起きたんだ。」
いつものメンバーであるホマチとナガメ、そこに新しく入ったばかりのハクウが加わっている事で昨夜の出来事が幻ではなかったのだと確信させる。だが、シグレが真っ先に驚くべき点が他にあった。
「ホマチ...その傷は!?」
ホマチの顔には右目を覆う様にして包帯が巻かれており、右腕の部分は欠損していて肩から欠損部分にかけても長く包帯が巻かれていた。
「お、おい!その腕と目の部分一体何があったん...。」
「そんな事はどうでもいいいいいいい!!」
「へ?」
予想外の回答にシグレは思わず面食らってしまう。シグレだけではない。ナガメとハクウも驚いた様子であった。
「あのねぇ、あなた一体何してたの?何のメリットもない筈の"ミラー"を急に追いかけていって...その間私たちは別の敵に襲われた。この傷だってその時にやられたし、ナガメだって傷を負った。ハクウが何をしてたかはさっき本人に直接話を聞いたわ。他に襲ってきてた敵を足止めしてた事。でもシグレは?ミラーに会ったの?それとも追いつけなかったの?あの後何があったの!?」
ホマチは積もりに積もっていたシグレへの不満を爆発させる。だがそれは至極真っ当な意見だった。
「あの後、"ミラー"を見つけてそして...。」
シグレは言葉が詰まる。"ミラー"の正体がテンコだった事など到底言える筈が無い。言いかけた口が代わりの言葉を発する事もなく沈黙の時間が訪れる。
「テンコがいなくなったあの日、1人で突っ走ったせいだって謝ってたでしょ。あれは何だったの...。」
ポツリとホマチが声を漏らす。
あの時シグレは何故か本能的に追いかけなくてはならないという衝動に駆られたのだ。ある種感情を制御できない様な暴走状態に陥っていた。勿論そんなものが言い訳にならない事はシグレも分かっている。
「ごめん...本当にごめん。」
シグレは俯き唇を噛み締める。血が滲み出るほどに。そうしないと今にも自分自身の抱えている全てを曝け出してしまいそうだったからだ。
「...何も話してくれないんだね。」
そう言い残し、ホマチはアジトを出ていく。残されたメンバーに気まずい空気が流れる。否、ハクウだけはそんな雰囲気はお構いなしに机の上に置かれてあるクッキーを食べ続けていた。
「本当はシグレが何か隠している事をホマチも薄々感じ取ってるんだ。勿論、シグレにも何か理由があってボク達に話せないんだよね...。深く詮索するつもりは無いよ。」
「ナガメ...ごめん。今はまだ話せないんだ。」
「...襲ってきた相手はハクウが目の敵にしていると言っていた奴だった。名をツクヨミ。スーツ姿で天使の様な翼が背中から生えてて、羽根を主体にした戦いを得意としていた。ホマチにあんな傷を負わせるなんて...怒りと自分の不甲斐なさでいっぱいだよ。」
ナガメの曇った表情を見てシグレは居たたまれない気持ちになる。
「因みにオマエを襲ってきてた奴の名前がアマナギって言うんだぞ。」
そう言ってハクウはシグレの方を指差す。
「シグレの方も襲われたんだってね。」
「あぁ、正直言って歯が立たなかったよ...。奴は政府の人間だった。」
「やっぱりか。ハクウが
「そう...なのか?
「ん?あぁ、まあね。とにかく政府が何を考えてるのか未だに目的がわからない。改めて用心に越したことは無いってことだね。」
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「ふぅ、今は1人になりたい気分なんだけど...何でお前もいるかねぇ...。」
「何だよ迷惑そうな顔して...言っとくけど倒れてるオマエのこと運んであげたのは私なんだぞ!」
シグレはホマチに言われたことを払拭出来ず、気分を紛らわしたかった。そんな思いを汲み取ったナガメは自分がホマチを探しに行くと言い出しその提案に甘える形でシグレは二人とは別に外出をしていた。本当はシグレ自身が声をかけに行くべきだと頭では理解している。しかし、心の整理が追いつかず適当に足を動かしていた。ハクウが付いてきたのは想定外だった。
「あの二人は私が着いた時にはくたばりかけてたからな。オマエを探し出したのだって私だ。あんな勢いよく私に頼んどいて肝心のオマエはぶっ倒れてるんだから。」
世話が焼けると言わんばかりにハクウはフフンッと自慢げな顔をして見せる。
「そう言えばハクウと襲ってきた奴らって具体的にどういう...っ!」
シグレの脳内に突如として鋭い痛みが走る。それは
「ご丁寧にまたでかい波長が一個だけ...。」
頭痛を感じ始めたのとほぼ同タイミングで地面が大きく揺れだす。平衡感覚がおぼつかず、立ち上がっているのが困難なほどに。それは身近な災害の中でも特に危険視されるものだ。
「わわわっ!おいこれって!」
「あぁ...地震だ!」
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